学校の先生(教員)の副業について - 「副業」の基本から、代表的な「副業」まとめ

公立学校の先生(教員)も職種を選べば「副業」をすることが可能です。

公立学校の先生の代表的な「副業」には例えば、原稿執筆や本の出版などの「著述業」があります。その他の仕事についてもご紹介しながら、公立学校の先生(教員)の「副業」について解説します。


目次

はじめに - 公立学校の先生(教員)は「副業」していいの?

公立学校の先生(教員)が「副業」をしてよいのかというと、結論としては、「副業」の内容によりOKです。

それではどのような内容の「副業」なら可能なのか、解説しましょう。

本の出版や講演など「先生」としての挑戦が「副業」になる

公立学校の先生(教員)の中には、本業の教師業とは別に、「副業」として原稿執筆の依頼を受けたり、本を出版したりする方もいらっしゃいます。

公務員の「副業」は法律で限られているため、公務員の一員である公立学校の先生の「副業」も大部分で制限されていますが、「著述業」など一部では認められている「副業」もあります。

公務員として働く学校の先生はどのように「副業」をしているのでしょうか?

まずは「副業」の定義について解説します

そもそも、「副業」とは「本業とは別に収入を得ること」です。既に本業に就いている人が、あくまでも二次的に仕事をすることですが、どこからどこまでが「副業」になるかという法的な定義は決まっていません。

民間の企業では、本業に支障が出るとか、本業のイメージを傷つける可能性があるなどの理由で「副業禁止」を掲げている場合が多いのですが、近年では働き方改革の一環として、また社員のスキルアップなどを狙いとして積極的に「副業」を推奨する企業も目立ってきました。

公務員は、起業や、会社の役員になることを含め、「副業」でお金を稼ごうをすることは法律で制限されています。しかし、一定の条件をクリアすれば公務員も「副業」が可能であり、近年では職員の公務員としてのスキルアップが図れるとして「副業」を勧める自治体もあるようです。

公務員の副業に関しては、下記の記事もあわせてご参照ください。

》公務員は副業禁止とは限らない?公務員にもできる「副業」について

今回は公務員の副業についてのそもそも副業とは?を含めて解説します。営利企業での副業が禁止されている公務員ですが、一部の副業は制限があるものの正式に認められているものもあります。どれくらいの範囲であれば公務員の副業が認められるのか、説明します。


公立学校の先生(教員)にもできる「副業」について

一部の「副業」が可能なのは公務員の一員である公立学校の先生も例外ではありません。

公立学校の先生も、営利目的ではなく、本業に支障を与えない、公務員としての信頼を失墜させない、なおかつ法律で禁止されていない範囲の職種であれば副業を行うことが可能です。

公立学校の先生(教員)にもできる「副業」6つ

公立学校の先生が「副業」にできる条件をクリアしていると考えられる職業には、先に挙げた「執筆活動・著述業」のほか、FX・株・仮想通貨などの「投資」、禁止されている物件数以下での小規模な「不動産賃貸業」、家業の手伝いなど小規模な「農業など」、法律でまだ禁止されていないネットオークションやフリマアプリでの小規模な「ネットビジネス」、宗教活動による「寄付・お布施」の受け取りなどが挙げられます。

公立学校の先生(教員)ができる「副業」

1)執筆活動・著述業
2)FX・株・仮想通貨などの「投資」
3)小規模な不動産賃貸業
4)小規模な農業など
5)ネットオークションやフリマアプリでの小規模なネットビジネス
6)寄付・お布施の受け取り(住職なども可)

上記の「副業」の中で、学校の先生(教員)に一番人気の職種は、「執筆活動・著述業」の仕事のようです。

公立学校の先生(教員)がやることを禁止されている副業について

前の章では公立学校の先生にもできる「副業」を紹介しましたが、逆に、禁止されている職業もあります。

公立学校の先生(教員)ができる「副業」

1)大規模な農業など
2)戸建てなら5棟以上、マンションなら10室以上の部屋の賃貸
3)10件以上の土地の賃貸
4)劇場、映画館、ゴルフ練習場等の不動産賃貸
5)旅館、ホテル等の建物の賃貸
6)10キロワット以上の太陽光電気の販売
7)アフィリエイト
8)自ら営利企業を営むこと

これらは、「公立学校の先生だから」というよりは、「公務員」として禁止されている副業の一例です。

「公務員」がやることを明確に禁止している副業は、もちろん公務員の一つである公立学校の先生(教員)も、行うことはできません。

公立学校の先生(教員)人気の副業「著述業」、主な収入は「原稿料」と「印税」

「著述業」は公立学校の先生ができる「副業」のひとつであり、人気の副業であることは前述しました。「著述業」とは、文章を書くことで、収入を得る仕事です。

公立学校の先生が本を出版している事例は、これまでにも多数あるようです。先生の場合、自身の専門分野・研究内容について執筆依頼を受けることが多く、著作にもとに講演依頼を受けることもあるようです。

「著述家」の主な収入源である「原稿料」と「印税」について

「著述家」は本業・副業に関わらず、出版社などメディアから原稿の執筆依頼を受け、文章を納めて「原稿料」を受け取るのが一般的です。

また、その文章が掲載された書籍を出版することになれば、その書籍の著作権者として、出版社から著作権使用料、つまり「印税」が支払われます。「印税」は書籍の発行部数や、販売数によって変動し、出版社の方針によって異なります。契約を交わす際に、契約書などで確認ができるようです。

出版前に得られる収入が「原稿料」ですので、こちらは出版物が売れても売れなくても確実に得られる収入です。一方で、「印税」は発行部数や販売部数によって変動するものですので、初版分以外の印税収入については、出版物の売れ行き次第と言えます。

公立学校の先生(教員)が「著述業」をする場合に工夫していること

公立学校の先生が「副業」として「著述業」に携わる場合、あくまでも公務員の信頼を保ちながらの執筆活動にはなるので、公務についての情報漏洩の恐れがある場合や、著作の内容について公序良俗に反するなど問題がある場合には、著述業も禁止される可能性はあります。


そのため、公立学校の先生の場合には本業に全く関係の無い、教育関連以外の分野の執筆を「副業」にするなどの工夫をする方もいます。

「副業収入」が20万円を超える場合は確定申告を!

学校の先生(教員)に人気の「著述業」に限らず、どのような「副業」に従事する場合にも、年間で20万円以上の収益を得ると、確定申告が必要です。

業務を始める前に職場に許可を得る必要がある「副業」もありますので、公務員が「副業」で収入を得る際には、上司や職場に相談することも視野に入れて、慎重に検討しなくてはなりません。

公立学校の先生(教員)が「著述業」を副業にする注意点

公立学校の先生が、原稿執筆依頼を受けたり、本の出版をしたりする「著述業」を「副業」とすることは、次のいくつかの注意点をクリアすれば可能だと言えます。

公立学校の先生(教員)が気をつけたい「本業に支障がない範囲」での執筆活動

公立学校の先生が「著述業」を「副業」とするには、まず、本業に差し支えないことが大切です。

夜遅くまで執筆活動をしていて、日中に眠気が襲ってきて授業がままならないなど、教員としての業務に支障が出てくると、副業許可が取り消されることがあります。

また、公務で得る情報には守秘義務がありますので、情報漏洩が疑われる記述があると問題視されることがあります。創作内容には注意が必要です。もちろん、ペンネームを使うにしても、本業の教師として品性を保つような公序良俗に反しない内容の創作にとどめておくべきでしょう。

公立学校の先生(教員)が副業の「著述業」で得られる主な収入

「副業」の著述業で発生する収入について、代表的な「原稿料」や「印税」は公立学校の先生でも受け取ることが可能です。

そしてその後、著作をもとにした講演依頼がきた場合についても、例えばその講演が地域貢献につながる、専門分野の研究発展や国民の教育に貢献することにつながるという目的があれば、本業の勤務先である自治体が許可を出すことも多く、その際の「講演料」や「謝礼」についても常識の範囲内であれば対価として受け取ることができます。

「副業」としてOKの「著述業」でも営利活動をしすぎるとNGになる恐れも

公立学校の先生が「副業」で執筆した著作本について自ら営業行為をしたり、自費出版の場合に不当に本の価格を上げて利益を大きくするなど営利活動に該当するような行為をすると、違反になる場合があります。

年に数回であっても、イベント等で作品を販売する行為については、参加するイベントや販売する著作物にもよりますが、禁止される場合があります。禁止される範囲は自治体の判断も少しずつ異なっているようですので、トラブルを避けるためには、予め上司や職場の許可を得ておくことが重要だと言えます。

公立学校の先生(教員)も表現の自由はあるけれど、本業への配慮も必要!

まとめると、公立の学校の先生も、憲法に基づく表現の自由は尊重されていますが、公務員法に違反するような「副業」や、公務員や教師としての信頼を落とすような「副業」はできない、と考えることができます。

著述業を「副業」とし、執筆活動や講演活動で副収入を得ることはできますが、それを本格的に事業化しようとすると違反につながりますので注意してください。

公立学校の先生(教員)の「副業」とお金の手続き事情:「源泉徴収」

公立学校の先生が「副業」をする場合の「源泉徴収」についてご説明します。

「源泉徴収」とは、給料が支払われる前に、所得税などの税金が天引きされる制度です。公立学校の先生の場合、本業の給料については、勤務先の学校や自治体が源泉徴収を行なってくれます。

出版社が源泉徴収をしてくれていない場合は「確定申告」が必要

公立学校の先生に限らず、「副業」が著述業・執筆業の場合には、あらかじめ出版社によって原稿料や印税から源泉徴収分が差し引かれていることが一般的です。源泉徴収される割合は、1回の原稿料が100万円以下の場合にはその10%、100万円を超える場合には100万円を超えた分についてその20%が差し引かれるようです。

ただし、出版社によっては源泉徴収を行なっていない場合もあります。原稿料や印税など出版社からの副業収入が20万円を超えているけれど、源泉徴収されていないという場合には、「確定申告」をして、正しい割合の税金を収める必要があります。

公立学校の先生(教員)の「副業」とお金の手続き事情:「年末調整」

公立学校の先生が「副業」をする場合の「年末調整」についてご説明します。

「年末調整」とは、毎月源泉徴収分として天引きされていた税金のうち、控除分などの税金を払い過ぎていないか、又は払い足りていないか過不足を調整する制度であり、毎年秋から12月にかけて行われます。雇い主が従業員に代わって行う簡易的な「確定申告」だとも言われています。


控除分を調整すると納めた税金のうち、払い過ぎた分が還付金として返ってきます。代表的な控除には、医療費控除や生命保険料控除などがあります。

本業の年末調整は勤務先が行ってくれている

公立学校の教員の場合、公立学校での給料については、勤務先である学校や自治体が年末調整を行なってくれます。一般的な公務員は、年末調整を行うことでその年の納税が完了し、確定申告をする必要がありません。

副業の「著述業」が自営業の場合は年末調整が無い。「確定申告」が必要!

しかし、公立学校の先生が執筆業・著述業などの「副業」をしている場合、出版社等の社員となって報酬を受け取ることはできないので、「副業」については自営業で行う方がほとんどかと思います。

自営業の場合は企業が年末調整をしてくれるわけでは無いので、税金の調整をするには自分で確定申告することが必要です。「副業」をする先生のように、2ヶ所以上の事業所から収入を得ている場合で、その副収入が20万円を超える場合には確定申告対象者になります。

公立学校の先生(教員)の「副業」とお金の手続き事情:「確定申告」

公立学校の先生が著述業などの「副業」をする場合、「確定申告」が必要なケースについてご説明します。

そもそも「確定申告」とは?

「確定申告」とは、1月から12月までの所得の全てを計算し、所得に応じた所得税額を確定し、申告して、納税するという手続きです。また、それまでに「源泉徴収」によって払い過ぎていた税金を還付してもらう場合もあり、これは「還付申告」と呼ばれています。確定申告期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。

源泉徴収で税金を納めている場合は税金を毎月前払いしていることになるのですが、確定申告で税金を納める場合には1年分をまとめて後払いするため、納税のためのお金をやりくりしておく必要があります。

「確定申告」が必要なのは20万円を超える場合

学校の先生(教員)が著述業・執筆業を「副業」とする場合、確定申告が必要なのは、執筆業での「原稿料」「印税」、作品がコンクール等で入賞した際の「賞金」や、寄稿や講演、指導についての「謝礼」「報酬」などの給与を除く所得が20万円を超える場合です。

作家が本業ではない人が得る「原稿料」や「印税」などの副収入は「雑所得」として、本業の給与とは別の所得とみなされます。

高額所得者や2つ以上の事業者から「給与」を得ている人も確定申告が必要

また、参考までですが年収が2,000万円以上の人や、公務員にはほとんどいないと思いますが、許可を得た上で2つ以上の事業者から給与や賃金を受け取っている人も確定申告が必要です。

つまり、公立学校の先生も高額な副収入がある場合にはそれに応じた税金を納めなくてはなりません。

反対に、副収入が少額の場合は税金を払い過ぎていることがあり、還付申告することで還付金を得られる可能性があるため、確定申告しておくことをおすすめします。

公立学校の先生(教員)の「副業」とお金の手続き事情:「原稿料・印税」

公立学校の先生が、執筆による原稿料や印税、講演料で副収入を得る場合には、その収入は「雑所得」に該当します。この雑所得を含む所得が、本業の先生としての給与とは別に20万円を超えると、確定申告が必要です。

また出版社によっては「原稿料」や「印税」から毎回の支払いで源泉徴収分の10%が天引きされて支払われていることがあります。収入の額によっては10%も引かれていると、引かれ過ぎているという場合があり、還付金が発生します。この場合、雑所得が20万円を超えていない場合でも、確定申告をすることで還付金を受け取れることになり、確定申告をした方が得をするかもしれません。

私立学校の先生(教員)の副業はOK?NG?

私立学校の先生(教員)の副業の可否は、結論からいうと、学校によります。

私立学校の先生の場合、副業できるかどうかは、勤めている学校の服務規程によるのです。そしてそこで働く以上、民間企業に勤める会社員と同じように、その学校の就業規則にしたがう必要があります。

公立学校の先生も、私立学校の先生も、教員の副業は「許可をとる」のが無難!

ここまでいろいろと述べてきましたが、教員が副業をするには、後々大事にならないためにも、務めている学校の許可を取っておくことが無難のようです。

例えば家にある不用品を少しフリマアプリで売買する程度であれば問題はないと思われますが、「確定申告」が必要になる額を稼ぐ副業の場合は、上司や職場に相談することも視野に入れて、慎重に検討してみてください。

まとめ

このページでは、公立学校の先生(教員)の「副業」について、代表的な「著述業」「執筆業」に携わる際の注意点をご紹介しました。「原稿執筆」や「本の出版」等、著述業での副業は、公立の学校の先生でも認められる場合があります。

公立学校の先生の副業が認められるためには、その副業が「地域活動に貢献している」ことや「国民の文化的な教育に貢献している」ことなど、条件があります。


もちろん、公立学校の先生にも「表現の自由」は尊重されているので、趣味で執筆活動をすることに問題はありません。ただし、それによって副収入が発生した時の税金の手続きは、本業の公務員としての立場を守るためにも、間違いのないようにしっかりとやらなくてはなりません。お金に関する制度についても、先生が著述業で収入を得る場合を想定してご説明しましたが、執筆活動での「副業」を考える際は制度をよく理解しておくことが必要かと思います。

本記事は、2018年10月7日時点調査または公開された情報です。
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