公務員だって結構クビになる -「懲戒免職」「分限免職」「依願退職」

公務員のクビ(「懲戒免職」「分限免職」「依願退職」)について種類や事例にについてなど解説します。


公務員になってしまえば、解雇はされない?公務員もクビになります!

いったん公務員になってしまえば、その強い身分保障制度によって簡単に免職・解雇、いわゆるクビになることはない。

そう思っている人が多いようです。確かに法律で身分保障はされています。ですから簡単にはクビにならない。

しかし、同じ法律で、一定の場合には公務員であってもクビにできることも書いてあるので、場合によってはクビになりますし、法律で書いてある以外のクビの例もあるので、あまり油断してはいけません。

本ページでは、公務員の免職・解雇=クビについてお話いたします。

実質上の公務員のクビは、「懲戒免職」と「分限免職」だけではありません

まず、法律に書いてある「公務員のクビ」の方ですが、これは懲戒免職と分限免職の2種類があります。懲戒免職とは悪いことをした職員をクビにすることで、分限免職というのは仕事がまともにできない人をクビにすることです。

公務員がクビになる事例 1)「分限免職」について

「分限免職」によってクビになる公務員は少ないですが、心身の重い病気にかかって職務復帰が見込めなくなったり、とっても変な人で様々なトラブルを起こしたり失敗ばかりしている人が対象になります。

無断欠勤したまま行方不明になったりした場合も、この制度を使ってクビにされます。そのような人に給料(税金)を与え続けることに国民は納得しないだろうという考え方が背景にあるのだろうと思います。

公務員がクビになる事例 2)「懲戒免職」について

「懲戒免職」によってクビになる公務員の数もそれほど多くありませんが、これは公務員の職種によって多い少ないの差があるようです。

「懲戒免職」でのクビが比較的多い公務員「刑務官」の場合

私は刑務官をやっていましたが、刑務官には公務員がクビになる方法の中でも、懲戒免職でクビとなるケースが比較的多いように思われます。これは、悪いことをしてクビになる刑務官が多いというより、刑務官の業務の性質によるもののように思われます。

つまり、刑務官の場合は、受刑者をまっとうな社会人にして塀の外に戻す責務があるわけですが、そのような業務を任される刑務官自身がまっとうな社会人とは言えないような不祥事を起こしたとなると事は重大だからです。

当然に組織としても厳しい対応を迫られます。クビはもっとも思い対応ですが、懲戒免職以外の処分(停職、減給、戒告)についても、ほかの公務員より厳しく行われる印象があります。同じようなことは警察官にも言えるのではないでしょうか。


公務員がクビになる事例 3)「依願退職」について

懲戒免職や分限免職にならなくても事実上のクビになることもあります。これが法律に記されていない第2のパターンのクビで、依願退職というのがそれです。これが結構多い。

依願退職は文字どおり本人が願い出て退職するのですから、厳密に言えば「クビ」ではありません。理屈上はそうです。しかし実際は、辞表を出さないわけにはいかない状況に追い込まれ、しぶしぶ辞表を出して辞めていく公務員が結構多いのです。言ってみれば「陰のクビ」です。甘く見てはいけません。

公務員にとって「陰のクビ」?その本当の恐ろしさ - 依願退職について

依願退職で多いのは不祥事を起こして辞めていく人です。

その程度が軽いものであれば叱られて済むようなこともありますが(戒告)、程度がひどくなると月給を減らされたり(減給)、仕事が一定期間できない状態に置かれます(停職)。

この減給ないし停職の処分を受けた人の中には、そのまま仕事を続けていける状況ではなくなる場合があります。そのようなときに自ら進んで(あるいはシブシブ)辞表を書いたり、あるいは上司から諭されて辞表を書いたりするわけです。

これが事実上のクビというわけです。

「いやいや、私は絶対に辞めない! 辞めたら暮らしていけなくなるし、辞めるほど悪いことをしたつもりもない!」と頑張る人もいるでしょう。確かにそのように徹底抗戦すれば辞めなくて済む場合もあるかもしれません。悪いことをして辞めさせることができるのは懲戒免職だけですから、上司も組織も無法なことはできません。

しかし、そうやって争った場合には、クビにならなくても、その後は相当きつい状況になることを覚悟しなければならないでしょう。上司や組織の顔に泥を塗った奴と思われて、陰に陽に仕返しが行われるかもしれないからです。場合によっては、クビ以上に大変な状況になるかもしれません。

「クビ」以上に大変かもしれない?組織の怖さについて

すでに働かれている方には想像に難くないと思いますが、実質クビにおいやられる事例というのも存在します。異動や転勤という名の左遷、無視などでしょうか。

例えば今までいた勤務先から外されて、皆が嫌う部署に異動させられるかもしれません。そして上司も同僚もあなたに接する態度は以前と全く違うことになるかもしれません。いわば「いじめ」的に扱われるのです。村八分的仕打ちといってもいいかもしれません。

もちろん制度上はそのようなことをしてはいけないことになっています。しかし、制度に抵触しない範囲でそれは陰湿に行われる可能性があります。もしかすると、「クビ」になった方がまだマシだったと思うかもしれません。悲しいことですが、これは公務の世界に限らず、日本のどのような組織でも行われることではないでしょうか。

公務員のクビについておさらい

それでは長くなりましたが、公務員のクビについて、ここではざっくりまとめておきます。

ポイント1)公務員だって、クビになることがある

ポイント2)公務員はまじめに勤務していれば、よっぽどのことがない限りクビにならない。逆に働けない状況になればクビという判断にもなる。

ポイント3)法律違反に抵触したり、問題行動があったりと、いわゆる「不祥事」ではクビになる

ポイント4)リストラクションによる就業人数を減少せざるをえない地方自治体といった事例も過去にあった

まとめ - 公務員でもクビになりますが、怯えすぎなくてOKです

そんなこんなで、公務員の世界でも結構クビが多いのですが、少し脅かし過ぎたかもしれません。


常識をわきまえて普通にやっていれば、大多数の公務員はクビになったり、クビ同然の仕打ちを受けたりと、そんなことにはならないので、あまり深く考えないでください。

「公務員はクビにならない」と甘く見てはいけませんが、クビになることにやたら怯えることもないということです。例えるなら、乗り物で一番安全と言われる飛行機で世界一周するようなものでしょうか。

公務員もクビになりうることを肝に銘じて、奢らずに、それぞれの任務についてほしいと思います。

小柴龍太郎/編集:公務員総研

(最終更新日:2021年8月1日)

本記事は、2017年6月20日時点調査または公開された情報です。
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