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アメリカで感染者数大幅増加中!大統領選と感染数増加の関係(2020年11月記事)

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はじめに - 完全決着がつかない大統領選と、増加する新型コロナウイルス感染者

アメリカでは11月7日に民主党のバイデン陣営が勝利宣言したものの、トランプ大統領は敗北を認めず、12月8日の「選挙人最終確定期限」まで徹底抗戦する構えです。

そんななか、全米で新型コロナウイルスの感染者数が急激に増加しています。アメリカで最も人口が多いカリフォルニア州では、直近10日間で新規感染者が倍増する事態になっており、レストランや美術館などの屋内サービスを禁止する措置が取られています。

アメリカでは10月末のハロウィンからクリスマスまでが「ホリデーシーズン」と呼ばれる、一年で最も盛り上がる季節です。これに合わせるように増えている感染者数と、いまだに決着がつかない大統領選には関係があるようです。

今回は急激に増加している新型コロナウイルス感染と大統領選の関係について、アメリカ在住の筆者目線で解説します。

アメリカの感染状況や規制の様子

アメリカの感染状況を調査しているCovidTracking.comによると、11月4日から連日10万人を超える新規感染者が出ています。11月13日には全米で184,514人の感染が判明し、過去最高を記録しています。なかでも深刻とされているのがカリフォルニア州で、16日には1日で9,890人の感染が確認されました。

アメリカではこれまでの累計で、1,111万人が感染し、246,000人以上が亡くなっています。11月に入ってからは死亡率も上昇しており、1日平均で1,100人が死亡している計算です。2020年8月に起きた爆発的な感染以来、2番目に多いペースで深刻な状況を迎えています。

11月15日時点、全米50州のうち40州で新規感染者数が増えており、各州や自治体で定めたロックダウンの基準値や条件に達するところも出てきています。

16日、カリフォルニア州のニューサム知事は経済活動の再開計画に対し「緊急ブレーキを引くことにした」と述べ、4段階のうち最も厳しい規制レベルに引き上げました。これにより、58郡のうち41郡(同州の人口の90%以上)を対象に、マスク着用義務、屋内営業禁止、そして集会や事業活動も規制されます。

また、イリノイ州のシカゴでは「外出自粛令」が発令され、ニュージャージー州は集会規模を縮小するなど規制を厳しくしました。筆者が暮らすアリゾナ州では、一部の学校閉鎖や政府系機関が2週間閉鎖されることが決まっています。

大統領選の再集計で注目されているペンシルベニア州のフィラデルフィアは、2021年1月まで映画館や飲食店の屋内営業を禁じ、同じ家に住んでいない人が屋内で集まることも禁止する措置を取りました。

このことは、アメリカで最も盛り上がる祝日である「サンクスギビングデー(11月23日)」と「クリスマス(12月25日)」に、家族や親戚が集まれないことを意味します。日本で例えるなら、お正月に家族や友人と過ごせないようなものです。


アメリカ人は「サンクスギビングデーとクリスマスだけは家族と過ごす」という人が多く、感染防止を巡る規制によって、移動や集会(パーティー)が出来なくなって精神的な苦痛を強いられます。同時にブラックフライデーのような「ホリデーショッピング」による経済効果も減るため、今回の感染拡大は全米に暗い影を落としています。

アメリカ大統領選と新型コロナウイルス感染拡大の関係

今回の感染拡大と大統領選には関係があると見られています。

大規模政治集会による感染

11月3日の投票日前はトランプ陣営、バイデン陣営ともに各地で大規模集会を開催しました。両陣営とも感染防止対策を実施したとするものの、決して厳格な対策とは言えず、密集状態であったことは否めません。

なかでも問題視されているのが、共和党支持者(トランプ陣営)による集会で、強制を嫌ってマスクを着用しない人や、感染を過度に恐れるべきでないとする人たちが大勢集まったことがあります。

バイデン氏による勝利宣言後の11月14日には、ワシントンD.C.で再集計を訴える数万人規模の抗議デモが実施され、共和党支持者らによる抗議活動は全国で続いています。

両陣営をはじめ、特定の政党を支持するメディアは不都合になることを恐れ、今回の感染拡大と政治集会を結びつけることはしていません。

共和党支持者による反発

共和党支持者は、民主党による強制的な感染防止対策を嫌悪する傾向が強く、マスクの着用を拒否するなどして規制に反発しています。

民主党のバイデン氏は、新政権における最重要課題として「新型コロナウイルス対策」を挙げており「国民に協力を求める」と発言しています。

この発言内容には「マスク着用義務」や「ワクチン強制接種」、「外出自粛」などが含まれているとされており、仮に実現すれば共和党支持者にとっては耐えられないことです。

だからこそ、共和党支持者は規制に猛反発している訳ですが、皮肉にも感染者数は増えており、民主党からすれば「強制的な規制が必要」と実施に向けた機会を与えています。

11月16日、バイデン氏は「(トランプ政権からの)政権移行が遅れれば、より多くの人が死ぬかもしれない」と発言しており、連日続いている感染拡大と感染防止対策の遅れに懸念を示しています。

アメリカにおける今後の影響

今回の感染拡大はしばらく続くと見られます。

その理由として挙げられているのが「ホリデーシーズン」です。アメリカでは10月末のハロウィン、11月のサンクスギビングデー、そして12月のクリスマスと大きなイベントが短い期間に集中しています。

また、これに伴う全国的な移動やパーティーも増えることから、感染の機会事態が増えることになります。ニューヨーク州のように、他州から入ってくる人に対して2週間の隔離措置や事前テストの義務付けをしていれば抑制効果はあるかもしれませんが、多くの州ではここまで厳しい措置はとっていません。

今回の感染拡大を受けて多くの州で規制が強まりましたが、あくまでも各州が定めたガイドラインに基づく措置であり、強制力を伴いません。そのため、感染防止対策としては懐疑的な部分が多いのが実情です。


事実、アメリカ国内の飛行機移動はマスク着用と体温チェックしか実施されておらず、管理はずさんと言わざるをえません。また、学生数40,000名を超えるアリゾナ大学では、サンクスギビングデーに合わせて学生が帰省することを容認しており、感染防止を巡る対応はまちまちです。

日本では国や自治体による規制を遵守することは当たり前ですが、アメリカでは政治思想や支持政党、政策に対する反発などを理由に統制が取れないことが当たり前のように起こります。

ましてや、大統領選の結果を巡って分断が起きている状況下で、感染者数が増えていることは統制が取れない今のアメリカでは「不吉な予感」と言えます。

ホリデーシーズンに規制を強めることは国民の分断を助長し、経済にも大打撃を与えることからメディアによる報道は控えめです。これも感染が増えている隠れた原因と言えるかもしれません。

まとめ

以上、「アメリカで感染者数大幅増加中!大統領選と感染数増加の関係」でした。

11月以降全米で続いている大規模な感染拡大は、本格的なホリデーシーズンの到来や大統領選に関連する集会など、人々が集まる機会が増えたことがひとつの原因とされています。

同時に、感染拡大を防ぐために規制を強めたい民主党と、それに反発する共和党で衝突が起きているのも事実です。これまで、5月と8月に全国的な感染が起きたアメリカですが、今回の感染拡大は「規制を巡る衝突」において、これまでとは様相が異なります。

大統領選の正式な決着、円滑な政権移行、そして次期政党による感染防止対策の強制力が焦点です。

参考資料サイト

CovidTracking.com
https://covidtracking.com/

本記事は、2020年11月25日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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