はじめに
国連の関連機関には、世界の労働者の労働条件と生活水準を改善することを目的とするILO(国際労働機関)というものがあります。
本ページでは、「ILO」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。
「ILO」は国際労働機関のこと
「ILO」はInternational Labour Organization(ILO)の略で、日本語に訳すと「国際労働機関」のことです。
「ILO」は、国連、つまり国際連合の専門機関の一つで、1919年に「世界の労働者の労働条件と生活水準を改善すること」を目的として設立されました。
なお、日本は「ILO」創立時に加盟国でしたが、1940年に脱退し、1951年に再加盟しました。
「ILO」の組織体制について
「ILO」の本部は、スイスのジュネーヴにあり、総会・理事会・国際労働事務局等の本部組織のほかに、40以上の国の地域総局と現地事務所が設置されています。
この「ILO」は、国際機関の中でもユニークな存在で、政策にあたって加盟国が「政府」「労働者」と「使用者の代表」の3つの構成によって代表を送り、この3つの機関が平等に発言権を持っています。
また、開発途上国の技術研修などの役割も果たしていることから、国際研修センターがトリノに設置されています。
総会
総会は、「ILO」の最高意思決定機関で、通常は毎年1回6月に開催され、国際労働条約・勧告の審議・採択や、各国の実施状況の審査、加盟国の承認などを討議します。
加盟国の代表は、政府代表2名、労働者代表1名、使用者代表1名の計4名からなる三者構成を採用し、発言や投票は政・労・使の各代表によって独立して行われます。
このほか、「ILO」には約10年に一度、船員労働のみを審議する「海事総会」があります。
理事会
理事会は、「ILO」の執行機関で、総会の決定事項の執行やILO事務局の監督を行います。
理事は、政府理事28名、労働者理事14名、使用者理事14名の計56名によって構成され、このうち政府理事の10名は、常任理事国であるアメリカ合衆国・イギリス・フランス・ドイツ・日本・イタリア・ロシア・中華人民共和国・インド・ブラジルから任命されます。
国際労働事務局
国際労働事務局は、「ILO」の日常業務を遂行する機関で、事務局には理事会が任命する事務局長の下に2000名を超える職員がおり、諸会議の報告書作成や労働・生活条件に関する国際的な資料収集や分析等が行われています。
「ILO」の役割
「ILO」の主な役割は、職場での権利を促進し、まともな雇用機会を奨励し、社会的保護を強化し、仕事関連の問題に関する対話を強化することです。
そんな「ILO」は、独自の三者構成によって労働者・雇用者・政府が平等に意見し、ソーシャルパートナーの見解が労働基準・政策・プログラムなどを形成する上で、密接に反映されるようにしています。
▼参考URL:国際連合広報センター「国際労働機関(ILO)」(外部サイト)
「ILO」の主な活動
「ILO」の主な活動は、働く権利を促進し、ディーセントな雇用の機会を奨励し、社会的保護を高め、労働関連の問題に関する対話を強化することです。
すべての女性と男性に働きがいのある人間らしい仕事であるディーセント・ワークの実現を目指して労働基準を設定し、政策を発展させ、プログラムを策定します。
この活動は、主に下記の3つの主要機関によって行われます。
1)国際労働会議
2)統治体
3)国際労働局
国際労働会議
国際労働会議は、国際労働基準と「ILO」の幅広い政策を設定するため、ジュネーブで毎年開催され、重要な社会問題と労働問題について議論するためのフォーラムとしての役割も担っています。
統治体
統治体は、「ILO」の執行委員会でジュネーブで年3回開催され、「ILO」の方針が決定され、プログラムと予算を設定して採択のために会議に提出します。
国際労働局
国際労働局は、国際労働機関の常任事務局で、「ILO」全体の活動の中心として統治体の監視の下、事務局長のリーダーシップの下で準備されます。
さらに、「ILO」は、国際労働基準の適用と促進に関する活動を行っています。
具体的には、加盟国での標準の適用を定期的に調査し、より適切に適用できる分野を指摘し、基準の適用に問題がある場合には、社会対話と技術支援を通じて国を支援します。
なお、国際労働基準に関しては、法律および実務における条約・勧告の適用を監視するため、定期的な監視システムによって定期報告の調査か、批准された条約の適用に関する代理手続と苦情手続、および結社の自由のための特別な手続が行われています。
まとめ
以上、本ページでは、「ILO」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。
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