【第2回】オーストラリアの「新型コロナウイルス」の状況と政府の対応

2020年4月、世界中で「新型コロナウイルス感染症」による混乱が続いています。南半球にあるオーストラリアも例外ではありません。

本記事では、現在のオーストラリアの状況と政府の対応についてまとめました。

はじめに

2020年4月7日、安倍首相が「接触を8割削減する」として7都府県を対象に緊急事態宣言を発令しました。日本のみならず新型コロナウイルスは未だ世界の至る所で猛威をふるい、事態が終息する兆しがみえない状況が続いています。

南半球に位置するオーストラリアの多くの地域では、前年10月に始まった夏時間が終わりを告げ、これからインフルエンザのシーズンに突入します。COVID-19そしてインフルエンザの感染拡大を防ぐべく、政府や企業などがさらなる取り組みを発表しています。

第1回に続き今回も、オーストラリアではどのような策が講じられているのか、現地に住む日本人ライターが、最新の情報をレポートします。

新型コロナウイルスに対する各国政府の対応は、公務員のみならず、いま多くの人に読んでもらいたい内容です。

【第1回】オーストラリアの「新型コロナウイルス」の状況と政府の対応

2019年12月に中国の武漢で初めて「新型コロナウイルス感染症(COVID−19)が確認されてから3ヶ月が経った今、WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言し、各国さまざまな対策を取って感染の拡大防止に努めています。長期化も予想されるこの事態をオーストラリアの人々はどのように受け止め、対応しているのか、現地からレポートします。

スコット・モリソン(Scott Morison)首相の対応

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morison)首相は早々に外国人のオーストラリア入国を制限し、続いてオーストラリア在住者の海外渡航を禁止して世界に向けて首相の優れた決断力と政府の迅速な対応をアピールしました。

モリソン政権は、19-20年にオーストラリア全土で起こった森林火災での後手に回った対応を批判する声も上がっていたため、COVID-19の感染拡大防止においては、森林火災の時とは異なり、思い切った方針を次から次へと、スピーディーに発表し、国民からの信頼回復にも務めているという印象を受けます。

現段階では、オーストラリア国内ではヨーロッパやアメリカのような感染者の急激な増加は見られておらず、政府がこれまでに講じたさまざまな策が功を奏したと言えるでしょう。

新型コロナウイルス(COVIDー19)アプリの配信

19−20年の森林災害の際に、現在地から一番近い火災現場までの距離や消化活動の状況などを携帯でチェックできる便利なツールとしてとして広く利用されたのが、「FIre Near Me」という、NSWのボランティア団体NSW Rural Fire Serviceが開発し、管理するアプリです。

このアプリが大変に好評だったため、オーストラリア政府は新型コロナウイルスに関する情報の発信源として、その名も『Coronavirus(COVID-19)』という無料アプリを発表し、利用を促しています。このアプリではCOVID-19関連のニュースやメディアの反応、そして種々アドバイスを発信しています。

また、感染が疑われる場合などに利用できる『症状チェッカー』や自己隔離者登録などの便利ツールも完備しています。アプリ全体がシンプルでわかりやすいデザインなので、「携帯に不慣れな人でも使いやすいもの」を目指したことが伺えます。

特定対象者用のショッピングアワーズ「コミュニティアワーズ」制度

政府が次々にウイルス感染拡大防止策を発表すると、多くの人々の脳裏には「ロックダウン」というシナリオが浮かび、たちまちのうちに店頭からトイレットペーパーや消毒液、そしてマスクが消えてしまいました。

それから1週間もすると、米、パスタ、小麦粉などの買い占めがはじまり、精肉店も連日完売で午前中のうちに店じまいという事態にまで発展しました。モリソン首相は会見の中で「ロックダウンになっても生活必需品を買いに行くことはできるし、商品が店頭から消えることはない」と買い占めを止めるよう国民に呼びかけましたが、今なお特定の商品を手に入れるのは至難の業という状況です。

そんな中、オーストラリアの2大スーパーマーケットチェーン『ウールワース(Woolworth)』と『コールズ(Coles)』では、この事態を受けて高齢者と障害者が安心して買い物ができるよう、平日の朝7時から8時までの1時間は、特定対象者用のショッピングアワーズ『コミュニティアワーズ』を設け、誰もが公平に必要物資を手に入れられる環境を整えました。

さらに現在では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、長時間の勤務を余儀なくされている医療関係者も、この時間帯を利用できることになり、最前線でこの未曽有の事態と戦う彼らを支援する姿勢を示しました。

また『オンラインプライオリティーサービス』と称して同スーパーのネットショッピング利用者で次の条件に該当する者は、ネットで優先的に買い物ができるというサービスも開始しました。

『オンラインプライオリティーサービス』優先利用条件

・70歳以上のネットショッピング利用者で該当者とみなされた者
・65歳以上の国民年金もしくは障がい者年金受給者
・50歳以上の先住民で国民年金もしくは障がい者年金受給者
・老人介護施設や障がい者支援施設、脆弱者を支援するコミュニティー団体

このような試みによって、思い通りに買い物ができないという不安を抱えた多くの人々が救われたことはいうまでもありません。

国民一体となって支える外食産業 – 外食がダメなら持ち帰り

オーストラリア政府は3月29日に、さらに厳しい感染拡大防止策を発表し、これによってスポーツ施設、映画館やエンタテーメント施設、図書館などの公共施設は全面閉館となりました。また飲食店は持ち帰りもしくはウーバーイーツなどの配達のみの営業を余儀なくされました。

これによって、これまでテイクアウトやデリバリーは不可だった高級レストランなども、メニューとサービスを早急に見直し、新しい枠組みでのビジネス展開で生き残りを測っています。また、早々に事態が終息するまで休業するという選択をしたオーナーも多く、昼も夜もレストラン街は閑散としていて、物悲しさを感じずにはいられません。

地方によっては、地元のビジネスをサポートするという観点から持ち帰りの飲食品を受領する際には、15分までなら公共有料駐車場を無料で利用できるという方針を発表している地方政府もあり、事業主からも利用者からも歓迎されました。

商業施設などで灯のともらない店舗が増える中、民政一体となって「ローカルビジネス」を支えようというムードは日に日に高まりつつあり、ソリダリティー(団結)を重んじるオーストラリア人の国民性が伺えます。

COVID-19と戦うための新しい医療体制を構築

オーストラリア政府は感染拡大防止策として、オーストラリア国内で初めての感染者が確認されて間もなく、新しい医療体制を敷設しました。

医師との電話受信が可能になり、医療機関でのクラスターが発生のリスクを真っ先に封じ込めました。そしてイベント会場などを利用して『COVID-19ドライブスルー検査場』を開始した地域もあり、検査体制の見直しも瞬時に行われました。

医療スタッフの確保にも迅速に取り組み、すでに一線を退いている医療関係者に医療現場に戻ってもらえるようアプローチし、また現在資格をとるべく勉強中という医師や看護師のたまごたちにも一線でサポートをしてもらうという方針を発表しました。

イタリアでの爆発的な感染拡大(オーバーシュート)により治療する患者を選ばざるを得ないという状況は、オーストラリアでも衝撃をもって報じられました。オーストラリアでも起こりうる医療崩壊という最悪の事態を防ごうというモリソン政権の目論見は、スピーディーに新しい試み取り入れたことで、効果が得られたものと考えられています。

まとめ

オーストラリアでは非常事態宣言はあれど、未だ都市封鎖という事態には至っていません。しかし予断は許されない状況であることは、日本となんら変わりはありません。

四季のある地域では秋を迎えて煙突から煙があがるようになりました。長いインフルエンザシーズンが到来します。

日本とは常に真逆の季節であるオーストラリアの今後の状況に、ぜひ注視してください。

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本記事は、2020年4月29日時点調査または公開された情報です。
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