【国会議員への足がかり?】議員インターンシップの体験レポート

議員インターンシップというものをご存じでしょうか?

議員インターンシップは、地方議会議員や国会議員などの事務所で仕事を体験します。実際にする業務は秘書がする仕事です。

今回は九州で、国会議員のインターンシップをした大学生の体験レポートです。


議員インターンシップの内容とは?

議員インターンシップの先は、大きく分けて国会議員と地方議会議員に分けられます。私は福岡市のベットタウンとして栄えているまちが中心を地盤とする小選挙区選出の衆議院議員の事務所に入ったため、今回は国会議員の事務所の仕事について説明します。

議員インターンシップで経験する仕事は、議員の仕事というよりは秘書の仕事を経験すると言えます。そのため、先ずは秘書の仕事について説明します。

秘書は普段何をしているのか。一言で言えば、議員を当選させるためのサポート全てです。議員の送迎、陳情の処理、会合への代理出席、雑用など、仕事は多岐にわたります。国会議員と言えば、法律を作ったり、質疑をしたりする姿を思い浮かべるかも知れません。確かに議員の本来の仕事は上記の通りです。しかし、議員には選挙も同時に重大なイベントです。秘書の仕事は、花形である政策を考える仕事と言うよりは、議員を選挙に通すために裏方に徹する仕事です。

インターン生の仕事と報酬について

インターン生は、業務の補佐が基本です。実際に大きな仕事を任せてもらえるということは少ないです。それは、普段の政治活動の中心が支持者とのコミュニケーションだからです。基本的にインターン生は数週間しか事務所にいないことが殆どであるため、継続してコミュニケーションが必要な仕事を単独で任せてもらえることは少ないです。

私はNPO経由ではなく、コネでインターンシップに参加したため、研修などはありませんでした。その代わり、一つ一つの仕事に対し、事務所のスタッフから丁寧な説明がありました。ただし、これに関しては事務所の当たり、外れがあるかも知れません。

では、仕事の補佐だからといって、得られることが少ないかというとそれは違います。大学生はそれだけで目立ちますし、注目されて人脈が広がります。

なお、インターン生は、報酬を期待しない方がいいです。交通費や食費などは出ることもありますが、報酬などはありません。

「経験をお金で買う」という考えで臨んだ方が良いと思います。

議員インターンシップの一日について

8:10 出勤
新聞や政党・団体の機関誌が届けられているので、古いものを捨て、新しいのに入れ替えます

8:30 朝礼
10以上の市町村が選挙区で、複数の秘書(7~8名)がいるので、各市町村や秘書の情報共有をします。

9:00 担当秘書と一緒に剥がれたポスターの張り直し
ポスターは政治家にとって、広報の重要な武器。はがれているもの、色あせているものは張り替えます


11:00 議員を祭の会場へ送迎
休日は、議員が東京から帰ってきます。祭などにこまめに出て、顔を売ります。

11:30 別の会場の祭で挨拶
会合で三分あいさつをするために、三十分かけて会場を移動することは、議員にとってはいつものことです。

12:30 事務所に戻り食事
外に食べに行くことが多かったです。担当以外の秘書とのコミュニケーションを図る重要な機会です。

13:30 後援会青年部設立のための会議
主に社長や自営業者が多かったです。メンバーの地域への熱い想いが聞くこともできます。

16:00 事務作業
支援者に連絡のためのFAXや後援会会報の封入作業をします。

18:00 学生は帰る(ただし、秘書は残業)
初日は歓迎会などをしたのですが、2日目以降、学生は帰ります。ただし、秘書は残業が普通です。

インターンシップの面接

NPO等では選考があるようですが、コネで入った私の場合、政治思想について先ず聞かれます。流石に事務所側も違う政治思想の学生のためにコストを払うことはないでしょう。

具体的には、政治に興味を持ったきっかけや、将来の夢などについて聞かれました。

議員インターンシップ参加のメリットについて

議員インターンに参加する最大のメリットは、「経験」と「人脈」です。学生はおろか、新聞記者でも聞けないような情報が飛び交います。具体的な名前は言えませんが、○○議員と△△議員の仲がどうなっているかといったネタから、どのように陳情が通り、地域の問題が改善されていくのかということなどを目の前で見ることが出来ます。

実際にあった経験だと自動運転の実証実験を地元に誘致できないかなどの会話もなされていました。その後、誘致が実現したかは知らないのですが、企業や政治がどのように関わってくるのかを体験できる貴重な経験でした。

議員インターンシップに参加するにはどうすればよいのか?

議員インターンシップを経験するためには、二パターンあります。一つはコネや政党の学生部に入ること。もう一つはドットジェーピーなどのNPOに登録して参加することです。

私の場合は前者です。地元の市議会議員に紹介してもらい、事務所に入ることが出来ました。

前者の場合、メリットは、インターンシップが確実に人脈になると言うことです。私の場合、地元であったことから、インターン終了後、国政報告会や政治資金パーティーの運営スタッフなどで呼ばれることになりました。そのため地元の市議会議員や支援者、企業・団体の長とも知り合いになれます。

政治家とのコネをつくるには?

政治家とのコネは、地方議会議員であれば以外と簡単につくることができます。一番手っ取り早い方法は、地域活動に出ることです。

地方議会議員の票田は、その議員の住んでいる町内、校区です。現職議員のいる校区の地元の市議会のHPを見て、現職議員のいる地区の行事に参加してみると、必ず市議会議員がいます。


「地元の行事に出ない議員は必ず落ちる」と言うのが選挙の鉄則なので、高確率で議員がいます。そこでコネをつくるのが一番良いと思います。

どういう人が議員インターンシップに参加するのか

議員インターンというと、「政治家になりたい」、「議員秘書になりたい」という人が多いと思われるかも知れません。しかし、実際はそのような人は全体の5%にも満たないです(NPO法人ドットジェーピー調べ)

少数ではあるかも知れませんが、政治家になりたいという人は、絶対に議員インターンをに参加すべきです。政治の現場や選挙を経験するかしないかは、当選する上で大きな差があります。また、議員インターンで培った人脈は一生ものです。政治家を目指す人は是非参加してみてください。

インターンシップの期間が終わった後

インターンシップの期間が終わればそれで関係も終わりという訳ではありません。特に、私は地元の議員の事務所に入ったため、繁忙期には、お手伝いに行きます。また、お世話になった秘書さんと折を見て飲みに行くことも多々あります。

また、国会議員は、どの党であっても、市議会議員の後援会員→市議会議員→県議会議員→国会議員といったように支えられています。

そのため、秘書業務の中で市議会議員やその後援会員と繋がることは不可欠です。また、市議会議員の後援会員は、町内会や校区の役員など、いわゆる地域の顔役と呼ばれる人が多いです。彼らとは、地域の生活相談に乗ってもらったりすることもあり、繋がってお入れ損は絶対にありません。

インターン後は、選挙のお手伝いの依頼も

私は、インターンシップの後、選挙区内で行われた選挙を二回手伝いました。一度は国政選挙、もう一つは選挙区内の市議会議員選挙です。

選挙は、今までの議員活動(後援会活動)の結果が現れます。それだけに、あらゆる企業、団体、地域の重鎮が集まります。もちろん、仕事が沢山あり、忙しく、きついことも多々ありますが、得られる経験、人脈はインターン以上です。

例えば国政選挙では、テレビでしか見られないような大臣級の議員が応援に入ったり、様々な企業から応援部隊が来たりします。

その一方、地方議会議員選挙は、選挙制度の違いから、戦略が根本的に異なるため、また違ったことが学べます。

市議会議員のセオリーとして、その候補が住んでいる地域、中学校区や小学校区を中心に票を集めてきます。一位以外は意味がない小選挙区制の衆院議員と違い、市議会議員選挙は大選挙区制度であるため、定数の範囲に入れば問題ありません(例えば、定数25の場合は、25位以内に入れば問題ない)。そのため、票の奪い合いである衆院選と違い、市議選は落穂拾いと称されます。

候補は地域の祭や町内会行事を徹底的にまわり、徹底した地上戦(戸別を訪問やミニ集会・個人演説会など、有権者との触れ合いを中心に行う選挙活動のこと)を行います。

支持者も票を集めてくるために、友人や近所の方に声をかけます。私自身、住んでいる市の選挙であったため、友人等に声をかけていきました。

インターンシップに参加してみて

インターンシップへの参加は大きな財産になりました。元々政治に興味があった私には、参加の前後で、世の中の見え方が180度変わったと言っても過言ではありません。

また、企業に就職する方や企業を考えている方にとっても貴重な経験になります。政府や地方自治体を相手に仕事をする企業は多いです。政治家と上手く付き合うことで、利潤を上げる会社も少なくありません。

また、自分が暮らしている町内会や地域は必ず政治家と関わっています。また、今歩いている道も税金でまかなわれている(政治家が関わっている)のです。自分の住んでいる場所をより良いものにしていくためにも重要な経験です。

何より、議員インターンシップへの参加は社会に興味を持つきっかけにもなります。多くの学生が参加して頂き、社会について考えるきっかけになってもらえば本望です。

本記事は、2017年12月15日時点調査または公開された情報です。
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