トランプ大統領の法廷闘争が行き詰まり!最高裁による判決を解説

2020年11月3日に行われたアメリカ大統領選挙の開票結果を不服としたトランプ陣営は、アメリカの連邦最高裁判所に「選挙結果の無効化」を求めていましたが、12月11日、最高裁判所はこの訴えを退けました。

本記事では、アメリカ大統領選挙の選挙結果に対する、アメリカの連邦最高裁判所の判決について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

はじめに

2020年12月11日、アメリカの連邦最高裁判所はテキサス州をはじめとする18州、および126名の共和党議員らによる「選挙結果の無効化」を求めた訴えを退けました。

今回の訴えは、トランプ大統領やその支持者らが最重視していた訴訟だっただけに「トランプ陣営の法廷闘争は終わった」や「これでバイデン氏の勝利が確定した」などと言われています。

トランプ陣営による法廷闘争の実質的な終焉を意味する今回の判決は、大統領選の結果を決定付けるものになるのでしょうか?ここでは訴訟の内容をはじめ、最重視された理由、最高裁による判決の意味などについて解説します。

アメリカ最高裁による判決の概要

はじめに、トランプ陣営が最重視していた訴訟の概要について理解しましょう。

「選挙結果の無効化」という訴訟内容について

今回の訴訟は、バイデン氏が勝利したミシガン州、ジョージア州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州での結果を無効化させるためのものです。

これらの4州において、新型コロナウイルスの感染が拡大したことを理由に「郵便投票」を州法に反して拡大したことで、様々な「不正」が生じたという主張です。また、不正が起きたことで開票当初は優勢だったトランプ大統領が急激に劣勢になったとしており、各州の結果は「違憲」になるとしています。

12月8日に共和党員らが起こした「ペンシルベニア州の郵便投票の一部を無効にすべき」という訴訟とほとんど同じ内容です。(この訴訟は最高裁によってわずか1文の判決文によって退けられている)

トランプ陣営による訴訟は「根拠不十分」を理由に退けられることが続いていますが、今回の訴訟も例外ではなく、肝心の「不正」を示す十分な根拠を提示できなかったと見られます。一部では「門前払い」と表現されるほどにあっけないものだったとされています。

なお、「ペンシルベニア州の郵便投票の一部を無効にすべき」という訴訟については以下の記事で詳しく述べているので、あわせて参考にしてください。

》追い込まれたトランプ大統領!Xデーは12月14日

2020年12月も中旬に入りましたが、アメリカ大統領選挙の結果は未だあやふやなままです。日本では、「バイデン氏が勝った」と感じている人も多いですが、現大統領のトランプ氏は負けを認めてはいません。そんな中、大統領選挙の結果を巡る法廷闘争に、大きな動きがありました。本記事では、選挙後の動向について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

「選挙結果の無効化」という訴訟のポイントは原告団

今回の訴訟におけるポイントは「原告団」です。この訴訟を起こした中心的存在は、共和党の地盤でもあるテキサス州(の司法長官)、テキサス州の意向に賛同した17州(の司法長官)、そしてトランプ大統領を支持する共和党議員126名です。

この原告団を別の表現で例えるならば「トランプ大統領一派」と言えるでしょう。合計18州、そして100名を超える共和党議員らが名を連ねて不正を訴えた訳ですから、最高裁に対する宣戦布告のような訴訟だったのです。

大勢のトランプ支持者らによる一大訴訟だったことから、トランプ陣営が「最重視する訴訟」として注目を集めていました。トランプ大統領自身も弁護士を通してこの訴訟への支持意見を提出しており、いかに本気だったかが分かるでしょう。

判決内容について

トランプ陣営の総力を挙げて起こした訴訟でしたが、12月8日の判決と同様に、わずか1文の判決文によって訴えは退けられました。

判決文は「(原告の)テキサス州には原告適格がない」だけで、判決理由は「テキサス州は他州による選挙の実施方法について法的に審理するほどの利益があると立証できていない」というものでした。

最高裁判事9名のうち、それぞれの判事の賛否は公表されておらず、トランプ大統領が直接任命した保守系判事のゴーサッチ氏、カバノー氏、そしてバレット氏がどのようなスタンスだったかは不明です。(9名中2名は反対していないと見られる)

判決の影響について

今回の判決によってトランプ陣営は法廷闘争の限界を迎えたことになります。結果を覆すために最重視していた訴訟であったことや、今回以上にトランプ支持者(原告団)を準備できないことなど、手詰まり感を否定できません。

かねてからトランプ陣営は「最高裁による決着」を目論んでいましたが、最高裁さえもトランプ陣営に厳しい反応を見せたことで、ついに追い詰められたと言えるでしょう。

アメリカ与野党の反応

長く混乱している2020年の大統領選ですが、今回の判決を受けて与野党はこれまで以上の反応を見せています。

トランプ大統領の反応

判決前、トランプ大統領は自身のツイッター上に「最高裁が勇気ある賢明な決断をすれば、アメリカ国民は史上最も重要な裁判に勝つことになるかもしれない。そうであればアメリカの選挙制度は再び尊敬される」と投稿し、最高裁の判決に期待していました。

しかし、判決後には「最高裁には本当にがっかりだ。賢さも度胸もない」と判決を批判する投稿をしています。また「最高裁は訴えを起こす当人に適格性があるかどうかしか見ておらず、大統領本人による提訴を難しくしている」と指摘し「恥ずべき司法の失敗」と切り捨てました。

アレン・ウェスト共和党議員の反応

原告となったテキサス州のアレン・ウェスト共和党議員は判決を受けて「今回の判決は、州による違憲行動を認めるものだ」としたうえで「自ら選挙法に違反しても良いことを表明した」と厳しく批判しています。

また「立憲共和国として大きな影響をもたらすことになる」とし、訴えを取り合わなかった最高裁の対応に疑問を投げかけました。

民主党関係者の反応

バイデン氏の広報担当者は「根拠がなく敗北を否定しようとしているのを最高裁が退けることは当然のことだ」とコメントし、今回の判決を支持しています。

ナンシー・ペロシ下院議長は「正しい判決を支持する」と述べたうえで、今回の訴訟に加わった共和党議員らに対し「憲法を覆して神聖な民主主義制度に対する国民の信頼を損なおうとし、議会に不名誉をもたらした」と強く非難しました。

また、大統領選の結果をめぐり注目されていたペンシルベニア州のシャピロ司法長官は「(テキサス州の訴えは)反乱扇動的なものだった。最高裁はそれを見抜いた」と述べ、最高裁の判決を支持しています。

アメリカ国民の反応

今回の訴訟は注目を集めていたことから多くのアメリカ人が関心を示しました。民主党やバイデン支持者の多くは「選挙はすでに終わった」と考えている傾向が強く、別段気にとめることなく過ごしています。

対照的に、トランプ支持者らはワシントンD.C.で抗議活動を実施しました。数千人規模のトランプ支持者が集まって選挙の不正を訴えています。この動きを受けて、トランプ大統領は集まった支持者らの上空を大統領専用ヘリコプターで旋回し、ツイッター上に「私は選挙で圧勝した」と投稿し、敗北を認めることはありませんでした。

ワシントンD.C.には親トランプ派の「プラウドボーイズ」と、反トランプ派の「アンティファ」も集まっていましたが、双方のグループが衝突しないように警官隊による厳戒態勢が敷かれ、アメリカの分断はいまだに続いていることを象徴する事態になりました。

大統領選が決着しない、あるいは遺恨を残す決着になることで「アメリカの分断」は一層深くなることが予想されています。

まとめ

以上、「トランプ大統領の法廷闘争が行き詰まり!最高裁による判決を解説」でした。

今回の最高裁の判決は実質的なトランプ陣営の法廷闘争の終焉を意味します。12月14日の選挙人投票後は「結果が確定」するため、法的に争える余地が狭まります。仮に、選挙人投票後も敗北を認めない場合、2021年1月6日の「選挙人投票の開票」を何かしらの政治工作で阻止する公算が大きくなります。

しかし、トランプ大統領は選挙人投票の結果を受け入れる意向を示していることから、いよいよ引き下がる時を迎えるかもしれません。敗北を認めるタイミングが12月14日の「選挙人投票日」なのか、翌年1月6日の「選挙人投票の開票日」なのか注目です。

本記事は、2020年12月22日時点調査または公開された情報です。
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