地方公務員「警察官」(東京都の場合)の給料・平均年収・退職金

東京都の地方公務員の「警察官」の初任給や平均年収・退職金について解説します。


はじめに

東京都の警察組織は「警視庁」と呼ばれ、日本の首都を守る警察組織です。東京都内に102の警察署を配置し、その本部として「警視庁」が存在します。

警察官には、国家公務員と地方公務員の2種類あり、「警察庁」に所属するのが国家公務員の警察官、「都道府県警察」に所属するのが地方公務員の警察官です。「警視庁」は東京都の都道府県警察にあたり、名前は「警察庁」と似ていますが、あくまでも東京都内を管轄する警察組織です。

なお、都道府県警察の職員は「地方公務員」というのが原則ですが、都道府県警察署員の中でも、階級が「警視正」以上の警察官は、一般職の「国家公務員」という扱いになります。(※警察法(昭和二十九年六月八日法律第百六十二号) 「第五十六条第一項」より)

地方公務員の警察官の給料について(東京都の場合)手取りは保険料を差し引いた7〜8割程度。

地方公務員の警察官(東京都)の給料は、東京都人事委員会の公安職給料表に基づいて計算されます。役職ごとに定められている「職務の級」と、勤続年数によって決まる「号給」が重なるところが、その職員の給料というしくみになっています。

号給は一般的には、1年勤務したら4つ上がるようです。参考までに、3年目の巡査(1級12号)と巡査長(2級12号)、5年目の巡査(1級20号)と巡査長(2級20号)の給料表をご紹介します。

巡査(1級) 巡査長(2級)
3年目(12号給) 183,400円 216,600円
5年目(20号給) 200,800円 230,700円

》参考URL:東京都人事委員会|東京都職員給料表

警察官の手取りの給料は、給与から税金や保険料が引かれた金額

警察官の毎月の「給与」は、上記でご紹介した基本給となる「給料の月額」に加えて、特別調整額(管理職手当)・扶養手・地域手当・住居手当・その他の手当の合計値です。

なお、公務員も「税金」や「社会保険」は、民間企業と同じく、給与から差し引かれますので、手取りの金額は給与の7〜8割程度となります。

地方公務員の中で、警察官の平均年収、平均給与は高い水準!

平均給与月額 平均給料月額 平均年収概算 平均年齢
地方公務員全職種 約41万円 約32.5万円 約622万円 41.8歳
警察職 約46万円 約32.5万円 約682万円 38.8歳

※平均年収概算は公務員総研算出・ボーナスは給料×4ヶ月で計算しています。

2022年の全国の警察職の、基本給に諸手当を含んだ「平均給与月額」は約46万円です。

地方公務員の全職種の平均給与月額が約41万円のため、他の地方公務員の職種に比べると警察官は月額の給与や、年収が高い傾向にあります。


上記の表からざっくり8割を手取りの金額だと計算すると、警察職の手取りの平均金額は、約596万円と算出することができます。

出典)総務省|令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要(P7)

》参考URL:総務省|令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要

学歴によって警察官の給料に差はある?勤続年数が長くなると、学歴は関係無くなる傾向

総務省の地方公務員の給与実態調査結果によると、都道府県に所属する警察職員のうち、勤続年数が浅いうちは大卒と高卒の職員によって平均給与に差があるようです。

しかし、勤続年数が長くなるにつれてその差は縮まります。勤続年数が長くなると、学歴というよりは職務の階級や、勤続年数による号給の方が給料額には大きく影響してくるということです。

警察官として給料を上げるには、昇級試験を受けて階級を上げ出世するか、とにかく長く働き続けるか、といったことが重要になってきます。

都道府県警察職ー学歴別平均給料月額

経験年数(勤続年数)/学歴 大卒 高卒
5年以上7年未満 255,150円 226,983円
10年以上15年未満 305,725円 273,355円
30年以上35年未満 420,603円 410,737円

》参考URL:総務省|「令和4年地方公務員給与実態調査結果」第6表1(2)都道府県 警察職

東京都の警察官の初任給例(令和4年1月1日時点)大卒・高卒ではどう違う?

東京都に所属する地方公務員警察官の初任給は、採用区分でわかれます。

主に「大卒」の受験区分である「I類採用者」の場合、255,300円、主に「高卒」の受験区分であるIII類採用者の場合213,900円です。

この初任給は、令和4年1月1日現在の給料月額に、地域手当(20%)を加えたもので、100円未満は切り捨てられています。

このほかに別途、扶養手当、住居手当、通勤手当、また勤務に応じた特殊勤務手当等を加えたものです。また、民間のボーナスにあたる期末・勤勉手当は、年間で給料月額の4.45か月分が支給されます。

なお、採用前に一定の勤務経歴のある人には、上記の額に所定額が加算されるケースもあります。

全国でも高水準!東京都の警察職の平均給与データと年収例

東京都の発表によると、2022年の東京都の警察職の平均年齢は39.6歳で、平均給料月額は323,408円、それに諸手当を加えた平均給与月額は、514,842円です(2022年(令和4年)4月1日現在)。

この数値を元に計算すると、東京都の警察官の平均年収は、約761万円(※1)です。

※1:平均年収は、公務員総研の予測概算値です。月給与の12ヶ月分とボーナスは、おおよそ給料月額の4.45ヶ月分を仮に計算して、算入しています。

》参考URL:東京都|「都職員の給与の状況」(第42回)の概要について


警察官(東京都)の勤務体系・福利厚生など

2022年(令和4年)の警視庁の採用ページによると、警察官(東京都所属と地方公務員の場合)の勤務制度や福利厚生は下記の通りです。

諸手当

地域手当のほかに、扶養手当、住居手当、通勤手当などの他の地方公務員と同様の内容に加え、勤務に応じた特殊勤務手当等が支給されます。民間企業のボーナスにあたる期末・勤勉手当は、給料月額の4.45か月分が年間で支給されます。

勤務制

毎日制勤務の場合は午前8時30分~午後5時15分で、交替制勤務の場合は職務により三部制から八部制までに分かれて組まれます。

交番勤務の場合は四部制です(4日に1回の夜間勤務)。

週休日、休日、休暇等

職務上、土日休みではなく週休日(4週間ごとの期間につき8日)が基本です。

その他、祝日休、年末年始休、年次有給休暇(20日)、特別休暇(夏季、結婚、出産、ボランティア等)、介護休暇、育児休業等があります。

単身寮・家族住宅

単身寮が完備されていて、警察学校を卒業後に、配属先の警察署に近接した単身寮に入寮できます。寮費等の負担は少ないよう設定されており、女性専用の単身寮も都内各地にあります。

都内各地に、家族住宅が用意されています。2人世帯から4人以上世帯用までさまざまなタイプの家族寮があり、家族の増加に伴って広い住宅へ転居することも可能なようです。

健康管理サポート

健康診断や各種検診などに加えて、メンタルヘルス対策も充実させています。

また、職域病院として中野区の東京警察病院や、警視庁本部と警察学校内に診療所を設置し、職員の診療体制を整備しています。

福利厚生施設サポート

警視庁職員互助組合があり、組合員は、対象のホテルや遊園地施設との特別割引契約を受けることができます。

出産・育児に関する休暇や制度

休暇等の支援として、妊娠症状対応休暇、妊婦通勤時間、母子保健健診休暇、妊娠出産休暇、出産支援休暇、育児参加休暇、育児時間、子どもの看護休暇、育児休業、部分休業、育児短時間勤務などが整備されています。

施設・制度面の支援として、子育てアドバイザー制度、育児休業復帰支援講座・子育てイベント、家族住宅敷地内に東京都認証保育所、ベビーシッター(共済組合や互助組合による割引制度)などの保育サポートを用意しています。

また、出産費・祝い金等の支援として、出産費・家族出産費、出産費附加金・家族出産費附加金、出産祝金、育児休業手当金、保育サービス利用補助(組合員が勤務の都合により、ベビーシッターや託児施設を利用した場合にかかった費用の一部を補助する制度)があるようです。

勤務・異動について

配属先は、適性や警視庁全体の人事配置を勘案して決定されます。基本的に他道府県への異動はありませんが、他の組織への出向というケースはあるようです。

》参考URL:令和4年度警視庁採用サイト

東京都の警察官の職員数は全国ランキング1位で、4万人越える

2021年(令和3年)4月1日の東京都の警察官の職員数は43,566人です。

東京都の警察官数は全国で1番に多い職員数であり、全国2位の大阪府は約23,000人ほどですので、いかに警視庁の警察官が多いかがわかります。

東京都の警察官の退職金について。勤続年数10年以上で1000万円越え!勤続25年で約2000万円越え!

東京都の警察官をはじめとする地方公務員(東京都)の退職金は、退職手当基本額(退職時の給料月額×支給率)+退職手当調整額で計算されます。


計算すると、およそ勤続年数10年以上で1000万円、勤続25年で2000万円を超える金額となります。

2022年の東京都職員の退職手当の平均支給額は、定年等退職で「2,210万円」(平均勤続年数33年8月)です。前年度に比べて、12万円(0.5%)の減額となっています。

》参考URL:東京都|「都職員の給与の状況」(第42回)の概要について

まとめ - 警察官の給料は他の公務員より高い!けれど職務に対しては安いという指摘も

このページでは、警察官の初任給、毎月の給料、平均年収、ボーナスや退職金についてご紹介しました。また、全国でも高い水準にある東京都の警察組織である警視庁の給料や予測した平均年収についても解説しました。

警察官の職務は体力的、精神的にも負担が大きい場合があり、基本給に加えて手当が充実しているので、合計した「給与額」が他の地方公務員に比べても高い傾向にあります。

ただし、勤続年数や階級によるので個人差はありますし、ハードな職務に対してまだまだ給与が安いのではないかという考え方もあるようです。

総務省が公表している表や、各自治体の俸給表などでだいたいの給料額の目安は計算することができますので、気になった方は計算してみてください。

(作成日:2017年4月7日/更新日:2023年2月2日)

本記事は、2017年4月7日時点調査または公開された情報です。
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