トランプ大統領がジョージア州で大規模集会を開催!その目的とは?

2020年12月5日、アメリカの現大統領ドナルド・トランプ氏は、南部ジョージア州で大規模な政治集会を開催しました。

本記事では、トランプ大統領が行った集会の内容やその目的について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

はじめに

アメリカのトランプ大統領は12月5日、南部ジョージア州で大規模な政治集会を開催し、つめかけた大勢の支持者らの前で、同州知事や州議会委員に対して選挙結果を覆すよう訴えました。

11月3日の投票日以来初めての大規模集会となったことから注目が集まりましたが、民主党支持者らは「未だに負けを認めない」や「往生際が悪い」などと批判されています。

劣勢が続くトランプ大統領ですが、今回のジョージア州の集会ではいったいどのようなことを訴え、今後はどのような展開を考えているのでしょうか?

今回は、ジョージア州で開かれた政治集会の内容や、次第に明らかになりつつある次なる目的について解説します。

トランプ大統領が大規模集会の場所としてジョージア州を選んだ理由

はじめに、なぜトランプ大統領がジョージア州を集会の場所として選んだのか背景を理解しましょう。主な理由は「選挙人の選出」「決選投票」のふたつです。

理由その1:共和党寄りの選挙人選出のため

トランプ大統領は、12月14日に実施される選挙人投票で、ジョージア州から自身(共和党)を支持する選挙人を選出するように圧力をかけています。

アメリカの大統領選は、11月3日の一般投票の結果がそのまま反映される訳ではありません。あくまでも、各州の代表者(選挙人)を獲得したに過ぎず、正式には12月14日に全米537名の選挙人があらかじめ支持を表明している大統領候補者に投票する間接投票で決着します。

選挙人はバイデンかトランプのいずれかに投票することをあらかじめ表明しており、通常であれば一般投票の結果そのままが選挙人投票でも反映されます。しかし、なかには「造反選挙人」が出てくることも否定できません。

このためトランプ大統領は、選挙人を選出する各州の議会に対して「共和党寄りの選挙人」を選ぶように圧力をかけているのです。選挙人に対して支持政党への投票を義務付けているのは33州とワシントンD.C.だけですが、罰則や規定がないため造反が起こる可能性を否定できません。

ジョージア州は、もともと共和党寄りの州として知られていますが、今回の大統領選では民主党と拮抗していることから、トランプ大統領が同州を訪れることで共和党寄りの選挙人選出への圧力を高めたと見られます。しかし、選挙結果を覆すほどの効力はないとされていることも事実です。

理由その2:決選投票があるため

ジョージア州は大統領選と同時に開催された上院議員選の結果が確定せず、2021年1月5日に実施される決選投票に繰り越されました。

アメリカ上院議会の定数は100名で、12月時点で民主党48名、共和党50名というバランスです。上院議員は50州からそれぞれ2名選ばれる制度のため、ジョージア州の決選投票の結果次第で、上院議会の勢力図が決まるわけです。

民主党が優勢になれば上下両院で民主党優勢になり、バイデン氏の政権運営は円滑になります。しかし、共和党が優勢になれば議会は「ねじれ」の状態になり、政権運営に苦心する公算が大きくなります。(とくに人事や予算)

この結果、バイデン氏は約束したはずの選挙公約を実現できずに終わる可能性があり、2024年の大統領選で民主党が与党の座を明け渡すことになりかねません。

仮に、決選投票で民主党が2議席を獲得すれば50議席となり、議長を務める副大統領(カマラ・ハリス氏の予定)が1票を持つので、民主党が多数派です。一方で、共和党が1議席獲得すれば共和党が優勢になります。

そのため、トランプ大統領としてはジョージア州で共和党が多数派を維持することを望んでいるのです。また、自身が退任することになったとしても、引き続き上院で共和党が優勢を維持できれば、出馬をほのめかしている2024年の大統領選で有利に働くことになります。

このように、トランプ大統領がジョージア州で集会を開催したのにはふたつの理由がありますが、選挙結果を覆すことよりも「共和党優勢」の議会を準備し、2024年の大統領選で有利に戦うことが目的かもしれません。

トランプ大統領が行った政治集会の概要

トランプ大統領はメラニア夫人と共にジョージア州を訪れ、数万人の聴衆の前で様々な主張を訴えました。

主張の内容は大きく分けて3つあり、大統領選で不正が実施された、1月5日に実施される上院選決選投票で共和党員への支持呼びかけ、そしてジョージア州臨時議会の即時招集です。

内容その1:不正選挙について

トランプ大統領は投票日当日から選挙に不正があることを主張してきました。トランプ大統領が主張する不正の内容は、投票用紙が重複して配られた、集計システムで不正な調整がされた、署名を確認せずに開票した、無効な郵便投票が集計されているなど多岐に及びます。

12月5日、トランプ大統領はジョージア州知事のブライアン・ケンプ氏に電話をして「郵便投票の署名を再度確認するよう」求めたとされています。同州はバイデン氏の勝利が確定し、州知事も承認していますが、トランプ陣営は署名が無効な郵便投票が集計されていると主張しています。

同州知事は「これまでに3回精査を求めた」ことを理由に要求を拒否していますが、トランプ大統領は「州知事や州司法長官が署名確認を認めさえすれば私が簡単に勝つのに、このふたりの『共和党員』たちは何をしているのか?」と、身内ながら批判しました。

また、これまでのところ(12月上旬)トランプ陣営は全米で46の訴訟を起こしていますが、28の訴訟は証拠不十分で却下または取り下げで決着しています。

トランプ大統領は、訴訟が最高裁までもつれ込んで、12月14日の選挙人投票が成立しないことを目論んでいるものの、腹心のバー司法長官でさえ「(大統領の)主張を立証するものは見つかっていない」と述べていることから望みは薄いとされています。

このように訴訟問題がうまくいかないことから、12月2日にはトランプ大統領が46分間に及ぶ動画をフェイスブック上に投稿し、証拠を交えながら不正を訴えましたが、ほとんどのメディアがそれを一切報じない事態になりました。

トランプ大統領は、テレビ演説やインターネット上の動画投稿で訴えることに限界を感じ、上院議員の決選投票や選挙人選出において可能性があるジョージア州を訪れて「本当に不正があった」ことを強調したと見られます。

多くのメディアは、(今回も)トランプ大統領の主張には「証拠がない」と一蹴していますが、フェイスブックに投稿した動画では集計システムの異常に関する証拠を提示しています。しかし、この動画についてほとんどメディアは報道していないことを忘れてはいけません。

内容その2:決選投票について

トランプ大統領はジョージア州上院議員選挙の決選投票において、共和党議員をサポートするよう訴えました。

ジョージア州では現職共和党議員のデービッド・パーデュー氏とケリー・レフラー氏が、民主党のジョン・オソフ氏とラファエル・ワーノック氏と争っています。トランプ大統領としては、上院議会で共和党が優勢になるためにパーデュー氏とロフラー氏への支持を求めました。

集会においては「民主党は大統領選を不正に操作した。ジョージア州の決選投票でも不正を試みるはずだ」と述べ、不正選挙の存在に触れています。

同州では、過去20年間に民主党上院議員は選出されていないため、共和党優勢と見られます。しかし、今回の大統領選の流れは民主党に傾いていることから注目が集まっています。

内容その3:臨時議会の即時招集について

トランプ大統領は集会において、ジョージア州での「臨時議会の即時招集」を訴えました。この目的は「バイデン氏(民主党)勝利」で決着した結果を覆すためのものと見られており、不正があったとされている「郵便投票の署名確認」を実現させるための臨時議会です。

同州知事のケンプ氏(共和党)は大統領からの要求を拒否しており、トランプ大統領は同氏を「まぬけ」呼ばわりして批判し、大きな溝が生じています。(大統領に命令権はなく、あくまでも要求になる)

これまで、ケンプ州知事はトランプ大統領の意向に反して、空席になった上院議員の席に別の議員を指名するなど、両者の間では懸念が高まっていました。

このような経緯があるため、トランプ大統領が要求する臨時議会の即時招集は実現しない公算が大きいと見られています。しかし、ジョージア州を訪問することで圧力を高める目的があるとされています。

まとめ

以上、「トランプ大統領がジョージア州で大規模集会を開催!その目的とは?」でした。

トランプ大統領はジョージア州で不正選挙や選挙結果を覆す主張を繰り返しましたが、劣勢な状況から挽回することは難しいと見られています。一方で、同州上院議員の決選投票で共和党議員を当選させることで民主党にとって不利な状況(ねじれ議会)を生み、2024年の大統領選で返り咲こうとしている魂胆も透けて見えます。

トランプ大統領は12月14日の選挙人投票の結果次第で、ホワイトハウスから去ることにも言及していることから、焦点を4年後に向け始めたのかもしれません。今回のジョージア州の政治集会はトランプ陣営の新たな計画が見えたものになりました。

本記事は、2020年12月12日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

ジョージア州の位置
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