国際投資紛争解決センター(ICSID)の基本情報

国際連合の専門機関である「国際投資紛争解決センター(ICSID)」の組織について基本情報をまとめました。


はじめに

国連の関連機関には、締約国と他の締約国の国民との間の投資紛争の調停および仲裁のための設備を提供することを目的とするICSID(国際投資紛争解決センター)というものがあります。

本ページでは、「ICSID」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

「ICSID」は国際投資紛争解決センターのこと

「ICSID」はInternational Centre for Settlement of Investment Disputesの略で、日本語に訳すと「国際投資紛争解決センター」のことです。

「ICSID」は、国連、つまり国際連合の専門機関の一つで、1964年に「締約国と他の締約国の国民との間の投資紛争の調停および仲裁のための設備を提供すること」を目的として設立されました。

なお、日本が「ICSID」条約に批准したのは、1965年です。

「ICSID」の組織体制について

「ICSID」の本部は、アメリカ合衆国のワシントンD.C.にあり、現在の加盟国は153ヶ国で、組織には行政評議会、事務局、行政理事会があります。

行政評議会

行政評議会は、年次会議および評議会によって決定され、その他の会議を開催し、会長が招集または理事会の5人以上のメンバーの要請によって事務総長により召集されます。

各締約国の代表1名で構成され、 代理人は議員が会議に欠席したり、行動できない場合に代表として参加することができます。

行政評議会の各メンバーは、1票の投票権を持ち、評議会における問題は、投票の過半数によって決定されます。

メンバーの3分の2の過半数を超えた場合には、議長が理事会の会議を招集することなく理事会の投票を求めることができ、投票は、理事会のメンバーの過半数が、上記の手順で定められた期限内に投票した場合にのみ有効です。

会議は、国際復興開発銀行の本店で行われ、議員の3分の2の過半数が採択した行政評議会の決定によって会議を別の場所に移動できます。


特に反対がない場合は、締約国により任命された銀行の各ガバナーおよび代理ガバナーは、職権上の代理人となることができます。

総裁

総裁は、行政理事会の職権上の議長となり、議長が不在または行動できない間および銀行総裁が事務所を不在する間は、大統領を務める者が行政審議会の議長を務めます。

事務局

事務局は、事務総長と1人以上の副書記長とスタッフで構成され、事務総長および副事務総長は、6年を超えない任期の会長の指名時に理事会のメンバーの3分の2の過半数によって管理理事会により選出され、再選の資格があるものとされます。

行政審議会のメンバーと協議した後、会長は役職ごとに1人以上の事務局員の候補者を提案します。

事務総長および副事務総長の職務は、いかなる政治的機能のある役職と両立しないものとされ、行政理事会の承認がない限り、他の雇用をしたり他の職業に従事したりすることはできません。

事務総長の不在または行動できない期間および事務総長の不在中は、副事務総長が事務総長を務め、複数の副事務総長がいる場合、行政理事会は、事務総長として行動する順序を事前に決定します。

この事務総長は、法的代理人であり、センターの主任役員であり、スタッフの任命を含む運営に責任を負います。

「ICSID」の役割

「ICSID」の主な役割は、投資家と国のために紛争解決のプロセスを提供し、国際投資を促進させることおよび投資協定や貿易協定に基づく州と州の紛争、および行政の仲裁・解決を行うことです。

具体的には、下記の3つを管理する役割を担っています。

1)調停と仲裁を通じた紛争を解決するための訴訟手続き
2)当事者または他の紛争解決訴訟に関係している裁判所の要請がある場合の手続き
3)調停者を任命し、国連国際商取引法のための仲裁規則のもとに行われる訴訟

▼参考URL:国際連合広報センター「国際投資紛争解決センター(ICSID)」(外部サイト)

「ICSID」の主な活動

「ICSID」では、大きく分けて主に下記の5つに関する活動が行われています。

1)仲裁
2)調停
3)調査・報告
4)仲裁人の判断
5)聴覚設備の提供

「ICSID」の活動その1:仲裁

「ICSID」は、専任のチームを作り、当事者と裁判所を支援する活動や、財務チームを作って仲裁人やサービスプロバイダーの支払を処理したり、当事者への払い戻しを処理する活動を行っています。

「ICSID」の活動その2:調停

「ICSID」は、紛争の全段階において調停を通じて投資紛争を解決するための当事者の取り組みを支援する活動が行われています。


具体的には、主に下記の4つの活動を行っています。

1)資格のある調停者の特定
2)当事者と調停者間のコミュニケーションの促進
3)合同または個別の調停の組織に関する側面の処理
4)調停プロセスの財務の管理

「ICSID」の活動その3:調査・報告

「ICSID」は、当事者に紛争の段階で関連する状況について、調査し報告する活動を行っています。

この調査・報告は、手続の制度・委員会とその作業・手続の終了・手続の費用を含む規定に基づいています。

「ICSID」の活動その4:仲裁人の判断

「ICSID」は、条約や規定に基づいて、仲裁人が失格とする提案を決定する権限を与える活動を行っています。

なお、仲裁人の失格を要求する当事者は、失格の提案を「ICSID」に申請する必要があります。

また、「ICSID」意外が仲裁人の失格の提案を決定する場合には、事務総長が失格の基準と適用される仲裁規則に規定される手順を適用します。

「ICSID」の活動その5:聴覚設備の提供

「ICSID」は、ワシントンD.C.の世界銀行本部とパリの世界銀行会議センターに最先端の聴覚設備を設置し、下記の9つのサービスや機器を提供する活動を行っています。

1)ビデオ会議、映写、解釈、ウェブキャスティング、サウンドおよびビデオ録画機器の提供
2)裁判所および関係者向けの大型プラズマスクリーンモニターと個別モニターの提供
3)公聴会用の多言語ライブストリームの提供
4)各公聴会のすべての技術的側面を管理する専任の専門家の派遣
5)多言語対応の防音通訳ブース(一度に最大7言語)の提供
6)コピー・ファックス・WiFiサービスの提供
7)警備パトロールを含むすべての施設のセキュリティの提供
8)可動棚およびその他の家具の提供
9)敷地内のケータリング・コーヒーショップ・プライベートダイニングルームの提供

まとめ

本ページでは、「ICSID」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

本記事は、2021年9月6日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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