幼稚園運営の中核としての自覚と動き
幼稚園のトップには園長がいますが、保育を実践したり園運営をしていく中心になっていくのが経験年数10年以上の職員です。
自分のことだけでなく、周囲にアンテナをはり、リーダーシップをとりながら後輩指導をし+ていくことも求められてきます。
その際、どのような点を意識し、行動していくよう心がけるとよいのかについて、4つ紹介していきたいと思います。
全体に目を配ろうとする姿勢
経験年数10年以上の幼稚園教諭は、『自分のことで精一杯』では役割的に不十分です。
幼児・教職員・保護者・地域等、自分の周囲に関わる人の様子に目を向けるよう心がけ、変化があれば察知するよう努めていきましょう。
察知して、周囲を気遣う言葉がけを心がけられるとよいですね。
園内研究のリード
園内研修では園務分掌として『園内研修担当』を任されることもあるでしょう。
年度のはじめに職員達に『今年はどのようなことを学んでみたいか』についてヒアリングし、そこから園内研のテーマを決め(私立幼稚園はそこまでしていないかもしれませんが)、研究方法についても園長教頭達と相談しながら、研修をリードしていく力も求められます。
園内研修の中心となり、周囲の同僚に発言・提案・発信する力もつけていきたい時期です。
見通しをもった計画と実践
日々の保育計画は幼稚園の指導計画を元に、その年度の子ども達の実態を見ながら具体的な保育計画を考えていきます。
経験年数10年以上の教諭は計画の中心となり、保育の見通しについて同じ学年を組む後輩達に共有していくことも大切です。
また、計画したことが順調に進められるよう準備の段取りを考え、丁寧な保育実践に繋がるようにしていかなくてはなりません。
後輩の状況理解と適切な助言
経験年数10年以上になる頃には、自分より下の後輩教諭達も沢山いることでしょう。
後輩教諭達も、自分から困っていることを積極的に相談できる人もいれば、悩みや困り感を表に出さない人もいます。
「今日の保育大丈夫だった?」「~組さんは個人面談何かあった?」など、中堅側から気にかけてあげる言葉を一言かけるだけで、後輩教諭達も話を切り出しやすくなりますね。
10年以上の教諭は学級運営・園運営に加え、後輩指導も重要な役割です。
後輩が何に悩み、どのようなことに困っているかについて理解し、気持ちを汲み取り、適切なアドバイスの声掛けをするよう心がけましょう。
その際、本人の人格を否定すること、きつい言い方は避け、共感(「私も昔できなかったよ~」等)、提案(「~な方法でやってみたらうまくいったよ」等)する言い方で伝えてあげられると良いですね。
幼稚園運営に必要な情報の提供
幼稚園を運営していると様々なトラブルが生じることもありますが、できるだけ円滑な幼稚園運営をしていくことが理想ですよね。
そのためには職員間での情報の共有や報告連絡相談がとても大切です。
中でも10年以上の教諭の役割としては、主に保育現場に関する園長への報告です。
園長は園長としての責任や管理する仕事がありますが、細かな現場の状況を把握することには限界があります。
中堅教諭自身の周囲で起きている同僚の変化や隣のクラスの教諭と保護者の関係等、必要に応じて管理職にも報告し、早めの対応を考えていくことで、円滑な園運営に繋がります。
現場の把握をし、管理職に報告していくことが10年以上の教諭の重要な役割です。
保育実践のモデル
10年以上の教諭は、後輩教諭達にとって1番身近で保育実践の参考となるモデルになっていきます。
保育室の環境構成の仕方、子ども達の受け入れ準備の仕方、子どもとの関わり方等、後輩教諭達のモデルとなっていることを意識していきましょう。
また、学年会議等で後輩達と一緒に実践した保育を振り返る際には、後輩教諭達が保育実践してみてどうだったかという反省をヒアリングし、『今回の保育のねらいは何だったか?』『どういう援助をするのが良かったのか』『次はこんな風に変えてみようか』等、反省・評価の考え方を学年会議を通して後輩教諭達と考えていけると良いですね。
そのためには、ある程度10年以上の教諭自身に、保育の理論的な知識も備え、その知識を後輩教諭達に伝えていく力も求められています。
伝統を守りながら新しいことへの挑戦
幼稚園も年月を経過することによって、幼稚園ならではの行事や保育が生まれ、伝統として毎年受け継がれている行事や保育方法がある場所も存在します。
大切にしてきた保育を守りながらも、新しいことへ目を向けていこうとする気持ちを忘れないで欲しいのが10年以上の教諭です。
マンネリ化からの脱却
同じことを繰り返していくことは楽なことです。
そして、10年以上ともなると今までしてきたやり方を変えていくことに対しては壁を感じることもあるでしょう。
しかし、常に前向きの姿勢で新しいことに挑戦していくことで、保育観の幅を広げるきっかけとなり、自分自身の向上にも繋がります。
時代の変化と伝統を踏まえた状況の判断
時代が変わっていくと、保育の考え方ややり方も少しずつ変化していきます。
一緒に働いている大ベテランの先生に対して、内心「その考え方や指導方法古くない?」と感じたこと、1度や2度ならある方も多いかもしれませんね。
時代の変化とともに、変えたほうが良いこともあれば、幼稚園の伝統として長年守ってきたという意味で変えないほうがいいこともあります。
「今までやっていたから、これからもやらなくてはならない」ではなく、子どもの実態や保育の考え方によって柔軟に変えていくことも必要になります。
『守っていくべきこと、変えていった方が良いこと』を適切に判断する力も大切ですね。
園長をはじめとする教職員からの信頼
10年以上の教諭は幼稚園の中でも中心的ポジションとなり、一緒に働く仲間たちから信頼されるような人間であることが望まれます。
信頼される中堅でないと、園長教頭とも歯車が合わず、園運営がスムーズにいかなくなります。
また、後輩達からは敬遠され、コミュニケーションも最低限となります。
その結果、後輩達も育たなくなり、中堅の雰囲気が悪いと園全体の雰囲気も良くなくなってしまいます。
では信頼される存在となるためにはどのような要素が必要でしょうか。
ほっとする人柄=頼りになる人・存在
年度始めの担任発表は職員にとって重要であり、『学年主任が誰になるか』は特に重要です。
『〇〇先生が同じ学年だったら安心だ~!!』と周囲から思われるような、中堅教諭でありたいですよね。
計画的、保育力がある、周囲への気配りができる、いざという時に守ってくれる人は頼りになる存在であり、同僚達からの信頼感を得られやすいです。
安心感=心が安らぐ言葉・表情
言い方があまりにもストレートだったり、口調がきつかったり、気分によって周囲への態度が日によって変わったりする人は、一緒にいて安心感はありませんよね。
後輩指導の仕方も、きつい言い方は後輩を育てる指導ではなく、一歩間違えるといじめになりかねません。
相手の立場にたって言い方を考え、柔らかい言葉や表情で話ができる人、周囲に安心感を与えられるような人は、同僚たちからの信頼感を得られやすいです。
まとめ
今回は、『幼稚園教諭10年以上に求められていること』について紹介しました。
経験年数10年以上の幼稚園教諭はもう立派な中堅になります。
自分のことだけではなく、周囲へアンテナをはり、後輩のモデルとなる保育実践を展開しながら、後輩指導を行っていくことが大切な役割です。
新しいことへ挑戦する気持ちも忘れず、時代に対応していくことも必要です。
求められることも増え、抱えることも多くなり心身共に大変ですが、その分やりがいもあります。
今回の記事から、何か皆さんの参考になるものがあれば嬉しいです。
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