【日本のメディアが報じないアメリカ大統領選】「クラーケンを解き放つ」とは?不正選挙の追及とその影響(2021年1月)

2020年11月に行われたアメリカ大統領選挙は、紆余曲折の末、バイデン氏の勝利で幕を下ろしました。しかし、選挙が終わった後でも、「選挙に不正があった」と訴える女性弁護士がいます。

本記事では、2020年アメリカ大統領選挙において「不正を追及する女性弁護士」である「シドニー・パウエル弁護士」とその影響について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

特筆すべきは、アメリカにおいても、この件について、影響力が大きいテレビや新聞などのメディアが意図的に報じないことです。私たちも公務員総研編集部も全てのテレビやマスメディアを目を通しているわけではありませんが、日本でももっと大きく取り上げてもいいのではないかと考えおり、今回取り上げさせていただきました。


はじめに – 日本のメディアが報じないアメリカ大統領選

みなさんは「クラーケン(Kraken)」をご存知でしょうか?

クラーケンは古くから北欧で伝わる「海の怪物」のことで、海を行き交う船を海の中に引きずり込んでしまう伝説上の生き物です。

いまアメリカで「クラーケンを解き放つ(Release the Kraken)」と発言し、注目を集めている女性がいます。この女性は大統領選で行われた不正選挙の実態を暴き、民主党や巨大IT企業らがいかに悪事を働いていたかを追及すると主張しています。

今回は、大統領選が終わった後でも不正選挙の実態を追及し続ける女性の活動や、影響、新たな問題など、日本のメディアが報じない部分をまとめてご紹介します。

「クラーケンを解き放つ」という発言の意味

はじめに「クラーケンを解き放つ」という言葉の意味を理解しましょう。

「クラーケン」の由来は中世北欧の伝説

クラーケンとは北欧を中心に信じられてきた伝説上の「海の怪物」のことです。明確な姿はなく、巨大な頭足類という特徴から、伝記やイラストでは巨大タコ、巨大イカ、クジラとして描かれています。

1600年頃からノルウェー近海やアイスランド周辺に潜んでいると信じられてきており、船を海の中に引きづり込む恐ろしい生き物として扱われてきました。

「クラーケンを解き放つ」、言い出したのはシドニー・パウエル弁護士

今回「クラーケンを解き放つ」と発言したのはシドニー・パウエル弁護士です。1955年、ノースカロライナ州生まれで、連邦検察官を務めた後に弁護士として活躍している女性です。

パウエル氏が全米で知られるようになったのは、トランプ元大統領と一緒に不正選挙を訴え続けたためです。トランプ氏が法廷闘争で敗れ、選挙人投票も覆せないと判明して以降も、トランプ氏と一緒に不正選挙を訴え続けていました。

パウエル氏は不正選挙に抵抗する術を失ったトランプ氏に対して「戒厳令」の発令を提案した中心メンバーのひとりでもあります。また、同メンバーのマイケル・フリン元大統領補佐官の弁護人でもあり、退任間際のトランプ氏を間近で支え続けた人物です。

2020年アメリカ大統領選の不正を暴くためのスローガン

そんなパウエル氏が「クラーケンを解き放つ」と発言した真意は「大統領選の不正を暴く」という意味があります。また、不正を働いた人たちを引きずり下ろす、不正の証拠を暴露するといった意味も込められています。


同氏はこのフレーズを不正選挙を暴くためのスローガンとして度々使用しており、大統領選が終わってからも同氏に賛同する人やQアノンなど陰謀論を信じる人たちの間で共通の言葉として広く使われてきました。

このフレーズはバイデン大統領や民主党に批判的な人たちによって48時間以内に100,000件以上リツイートされトレンド入りしました。一方、パウエル氏に批判的な人からは同氏が主張する不正選挙の証拠が誤字脱字だらけとバカにされています。

「クラーケンを解き放つ」というフレーズの影響

このフレーズが初めに使用されたのは大統領選投票日から10日経過した2020年11月13日で、同氏が出演したテレビ番組の「フォックス・ビジネス・ネットワーク(Fox Business Network)」です。

▼出典:フォックス・ビジネス・ネットワーク|Sidney Powell With Lou Dobbs: Release The Kraken
https://www.youtube.com/watch?v=SFCXPw1t17o&feature=youtu.be

同番組内で「何十万票という不正な票がある」としたうえで「大統領選における不正行為は民主党、シリコンバレーの大企業、SNS企業、そしてメディアによって入念に準備された」と主張しました。そして「クラーケンを解き放つ」と発言し、民主党が隠そうとする不正を暴露するのではないかと注目が集まった訳です。

この発言を含んだ動画は4日で130万回再生(これまでに150万回再生)を超え、トランプ支持者らによって一斉に拡散されました。

「クラーケンを解き放つ」という印象的なフレーズによって、多くの人が「選挙は盗まれた」や「不正の証拠がある」、「民主党は何かを隠している」と信じるようになり、議事堂占拠事件のような大混乱につながったという訳です。

「クラーケンを解き放つ」発言、その後の展開

バイデン大統領が就任して以降もパウエル氏や賛同者による活動は続いています。

これらの動きは2022年の中間選挙やバイデン大統領の弾劾訴追にも影響を及ぼす可能性があるので、あながち無視できません。

「Restore the Republic PAC」の設立

パウエル氏は自身が弁護人を務めるマイケル・フリン元大統領補佐官や、実業家のマイク・リンデル氏らと協力し「Restore the Republic PAC」を設立しました。

この組織はトランプ氏を支援することを主な目的にしており、先の大統領選でトランプ氏が受けた憲法上の権利や言論の自由に対する抑圧に反対するための活動を続けるとしています。

また、個人利益や政治的利益のために憲法を破棄した候補者(バイデン大統領とみられる)、巨大IT企業、メディアの嘘を暴露するとしており、不正選挙の実態を暴くための組織と言えます。

バイデン大統領弾劾に向けた動き

不正選挙の存在を肯定し、Qアノン支持者としても知られる共和党のマージョリー・テイラー・グリーン議員は、バイデン大統領が就任して2日目の1月21日に弾劾条項を提出したことを明らかにしました。

弾劾の理由は「バイデン大統領の息子ハンター氏がウクライナのエネルギー企業の取締役に就任したことがバイデン大統領の職権乱用に該当する」というものです。(不正選挙の存在は公に否定されているため弾劾の理由にならなかったとみられる)


同氏は発表の際に「#ImpeachBidenNow(バイデンを弾劾しよう)」というハッシュタグを付けてツイートし、弾劾の動きを活発化させようとしました。しかし、同ハッシュタグはハックされてしまい、K-POPアーティストの画像ばかりが出てくる珍現象が起こっています。

これは2020年11月にトランプ支持者が不正選挙に抗議するための運動「Million MAGA March」を計画した際、ハッシュタグ「#MillionMAGAMarch」の結果がパンケーキの写真ばかりになったことと同じ現象です。

SNS上では、トランプ氏の支持や不正選挙の追及を広めようとすると、何者かが阻止する動きが出ていることがよくわかります。

アメリカでの反応は?

クラーケン騒動を巡るアメリカの様子はどうでしょうか?アリゾナ州で暮らす筆者目線で紹介します。

主要メディアによる報道は皆無

テレビ、新聞、ラジオはクラーケン騒動について報道していません。この理由には、不正選挙については最高裁で決着していることや、トランプ氏はすでに敗北し退任したことがあるでしょう。

また、公共性が高いメディアが不確かな情報を報道する訳にはいかないことや、そもそもガセネタ扱いしていることも影響しています。

一方、懸念すべきことは、影響力が大きいテレビや新聞などのメディアが意図的に報じないことです。

事実、アメリカの大手テレビメディア(NBC、ABC、CBS、CNN)は、トランプ氏が不正を訴えたテレビ演説を中断したり、インターネット演説を報じなかった経緯があります。

強いて挙げれば共和党寄りで知られるFOXニュースが取り上げる程度ですが、FOXニュースさえもパウエル氏の動向を伝えたのは1月8日が最後です。

▼参考URL:パウエル氏のツイッターアカウントが永久停止された報道
https://www.foxnews.com/politics/twitter-permanently-suspends-flynn-sidney-powell-says-engaged-in-harmful-activity-related-to-qanon

インターネットでも制限されている

テレビとは対照的にインターネット(SNS)では、Qアノン支持者やトランプ支持者らによって取り上げられています。

しかし、1月8日にクラーケン騒動の張本人であるパウエル氏のツイッターアカウントが「陰謀論の扇動」を理由に永久凍結されました。同時にフリン氏のアカウントも停止されています。(翌日にはトランプ氏のアカウントも停止された)

また、同氏を支持していた人たちや、Qアノン支持者らのアカウントも規約違反(暴力扇動や偽情報の拡散)を理由に次々と凍結され、その数は7万件に及びます。このことからSNSを通じた拡散は事実上不可能です。

ツイッター上で言論の自由を奪われた人たちは、検閲しないSNSとして知られる「Parler」に乗り換えましたが、1月10日にはホスティングサービス(AWS)を提供するアマゾンが同サービス提供を停止、アプリを提供していたアップルとグーグルもアプリを削除しました。

つまり、不正選挙や陰謀論を訴えていた人たちは巨大IT企業によって言論の場を強制的に奪われた訳です。このような弾圧的な対応に対抗するために先述したRestore the Republic PACが設立されました。

ほとんど知られていない

パウエル氏はトランプ支持者の間では知られた存在ですが、バイデン支持者や民主党支持者はほとんど知らないでしょう。この背景にはメディアやSNSの制限が影響しています。

民主党支持者からすれば不正選挙は当初から「荒唐無稽な話」でしかなく、負けを認めたくないトランプ氏による言い訳に過ぎません。事実、民主党寄りのメディアは不正選挙に関連するニュースは否定的なものが多く、どれもトランプ氏を攻撃する内容です。

民主党が政権を握ったいま、パウエル氏の主張はむなしく響くだけで、無視されているのが実情です。実質的に主張する場を奪われているため、民主党政権が続く限り抑圧が続くと見られます。

まとめ

以上、「クラーケンを解き放つ!不正選挙の追及とその影響」でした。


シドニー・パウエル氏によってトランプ支持者の間で広まった「クラーケンを解き放つ!」というフレーズですが、メディアや巨大IT企業によって半ば強制的に封じ込められている状況です。

同氏は自身のウェブサイト(https://www.sidneypowell.com/)を通じて不正選挙や陰謀論の主張を続けていますが、多くの人に声が届かないジレンマを抱えています。根拠がない陰謀論や虚偽情報の拡散を理由に発言を封じるツイッター社の対応は、アメリカの次なる論争の火種として懸念されています。

また日本でも野党が郵便投票を取り入れようというTwitterの投稿があり、不正選挙を推進したい意図があるのではないかと?と話題になっていました。

参考資料サイト

FOX NEWS|Twitter permanently suspends Flynn, Sidney Powell, says they engaged in ‘harmful activity’ related to QAnon
https://www.foxnews.com/politics/twitter-permanently-suspends-flynn-sidney-powell-says-engaged-in-harmful-activity-related-to-qanon

シドニー・パウエル氏のウェブサイト
https://www.sidneypowell.com/

本記事は、2021年1月26日時点調査または公開された情報です。
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