わかる政治経済シリーズ 第33回

「国会」の3つの地位と2つの原則

国会の地位と権能シリーズ第1回目は、「国会の地位と権能」の中の「国会の地位」について説明します。


「日本国憲法」による「国会」の規定

「日本国憲法」では「国会」について第41条で次のように規定しています。

第41条 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

出典)日本国憲法

「国会」には「国権の最高機関」「唯一の立法機関」さらに「国民の代表機関」としての地位があります。以下でそれぞれについて詳しく説明していきます。

「国会」の地位その1 「国権の最高機関」

まず「国会」の地位の1つ目として「国権の最高機関」というものがあります。これは、「立法」「司法」「行政」といった国家権力を担うそれぞれの機関の中で、「立法」を担う「国会」がもっとも重要な機関であるということです。

「国会」がもっとも重要な機関であるのは、後述するとおり「国会」は「主権者」である国民を代表する機関であるため、「国会」が国政の中心である(「国会中心主義」)という考え方があるからです。そのため、「国会」が中心であるとはいっても「内閣」や「裁判所」より法的に上位に位置することを意味するものではありません。

「国会」の地位その2  「唯一の立法機関」

次に「国会」の地位の二つ目に「唯一の立法機関」であるということがあります。

「立法」というのは法律を制定することです。つまり、日本において法律を制定することができる機関は原則的に「国会」だけであるということが言えます。ただしこれには例外もあるので後述します。

以下で「国会」が「唯一の立法機関」であることを理解するうえで重要な原則とその例外を以下で2つ紹介します。

「唯一の立法機関」の原則その1「国会中心立法の原則」とは?

「国会中心立法の原則」とは、「国会」のみが「立法権」を持つ、つまり「国会」だけが国の決まりを法律という形式で制定できるという原則のことです。

ただしこの原則には例外があります。「法律」を制定できるのは「国会」だけですが、「内閣」は「政令」というかたちでルールを作ることができますし、「両議院」や「最高裁判所」は「規則」を発することができます。また、「地方公共団体」は「条例」を定めることができます。


「内閣」による「政令」の制定権は憲法第73条、「議院」による「規則」の制定権は第58条、「最高裁判所」による「規則」の制定権は第77条、「地方公共団体」の「条例」の制定権は第94条でそれぞれ保障されています。

「唯一の立法機関」の原則その2「国会単独立法の原則」とは?

「国会単独立法の原則」とは、「国会」は他の国家機関の干渉を受けることなく「立法」を行うことができるという原則です。

ただしこちらの原則にも例外があります。「憲法改正」を行うには「国会」単独の決定で行うことはできず、「国民投票」で国民の意見を問い、過半数の賛成を得る必要があります。日本国憲法第96条で次のように定められています。

第96条 1項 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

出典)日本国憲法

憲法の改正は国のあり方に極めて大きな影響を与えるため、いくら国民の代表機関である「国会」であっても単独で決定することはできず、「主権者」である国民一人一人が最終的な判断を行わなければなりません。

「国会単独立法」の原則の例外のもう一つは「地方特別法」です。「地方特別法」とはある一つの「地方公共団体」にのみ適用される「特別法」のことで、これを制定するためにはその「地方公共団体」で「住民投票」を行い、過半数の同意を得なければいけません。「地方特別法」について憲法第95条では次のように定めています。

第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

出典)日本国憲法

「地方特別法」は特定の「地方公共団体」のみに適用される「特別法」であるため、その地域に特有の事情などを考慮する必要があり、その「地方公共団体」の「自治権」を尊重するため、「国会」単独では法律を制定できないようになっています。

「国会」の地位その3  「国民の代表機関」

最後に、「国会」の地位の三つ目に「国民の代表機関」というのがあります。

憲法第43条で次のように定められています。

第43条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

出典)日本国憲法

「国会」は「衆議院」と「参議院」の両院によって構成されていますが、これらの「議院」は国民によって「正当に選挙された国会における代表者(憲法前文)」である「国会議員」によって組織されています。


そのため、「国会」は主権者である「国民」の意見を直接的に反映したものであるという考えから「国会」は「国民の代表機関」と位置づけられています。

まとめ

以上、国会の地位と権能シリーズ第1回目「国会の地位と権能」の中の「国会の地位」について説明しました。

本記事は、2023年3月7日時点調査または公開された情報です。
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