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結果が出てからが本番のアメリカ大統領選!今後のシナリオ

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*この記事は2020年11月6日時点のものです。*

目次

はじめに

2020年の大統領選は史上稀に見る大混戦になっていますが、あまりにも僅差であることや、トランプ陣営が郵便投票による不正を巡って法廷闘争に持ち込み、結果が判明するまで長期化する気配を見せています。

従来の大統領選であれば投票日の翌日には勝者が「勝利宣言」をし、敗者は潔く敗北を認めて勝者を讃えるものですが、2020年の大統領選に関してはそうなりそうにありません。

「大統領は選挙によってのみ選ばれる」と思われていますが、実はアメリカ大統領選出にはあまり知られていない「バックアッププラン」があります。

今回は、投票によって決着しそうにない今回の大統領選が、今後どのようなシナリオで進む可能性があるのかをご紹介します。

アメリカの大統領が決定するまでの手順

はじめに、元来どのような手順を踏んで大統領が決定するのかを見てみましょう。(日付はアメリカ時間)

2020年11月03日:一般投票

2020年12月08日:選挙人最終確定期限

2020年12月14日:選挙人投票(憲法で規定)

2021年01月06日:当選者確定

2021年01月20日:大統領就任式(憲法で規定)


前提条件は「候補者のいずれかが敗北を認めた場合」ですが、上記のような手順で大統領が正式に決定します。なかでも「選挙人投票」と「大統領就任式」については、憲法によって規定されているため容易に変更できず「絶対厳守」の日程と言えます。

そして、今回の大統領選でポイントとなるのは「2020年12月14日の選挙人投票」です。大統領を選出するためには、この期日までに50州すべてにおいて選挙人を確定させて「選挙人投票」を実施する必要があります。

ちなみに、選挙人とは簡単に言うと「各州の代表」です。選挙人は全米で538名(上院議員100名+下院議員435名+ワシントンD.C.代表3名)で、あらかじめ所属政党や支持する大統領候補者を公表(宣誓)しています。

各州において、一般人による投票で勝利した政党が、あらかじめ人口に応じて割り当てられた選挙人をすべて獲得する仕組みです。各州の選挙人獲得において、共和党が優勢の場合は「赤い州」、民主党が優勢の場合は「青い州」となります。

仮に、どんなに多くの州で優勢だとしても、選挙人の数で劣っていては意味がありません。あくまでも、各州に割り当てられた選挙人を多く獲得することが重要なのです。

今回の選挙が従来の大統領選と異なるポイント

2020年の大統領選では、選挙人が最終確定期限の12月8日までに確定しない可能性があり、選挙人投票が成立しないかもしれません。

この結果、各州の選挙人を巡っては、投票結果ではなく最高裁の判決によって決着する可能性もあります。現在の最高裁は保守的な判事が多く、保守で知られる共和党寄りの判決が下りやすいとされているため、トランプ陣営にとって有利な結果になるかもしれません。

言い換えれば、投票結果では敗れても、裁判によって勝利することもあり得るのです。

今後のシナリオ1:下院議会での投票

再集計や集計を巡る裁判のもつれなど様々な理由で、いずれの政党も選挙人過半数である270名を12月8日の最終確定期限までに獲得できない状況になった場合、2021年1月3日に新たに招集される議会が大統領を選出します。

この場合、合衆国憲法修正12条に基づいて、下院議会で50州の各代表が1票ずつ投票し、過半数である26票を獲得した候補者が勝者になります。(仮に実施されればおおよそ200年ぶりの異例の事態)

このシナリオのポイントは、大統領選と同じタイミングで実施された連邦議会選の結果を受けた新議会による投票ということです。

今回の連邦議会選において下院議会は「民主党優勢」の見通しであることから、仮にこのシナリオが実行されれば、バイデン氏が勝利する公算が大きいと言えます。対照的に、トランプ陣営としては下院議会による投票には持ち込みたくありません。

今後のシナリオ2:大統領代行制度

下院議会で大統領が決まらないケースも考えられます。この場合、新上院議会が副大統領を選出することで「大統領不在の事態」を避けるようにします。

副大統領の選出は、新上院議会の100名が1票ずつ投票し、過半数である51票を獲得した候補者が選出される決まりです。副大統領は大統領権限の継承順位第1位であることから、大統領が選出されていない場合でも、大統領不在の事態を避けることが可能になります。

新上院議会は共和党優勢になると見られることから、この場合は現職副大統領のマイク・ペンス氏が選出されて、大統領代行者になる公算が大きいでしょう。


もし、下院議会による投票で大統領が決まっていなければ、上院議会が選出した副大統領が大統領を代行します。上院議会による投票で副大統領が決まらない場合は、大統領権限の継承順位第2位の「下院議長」が大統領代行を務めることになります。

下院議長は民主党のナンシー・ペロシ氏が続投すると見られることから、民主党所属の大統領代行者ということです。(思わぬかたちで女性大統領の誕生になる)

つまり、シナリオ1とシナリオ2においては、新上下議会において共和党と民主党のどちらが大勢を占めるかが重要と言えます。

トランプ陣営のシナリオ

議会が大統領を選出する事態になった場合、大統領を選ぶ権限がある下院議会の影響力が大きいため、民主党に有利な結果になる可能性が高まります。共和党としては、なんとかして議会による選出を避けようとするでしょう。

そうするためには「2020年12月8日の最終確定期限」までに、再集計の実施や不正行為の立証をして劣勢な投票結果を覆す必要があります。また、トランプ大統領の任期は2021年1月20日正午と決まっているため、今回の大統領選はどんな形であれ、この日までには決着させなければいけません。

トランプ陣営が投票日である11月3日夜の時点で「郵便投票による不正行為」を訴えたのにはこうした「議会による大統領選出を避ける」狙いもあると見られます。

郵便投票による票の集計が始まった途端にトランプ陣営のリードがなくなっていったことから(複数州で形勢逆転も起きた)、トランプ陣営としては接戦州を中心に「郵便投票による票の有効性」を追及することで、再集計に持ち込みたいところです。

ペンシルベニア州を巡る計画

トランプ陣営は重要州のひとつで、序盤に大幅なリードを奪いながら最終的には逆転を許したペンシルベニア州(選挙人20名)で再集計を求めています。共和党にとって同州は勝利に欠かせない州で、劣勢な状況下における最も重要な州と言っても過言ではありません。

同州では「投票日(11月3日)の消印があれば、最大3日後までに到着した票を集計対象にする」というルールを設けています。選挙前、最高裁は同州のこのルールを巡り「選挙後に再検討する」という最終判断を出しています。

つまり、投票日から3日経過した有効期限切れの票はカウントしないことはもちろん、11月3日以降に到着した票の有効性や、その判断基準を巡っては法的な攻防の余地が残っていることを意味します。

一方で、3日以降に到着した票を加味せずともバイデン陣営が優勢と判断された場合は、法廷闘争の根拠がないため、トランプ陣営は諦めざるを得ないでしょう。これは実質的に敗北を認めることを意味します。

トランプ陣営としては同州で法的な勝利を収めて、他州でも同様の展開を狙うかもしれません。バイデン陣営はこれに対抗する措置として弁護士チームを立ち上げており、法廷闘争の準備を始めています。

法廷闘争の争点は?

トランプ陣営による法廷闘争の争点は以下になると思われます。

・ペンシルベニア州、ジョージア州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ネバダ州、アリゾナ州における再集計の可否
・郵便投票による有効票の再集計
・郵便投票による有効票の判断基準

トランプ陣営の弁護団はこれらの争点を中心に「法の抜け穴」を探り、法的に正当な根拠を見つけ出せるかが見ものです。また、これに対して共和党寄りとされる最高裁がどのような判断を下すかも注目でしょう。両陣営にとって法廷闘争は12月14日までが勝負です。

まとめ

以上、「結果が出てからが本番の大統領選!今後のシナリオ」でした。

2020年の大統領選は「どちらかの候補者が勝利宣言してからが本番」の様相を見せています。投票で決着がつかない場合、トランプ陣営としては不利なシナリオしか待っていません。それを避けるためには是が非でも12月8日までに合法的な勝利を得なければならないのです。

「郵便投票による不正」については根拠が乏しく、勝算の見込みは少ないと指摘されていますが、郵便投票の集計後に逆転されたトランプ陣営としては納得できないのも当然です。ひとまず、12月14日が次なる転機になると見られることから注目しましょう。

本記事は、2020年11月9日時点調査または公開された情報です。
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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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