【備えあれば憂いなし】年末年始の防犯・防災対策について

何かと慌ただしい年末年始は、色々な犯罪や火事、事故も起きやすくなっています。ここでは、なぜ年末年始に犯罪や事故災害が増えるのかの原因についてと、今からでもできる年末年始の防犯・防災対策について解説しています。


年末年始に発生しやすい犯罪とは

年末年始に発生しやすい犯罪1:空き巣被害

年末年始は一般企業から店舗まで休みとなっている所が多く、長期休みを利用して実家や地元への帰省、国内外への旅行をする人も少なくありません。年末年始の間、留守になっている家庭や営業していない店舗や事業所を狙った空き巣被害が多発します。

窓ガラスなどを破る、玄関ドアや勝手口の鍵をピッキングで開けるなどで侵入されるだけでなく、年末年始は空き巣に入った家庭や店舗の周りも留守にしている所が増え、普段よりも更に人気が無くなる事から、はしごなどを使用して二階部分から侵入する大胆な空き巣被害も増えやすくなっています。

年末年始に発生しやすい犯罪2:ひったくり被害

12月はボーナスの支給月でもあります。以前はボーナスも現金でそのまま支給されていたので、ボーナスを支給されたばかりのサラリーマンなどを狙ったひったくり被害が多くなっていましたが、現在は働く人のほとんどが口座振り込みでボーナスを受け取るようになりましたので、直接ボーナスを受け取った人へのひったくり被害は減少しました。

一方で、社員へボーナス支給の為の手続きを行う為に、大量の現金を持って銀行手続きへ向かった事務員や、ボーナスを引き出した銀行帰りの家庭の主婦や高齢者などを狙ったひったくり被害が多発するようになりました。特に、年末年始は銀行も閉まってしまい、ATMも休止する事が多いので、あらかじめ多額の現金を手元に残しておく人が多いのも、ひったくり被害が多発する一因となっています。

年末年始に発生しやすい犯罪3:スリ被害

ひったくりだけでなく、気が付かない内にカバンに入れていたお財布や現金を抜き取られてしまう、スリ被害も年末年始には多発します。暮れの買い物や初売りが行われる店舗、初詣の神社、帰省ラッシュのターミナル駅など、年末年始は人込みに出かける機会も多くなりますので、スリ被害も多発して今います。

また、年末年始になると忘年会や新年会が催される事も多いです。酩酊状態は判断力も鈍っていたり眠気があったりもしますので、忘年会や新年会の帰りの電車の中で、スリの被害に合っても気が付かない場合がほとんど。翌日財布などが無くなっている事に気が付くのも珍しくありません。

今から備えておけば安心、年末年始の防犯対策チェックリスト

それでは、上記の犯罪に対して、具体的にどのような対策をとればいいのでしょうか。次は、年末年始の防犯対策について説明します。

空き巣被害に対する防犯対策

施錠の徹底、ワンドアツーロックも有効

夜間や長期間家を留守にする時には、必ず家や店舗にある窓やドア全ての施錠を徹底しましょう。特に忘れがちな浴室やトイレの小窓もきちんと施錠します。

更に空き巣被害を防止する対策として有効なのが、ひとつのドアや窓に対して、2つ以上の鍵を取り付ける「ワンドアツーロック」です。ピッキングやガラスを破っての侵入の場合、鍵が複数つけられているとその分だけ侵入に手間と時間がかかりますので、2つ鍵がついているのを見つけると退散する空き巣が多く有効な手段といえます。

防犯カメラの設置

玄関や勝手口など、防犯カメラを設置しておくとそれだけで空き巣への抑止力になります。今は店舗や事業所だけでなく、家庭でも設置できる防犯カメラも多く販売されており、リモートを利用してスマートフォンから防犯カメラの映像が見られるものもあります。

家屋や店舗の周りの整理整頓をしておく

特に年末年始は、空き巣の侵入経路も二階部分など大胆な手口も多発します。あらかじめ家屋や店舗の周りを整理整頓しておき、踏み台になりそうな段ボールや自転車などは撤去しておくようにすれば、空き巣の二階部分からの侵入を防げます。


近隣の親しい人や、管理人へ声掛けをしておく

「鍵と一緒に声をかける」のも大切です。以前は近所同士で声を掛け合って空き巣を始めとした犯罪を抑止していたのですが、近年では核家族化が進み近所の人との付き合いが希薄になってしまい、空き巣被害が多発する原因の一つとなっています。もしも近隣に親しい人や親類、マンションなどの集合住宅なら管理人さんがいるならその人に、長期間留守にする際声をかけておきましょう。

現金を見える位置に放置しない

リビングテーブルの上に現金を放置する、店舗のレジを開けっぱなしにするなど、外から見て現金があるのが分かる状態にするのは大変危険です。現金は金庫にしまう、店舗のレジは電源を落として施錠するなど必ず外側から見えない状態にしておきましょう。

ひったくり・スリ被害に対する防犯対策

上着やコートはしっかり閉める

大切な現金や財布は、カバンではなくズボンや胸ポケットに入れている人も多いです。電車の中や混雑している場所などで暑くても、上着やコートはしっかりと閉めておきましょう。

不要な多額の現金を持たない

「何かあると大変だから」とつい思ってしまい、年末年始は持ち出す現金も多くなりがちですが、なるべく最低限の現金のみを持って歩くようにしましょう。

カバンは自分の前側に置いておく

徒歩で移動している時には、財布や現金をカバンの底に入れ、かつ自分の前側になるように持つとひったくりやスリから財布が守れます。

自転車の前かごカバーを付ける

ひったくりの中でも特に多いのが、自転車の前かごに入れておいたカバンごとひったくられてしまうケースです。自転車の前かごに現金を入れた物を置かない、前かごカバーを付けるのが有効です。

警察も年末年始の防犯体制を強化

年末年始は犯罪が多発しやすい時期の為、各都道府県の警察本部も年末年始の警戒パトロールや、市民への防犯対策の呼びかけなどを行っています。また、忘年会や新年会が多い時期には、飲酒運転が起きてしまう危険性も高いので、繁華街近くでは検問を設け、飲酒運転を含んだ取り締まりも強化しています。

各警察本部では、年末年始の防犯の為の活動や、市民向けの防犯対策ページなどを作成して公開していますので、参考にしてみるとより年末年始の防犯対策に有効です。

▼参考URL:
埼玉県警察|年末年始における犯罪被害の防止
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/c0010/kurashi/nenmatsunenshi.html

長崎県警察本部|年末年始における各種犯罪被害防止について
http://www.ngsk-kenkyou.or.jp/pdf/news2013121101.pdf

年末年始に発生しやすい災害や事故とは

年末年始に発生しやすい災害や事故1:火災

冬場は空気が乾燥していますので、少しの火元でもたちまち大きな炎となってしまう気候状況となっています。これに加えて、冬場はこたつや灯油ストーブなどの暖房器具も多く使いますので、更に火災が発生しやすい条件が重なっています。年末年始には消しきっていない火元から出火し、長期間の留守中や夜間の就寝中に火事が発生する事も少なくありません。

年末年始に発生しやすい災害や事故2:降雪による災害

降雪量の多い地域では、降雪によって家の屋根がつぶされて雪の下敷きになる事故や、雪下ろし中に屋根から転落するなどの事故に巻き込まれる危険性もあります。

年末年始に発生しやすい災害や事故3:慣れない道路での事故

年末年始には、自動車を使用して帰省する人もいます。高速道路を長時間運転して帰省をするのは、渋滞に巻き込まれれば気分もイライラし、疲れも溜まり思わぬ事故を誘発する事もありますし、特に寒冷地への帰省の場合、路面凍結をしている高速道路も多く、スリップによる事故も多発しています。

年末年始に発生しやすい災害や事故4:子供や高齢者による事故

年末年始には親類同士で集まる機会も多いですが、子供や高齢者による事故も多発しやすくなっています。特にお正月の事故として良く聞くのが、お餅をのどに詰まらせて窒息状態になってしまう事故です。

他にも、大人が大勢集まる場所では「誰かが見ていてくれるだろう」と子供からも目を離しがちになってしまいますので、小さい子供が交通事故や水辺の事故に巻き込まれてしまう危険性も高くなっています。


家庭でできる、年末年始の防災対策まとめ

これらの災害や事故に対する対策を説明します。

火災への対策

暖房器具はスイッチを切る

火災の原因となるのは暖房器具、この暖房器具を適切に取り扱えば、火災を防止できます。

まず、外出前や就寝前には必ず暖房器具のスイッチを切る事。特に、こたつに入っていると眠くなってしまい、そのまま寝てしまう方も多いですが、こたつをつけっぱなしにしておくと、火災の原因になってしまう事もあります。

暖房器具周りに燃えやすい物を置かない

窓側に設置した灯油ストーブからの熱でカーテンが燃えてしまう、火が完全に消えていないガスコンロ周りの食材に火が移って燃える、など、暖房器具や火を出す機器の周りに燃えやすいものを置くのは絶対に止めましょう。特に、冬場は乾燥しているので少しの火元だけで燃え移る可能性があります。

暖房器具などのメンテナンスをしておく

こたつやストーブのコンセント部分やプラグ部分がむき出しになっていてショートしてしまう、暖房器具の中にほこりやゴミが溜まっていて、それらが燃えてしまい火災になる、など、暖房器具が劣化したり汚れていたりする事も火災の原因となります。定期的に掃除や部品交換、修理を行う様にしましょう。

また、暖房器具やガス給湯器など、発火の恐れがある商品がある場合メーカー側がリコールのため自主回収をしている場合があります。テレビのCMとして自主回収のお知らせを流している事が多いので、自宅や事業所で使っている暖房器具などのメーカーを把握しておき、該当するメーカーの自主回収のCMが流れたら、型番をチェックして使っている暖房器具ではないかを必ず確認しておきましょう。

家の周りは整理整頓しておく

家の周りに不要な木材や段ボールを置いておくと、放火される危険性があります。前述の空き巣被害の防止にも役立ちますので、家の周りに不要な物は置かず、常に整理整頓しておきましょう。

降雪への対策

雪かきや雪下ろしはひとりで行わない

雪かきや雪下ろしをしている時に、万が一転落や落雪で埋もれてしまう事があっても、作業を一緒にしている人がいればすぐに助け出す事もできますし、通報などもできます。一方で、一人で作業をしていると、転落や生き埋めになってしまっても誰にも気が付かれず、そのまま亡くなってしまう危険性もありますので、雪かきや雪下ろしは必ず2人以上で行う様にしましょう。

高所作業ではヘルメットや命綱をつけて行う

屋根の上の雪下ろしなど、高所で作業する時には万が一の転落に備えて命綱やヘルメットを着用の上で行う様にしましょう。

チェーンやスタッドレスタイヤへは早めに履き替えておく

降雪が予想される場合、早めにチェーンの装着やスタッドレスタイヤへの履き替えを行っておきましょう。うっかり普通タイヤのまま運転してしまい、スリップを起こすのを防止できます。

不要不急の外出は控える

降雪も含め、台風や豪雨などの災害が発生しやすい転校状態の時には、不要不急の外出は控えるようにしましょう。「ちょっとそこまで」という油断が、大きな事故に繋がってしまう可能性もあるのです。

運転事故への対策

無理のない運転計画を立てる

渋滞や降雪が発生しそうな時には自動車ではなく新幹線や鉄道などの他の交通機関を使用する、長時間の運転時は適度に休憩を入れてリフレッシュをするなど、あらかじめ余裕のある運転計画を立てておけば、気持ちにもゆとりがでて事故防止に繋がります。

慣れない道を走る時には、あからじめ情報を仕入れておく

事故が多発しやすい、凍結しやすいなどの道路情報は色々な所で仕入れる事ができます。渋滞予測もテレビやラジオなどのメディアで随時得る事ができますので、特に慣れない道路を走る時には情報を都度仕入れるようにしましょう。

子供や高齢者の事故防止の為の対策

子供から目を離さない

大勢の大人が集まる場所でも、小さい子供からは目を離さないようにしましょう。特に、小さい子供は道路に飛び出す、駐車場で遊ぶ、水辺に近づくなど危険がある場所と判断できずに行動してしまう事もしばしばありますので、大人が多い場所だからこそ、我が子からは目を離さないようにしなければいけません。

あらかじめ医療機関を受診しておく

年末年始は医療機関も休みを取る所が多く、既往症で薬の処方が必要が場合でも対応できません。小さい子供や高齢者の方で、年末年始にいつも飲んでいる薬が切れそうな場合や、ちょっと体調で気になる事がある時には、医療機関が休みになってしまう前に受診しておきましょう。

食材はその人に合ったものを出す

正月に食べる事の多い餅で、小さい子供や高齢者の方が窒息して救急搬送されるケースも多くなっています。餅も含めて、その人に合った食材を使用して窒息などの原因をあらかじめ取り除いておくようにしましょう。

消防や地域でも防災対策を強化

災害や事故が起きやすい年末年始には、各自治体の消防本部や地域ぐるみでの防災対策や防災への取り組みも行われています。

各自治体の消防本部では、年末年始にかけて火災を始めとした災害や事故を防止するための呼びかけ運動やイベントの開催、消防本部のホームページでの呼びかけなどを行っています。また、国としても毎年年末年始になると、内閣府の内閣府特命担当大臣(防災)から国民へ防災の呼びかけが行われます。

▼参考URL:内閣府 防災情報のページ
http://www.bousai.go.jp/updates/h26ooyuki/yobikake4.html


▼参考URL:奈良市消防局 年末年始の消防防災行事について
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1166681242968/files/s0312_01.pdf

防犯・防災対策として地域が行う「夜回り」

年末年始が近づくと、地域住民が拍子木を鳴らしながら「火の用心 マッチ一本火事の元」の掛け声とともに夜回りを行います。夜回りを行っているのは、地元の消防団や子供会などの自治会、地域住民で作られた消防クラブなどです。

また、消防署や消防団からの小型消防車や指揮者が「カンカン」という鐘を鳴らしながら走行する夜回りや、警察のパトカーや役所の防犯パトカーによる夜回りも行われています。

夜回りは日本の古き良き風習として伝わっていますが、近年では掛け声や鐘、拍子木の音を「騒音」と取られてしまう事も。ですが、夜回りは高い防犯・防災効果もあるので今後も続いて欲しい日本の風習だと感じています。

まとめ

家族や友人、親類で集まっている時に、思わぬ事故や犯罪に巻き込まれてしまうと一瞬で楽しい時間は失われてしまいます。これから迎える年末年始に向けて、警察や消防などの組織も防犯・防災への取り組みを一層強化していますが、私たちひとりひとりも防犯・防災の意識を高める事で、安心して楽しい年末年始を迎えられる事に繋がるのではないでしょうか。

(文:千谷 麻理子)

本記事は、2017年12月10日時点調査または公開された情報です。
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