「海上自衛隊」に入るには? 年齢や学歴で選ぶ入隊方法について

日本の国土や国民を守る「自衛隊」は、「陸上自衛隊」・「海上自衛隊」・「航空自衛隊」の3つの組織で構成されています。

今回は、海上から日本の国土や国民を守る「海上自衛隊」に入る方法を、年齢や学歴別にご紹介します。


「海上自衛隊」の歴史や所属人数について

「海上自衛隊」は、日本の国土や国民を海上から守る組織です。

島国である日本は、四方を海で囲まれており、常に海上から侵入してくるかもしれない脅威を警戒しなければなりません。「海上自衛隊」は、そんな脅威から日本を守るため、海上だけでなく時には陸地・航空から日本の海上の治安を守ります。なお、平時における海上の警察活動は「海上保安庁」が担当しています。

「海上自衛隊」は、1954年(昭和29年)7月に発足しました。前身組織は、1952年(昭和27年)に誕生した「海上警備隊」です。

現在、「海上自衛隊」には、42,136人の自衛官が所属しています(平成29年度調べ)。

「海上自衛隊」の自衛官になるには? 年齢・学歴で選ぶ入隊方法

「海上自衛隊」の自衛官になるには、「自衛官候補生」、「一般曹候補生」、「防衛大学校学生」、「航空学生」、「技術海上幹部」、「技術海曹」、「防衛医科大学校学生」、「幹部候補生」と大きく分けて8つの方法があります。

中学卒業と同時に目指すことができるのは「防衛大学校」、高校卒業から目指すことができるのは「自衛官候補生」、「一般曹候補生」、「航空学生」です。「幹部候補生」、「防衛医科大学校学生」は、大学卒業程度の学歴を有するもののみ志望することができます。また、「技術海上幹部」と「技術海曹」は、定められた資格や実務経験があるもののみ志望することが可能です。

ここでは、「海上自衛隊」に入る方法の概要をご紹介します。自衛隊に入る方法についての詳細は、『国家公務員「自衛官」になるには?防衛省に所属し日本を防衛する公務員』記事にてご確認ください。

「自衛官」になるには?防衛省に所属し日本を防衛する公務員

中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法について

中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法は、大きく分けて4つの方法があります。

中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法その1:「自衛官候補生」になる

1つ目は「自衛官候補生」を目指すという選択肢です。

「自衛官候補生」は、任期制の自衛官を採用する制度のことです。採用された後、3ヶ月の基礎訓練を受けると「2等士」自衛官に任用されます。「海上自衛隊」を目指す道の中では最短で自衛官として勤務をスタートすることができますが、任期制のため終身雇用ではありません。


中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法その2:「一般曹候補生」になる

2つ目は「一般曹候補生」を目指すという選択肢です。

「一般曹候補生」は、終身雇用で自衛官を採用する制度のことです。採用された後、基礎訓練と教育訓練を2年3ヶ月にわたって受けると「3等曹」に任用されます。「一般曹候補生」として採用されると、4年目には「幹部候補生部内選抜試験」の受講資格を得ることができ、「幹部候補生」への道も開けます。

中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法その3:「防衛大学校」に入学する

3つ目は「幹部候補生」を育成するための学校「防衛大学校」に入学するという選択肢です。

「防衛大学校」は、4年生の学校で、「幹部候補生」になるための教育・訓練を受けることができます。在学中は学費無料に加え、「学生手当」として毎月103,000円、6月・12月には「期末手当」としてボーナスが支給されます。

「防衛大学校」を卒業すると「海上曹長」に任用され、「幹部候補生」として「幹部候補生学校」に入学します。

防衛大学校の詳細は『【勉強が仕事】「防衛大学校」とは何か?と大学校の学生生活』記事をご確認ください。

【勉強が仕事】「防衛大学校」とは何か?と大学校の学生生活

中卒・高卒から「海上自衛隊」に入る方法その4:「航空学生」になる

3つ目は「航空学生」になるという選択肢です。

「航空学生」は、「海上自衛隊」や「航空自衛隊」のパイロットを育成するための制度です。中学・高校卒業程度(見込み含む)が受けることができ、入隊後は「航空学生」として2年間の基礎教育を受けます。「航空学生」の期間は、学生宿舎での団体行動を行い、規則正しい生活と団体行動を合わせて学びます。

「航空学生」の詳細は『平成30年度 特別職国家公務員「海上・航空自衛隊航空学生」採用試験日程』記事をご確認ください。

平成30年度 「海上・航空自衛隊航空学生」採用試験日程

大卒から「海上自衛隊」に入る方法について

大卒から「海上自衛隊」に入るには、「幹部候補生」、「防衛医科大学校学生」の2つの選択肢があります。

大卒から「海上自衛隊」に入る方法その1:「幹部候補生」になる

大卒から「海上自衛隊」に入る方法に「幹部候補生」になるという選択肢があります。

「一般幹部候補生」は、「陸上自衛隊」・「海上自衛隊」・「航空自衛隊」の幹部自衛官を目指すための制度で、大学卒業者(見込みを含む)から志望することが可能です。

「一般幹部候補生」は3つのコースがあり、1つ目は文系・理系大学から進む「一般幹部候補生」、2つ目は歯学科大学から自衛隊の歯科医官を目指す「歯科幹部候補生」、3つ目は薬学科大学から自衛隊の薬剤官を目指す「薬剤科幹部候補生」です。


「幹部候補生」として採用されると同時に「曹長」に任命され、コースごとに必要な訓練・教育を受けた後に、「一般幹部候補生」は「3等尉」に、「歯科幹部候補生」と「薬剤科幹部候補生」は「2等尉」に昇任されます。

大卒から「海上自衛隊」に入る方法その2:「防衛医科大学校学生」になる

大卒から「海上自衛隊」に入る方法に「防衛医科大学校学生」になるという選択肢があります。

「防衛医科大学校」は、医師・看護免許を持つ幹部自衛官を育成するための教育大学校で、18歳以上21歳未満の高校卒業程度(見込みを含む)が受験することが可能です。

「防衛医科大学校」は、学費が無料である上、毎月103,000円の手当てが支給されます。一般の医学部の学費が私立なら3000万円、公立でも300~500万円ほどかかることを考えると、実質タダで通える「防衛医科大学校」は医学部を目指す学生にとってはかなりの好待遇といえるかもしれません。

ただし、「防衛医科大学校」の学生として採用されると、6年間の学生生活で医師・看護師になるための教育に加え、幹部自衛官になるための教育や団体行動、体力を養うための訓練や教育を受けます。通常の「医学部」を目指すことや「自衛官」を目指すことに比べると、ハードな学生生活になります。

「防衛医科大学校」卒業後は、「陸上自衛隊」・「海上自衛隊」・「航空自衛隊」の「曹長」に任命され、幹部候補生として「幹部候補生学校」に入校します。

「技術海上幹部」と「技術海曹」として入隊する方法について

「海上自衛隊」に入る方法には、「技術海上幹部」と「技術海曹」という選択肢もあります。

「技術海上幹部」について

「技術海上幹部」は、整備品の研究開発や気象などに携わる幹部自衛官を採用する制度のことです。大学にて造船(船舶)工学や航空宇宙工学、機械工学など応募資格にて定められた学部を卒業後、2年以上の実務経験がある人が応募することができます。

「技術海上幹部」は、応募資格にて定められた学部の卒業と実務経験が必要なため、38歳未満までが応募することが可能と、他の「海上自衛隊」の募集よりも年齢制限が高く設定されています。

民間企業での経験を活かし「海上自衛隊」を目指す方は、「技術海上自衛官」を目指すことも選択肢の1つです。

「技術海上幹部」の応募資格については、「海上自衛隊」の募集要項ページをご確認ください。

参照:「技術海上幹部」募集要項|自衛隊
URL:http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/pdf/y/29gijutsukanbuy.pdf

「技術海曹」について

「技術海曹」は、「海上自衛隊」が定める国家資格を所持していて、即戦力となる自衛官を採用する制度のことです。

「技術海曹」になるための資格は、気象予報士、ロシア語・中国語などの外国語大学卒業者または検定1級合格者、診療放射線技師、看護師など18種類存在します。

「技術海曹」の応募資格については、「海上自衛隊」の募集要項ページをご確認ください。

参照:「技術海曹」募集要項|自衛隊
URL:http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/pdf/y/29gijutsusouy.pdf

まとめ

今回は「海上自衛隊」に入る方法についてご紹介しました。

「海上自衛隊」を目指す際には、年齢や学歴によって入隊方法をいくつかの選択肢から選ぶことができます。この記事が、「どのような形で海上自衛隊を目指すのか」を考えるのに役立てば幸いです。

本記事は、2018年11月1日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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