国連食糧農業機関(FAO)の基本情報

国際連合の専門機関である「国連食糧農業機関(FAO)」の組織について基本情報をまとめました。


はじめに

国連の関連機関には、市場・食品サプライチェーンおよび家畜への潜在的な影響を評価し、対応することを目的とするFAO(国連食糧農業機関)というものがあります。

本ページでは、「FAO」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

「FAO」は国連食糧農業機関のこと

「FAO」はFood and Agriculture Organization of the United Nationsの略で、日本語に訳すと「国連食糧農業機関」のことです。母体組織は国際連合経済社会理事会です。

「FAO」は、国連、つまり国際連合の専門機関の一つで、1945年に「飢餓の撲滅を世界の食糧生産と分配の改善と生活向上を通して達成すること」を目的として設立されました。

なお、日本が「FAO」に加盟したのは、1951年10月です。

「FAO」の組織体制について

「FAO」の本部は、イタリアのローマにあり、このほか5つの本部組織「農業消費者保護局」「水産養殖局」「林業局」「技術協力局」「サービス・人事・財務局」が設置されています。

本部以外は、タイ・ハンガリー・ラテンアメリカ・エジプト・ガーナに5つの地域事務所があるほか、6つの連絡事務所、10の地域支所、85の国別事務所などが世界各地に配置されています。

通常、「FAO」では、2年に1回、総会が開催され、政策の決定や予算の承認を議決し、事務局長の選出が行われます。

総会で選出された49ヶ国の理事国によって、任期を3年とする理事会が構成され、FAOの実質的な運営機関として活動しています。

また、理事会の下には、以下の8つの常設委員会が設けられています。

1)計画委員会(Programme Committee)
2)財政委員会(Finance Committee)
3)憲章法務委員会(Committee on Constitutional and Legal Matters)
4)農業委員会(Committee on Agriculture)
5)商品問題委員会(Committee on Commodity Problems)
6)水産委員会(Committee on Fisheries)
7)林業委員会(Committee on Forestry)
8)世界食料安全保障委員会(Committee on World Food Security)


「FAO」の役割

「FAO」の主な役割は、食料の安全保障と栄養、作物や家畜、漁業と水産養殖を含む農業、農村開発を進めることです。

また、194の加盟国が貧困と飢餓をなくし、その天然資源を持続可能な方法で利用できるように支援する役割も担っています。

現在、「FAO」は、130カ国以上の国々において政策やプランニングに関するアドバイスを提供し、情報の収集と普及を進め、食料と農業について審議するための国際フォーラムとして活動しています。

▼参考URL:国際連合広報センター「国連食糧農業機関(FAO)」(外部サイト)

「FAO」の主な活動

「FAO」は、1945年に創設されたことを記念として定められた、毎年10月16日の「世界食糧デー」に、世界各地で行われる記念行事で食糧と農業のテーマを推進することを主な活動としています。

また、「FAO」は、下記の5つの目標を中心に事業を進めています。

1)飢餓・食料不足・栄養不良をなくすること
2)農業・林業・漁業をより生産的かつ持続可能にすること
3)農村の貧困を削減すること
4)包摂的かつ効率的な農業食料システムを可能にすること
5)脅威や危機に対する生活の対応性を増強すること

「FAO」の新型コロナウイルス対策

「FAO」の新型コロナウイルス対策は、大きく分けて4つあります。

1)パンデミックが食品と農業に与える影響に対する理解・緩和
2)経済的最下層の人々の食料安全保障と生計の保護
3)ウイルスの起源と拡散に関する理解
4)統一されたワンへルスアプローチの確保

パンデミックが食品と農業に与える影響に対する理解・緩和

「FAO」は、パンデミックが職員および農業セクターにどのように影響しているかを分析し、国別に消費者の国別分類を作成・更新し、パンデミックの生計、食料・農業・市場・貧困・栄養への影響を評価し、政策ブリーフを作成します。

また、ビッグデータ・人工知能などを通じて、主に、緊急・栄養・貿易・社会保護・開発と変革・インセンティブと阻害要因という6つの主要な分類に分けて、過去の危機に採用された各国の政策対応を特定・評価します。

経済的最下層の人々の食料安全保障と生計の保護

「FAO」は、新型コロナウイルスの直接的・間接的な影響によって生じているニーズに対応し、継続して支援を行います。

具体的には、小規模農家や牧畜業者に健康支援とともに資料や道具などを提供したり、低栄養と貧困が蔓延している地域社会に種子や家庭用ガーデニングキット、食糧貯蔵システムなどを配付して、家庭の栄養を改善させます。

また、現金の交付により、貧困な家庭への支援を行い、特にアクセスがこんなな農村地域で社会保護システムを拡大しています。

ウイルスの起源と拡散に関する理解

「FAO」は、新型コロナウイルスがどのように出現し、拡散したのかを理解するため、69ヶ国にある獣医研究所のネットワークを通じ、ウイルス循環の監視をサポートし、各国の食料システムの混乱や集団発生を防ぐための支援を行っています。


統一されたワンヘルスアプローチの確保

「FAO」は、病気・害虫の脅威を減らし、安全な食糧供給を確保するための総合的な取組である「ワンヘルスアプローチ」を確保し、各国が疾病など健康を脅かされる場合に、それを防止・検出・制御するためのグローバルな支援を行っています。

▼参考URL:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)FAO公式情報特設ページ
(http://www.fao.org/japan/portal-sites/covid-19/en/)

まとめ

このページでは、新型コロナウイルスの調査や研究、そして感染予防のために警戒意識をもってもらうためのパンデミック宣言など、新型コロナに関連して話題を集める「FAO」について、どのような組織なのかをご紹介しました。

「FAO」は国連の専門機関であり、飢餓を撲滅するため、世界の食糧生産と分配の生活や生活を向上させるために設置された組織です。

「FAO」の宣言や勧告について、法的権限はありませんが、加盟国の一員としては、「FAO」に従うのは暗黙のルールになっている状態です。

2020年の東京オリンピックの開催について、IOC(国際オリンピック協会)は「WHO」の勧告に従って開催について検討することを表明しました。

それだけに、今後、「FAO」がどのように「WHO」に連携し、どのような方針をとるのか、ますます注目が集まっています。

本記事は、2021年9月10日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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