はじめに
私立中学校で常勤講師として働く、キャリア9年の「数学科の先生」によるキャリア体験談レポートです。
ちなみに、その方は、小学校教諭専修免許と、中学校教諭専修免許、高等学校教諭専修免許を持っているそうです。
「私立中学校の数学科の先生」を目指した理由
中学生のときに数学の先生からあなたは数学得意だからもう少し難しい問題集に取り組みなさいと言われ、数学が好きになり、自分も数学の良さを伝えたいと思ったからです。
「私立中学校の数学科の先生」の仕事内容について
「先生」の一番中心になる仕事は、授業です。
生徒を前に授業をすることはもちろんですが、その授業をどうするか事前に考えます。そして、その時間に使う、プリントや教具を準備します。それで授業をすれば終わりかというとそうではなく、プリントのチェック、評価の記録、宿題・課題の準備・そのチェックなど1つの授業にたくさんのことが付随しています。
授業に係る部分だけでもだいぶ多くの時間が割かれますが、それ以外にも校務分掌と呼ばれる仕事があります。先生ごとに部署に分かれて学校運営がスムーズに行えるように作業します。
教務といえば、授業の時間割を作ったり、年間行事を計画・運営したりします。生徒指導は、生活の質の向上を目指して企画・実施します。もちろん、一般にイメージされる問題行動の対処も行います。進路は、高等学校入学に向けての諸手続き・情報発信を行います。他にもありますが、こうした分掌の何か、もしくは複数を担当します。そして、ほとんどの教員が部活動を担当します。これは、部活動に係る外部とのやりとり、生徒の指導など、それは一つの小さな学校といえるぐらい多岐にわたる仕事を行います。
「私立中学校の数学科の先生」の1日の仕事の流れ
6時半:自宅を出て、自動車で通勤
7時:学校到着
7時~8時半:授業準備、登校してきた生徒とのコミュニケーション
8時25分:教職員打合せ
8時30分:ショート・ホーム・ルーム
8時40分:授業(1日:6校時~7校時、1日平均3~4時間授業)
※空いた時間は、授業準備、プリントチェックだけでなく、校務分掌の会議(打合せ)が行われる
12時30分:昼食指導
13時20分:午後の授業開始
15時20分:清掃指導
15時40分:ショート・ホーム・ルーム
(7校時の場合は、時間が繰り下がる)
放課後:委員会指導、個別指導、校務分掌の打合せ、授業準備など(部活動の合間など)
16時00分:部活動
18時00分:部活動終了
18時~19時:校務分掌の打合せ、情報交換、授業準備など
19時:学校を出て、自宅へ帰る
19時30分:帰宅
授業以外の業務状況について
部活動に関しては、休日に出勤して行った分に関しては、最低賃金を大きく下回る時給が単位時間(4時間・8時間)で支給されますが、平日の超過分に関しては何もありません。
部活動に関しては、外部リソースの活用が今後必須になると思いますが、部活動にやりがいを見出している教員も多いので、そこが納得する形の模索が必要だと思います。
「私立中学校の数学科の先生」の給料・残業・有給休暇について
私の場合ですが、市立中学校の数学の「先生」の月給は、35万円程度です。ちなみにボーナスは60万円です。基本的に、残業代はありません。
有給休暇は、時期によってとりやすさが異なります。行事が優先されるので、家族の用事に参加できないこともあります。しかし、長期休暇などは比較的自由に取りやすいです。
この仕事で、働いているときに困ったこと
採用された時点で、一人前の教師として見られるというところが一番困ります。特に授業はある程度の経験がなければうまくいかないことが多いので、はじめのうちはかなり苦労しました。
数学は特に嫌われやすい教科ですので、授業が分からなくて困るという声が聞こえてきました。まして、前年度は別な教員が教えていますので、その方が教え方が上手だったりすると、比較されて2倍に苦情の声をいただくことになります。初任者研修もありますが、もっとていねいな人材育成をしてほしいです。
この仕事や職場でよかったこと
生徒の成長に立ち会えるという点です。多感で成長著しい時期の生徒を相手に仕事をしていますので、もちろんうまくコミュニケーションがとれずに落ち込むこともあります。それでも、苦労しながらもこちらから仕掛けたことを通して、今まで出来なかったことができるようになること、そしてその時見せる笑顔はそれまでの苦労を忘れる一時です。
そうした、感動の瞬間にあふれていて、しかもそれを共有できる環境であることは恵まれています。
「私立中学校の数学科の先生」の仕事エピソード
部活動の大会などは感動にあふれています。大会はまさに感動の瞬間ですが、その瞬間に向かうまでの過程が重要なのです。
生徒が高い目標を自ら持つ、そして自分もそれを共有するところから始まります。しかし、生徒はいかに高い目標があっても、よほどレベルの高いチームでない限り、モチベーションを維持できないときがきます。そうしたとき、話し合うこともあるし、突き放すこともあるし、叱咤することもあります。
とにかく、生徒と教員の間にあつれきが生まれます。それでも、やるべきをしっかりと取り組ませます。なかなかコミュニケーションがとれなくても、根気強く語りかけていきます。そうした苦労があって、大会に望みます。その中での結果なので、勝っても、負けても感動します。
学校の先生の職場恋愛について
職場の範囲をどう設定するかが難しいのがこの業界だと思います。教員同士の結婚というのは実際多いです。ただし、それが1つの職員室内という意味で言えば、一般的な社内恋愛結婚と比べて特別多いとは思いません。
部活動の大会で他校の先生と知り合ったとか、転勤になってから結婚に至るとか、別な職員室で結婚する場合のほうが多いと思います。
私立校の場合は、公立よりは、転勤は少ないですが、結婚するとどちらかがやめなければならないところが多いと思われるので、そういうこともあり、あまり多くありません。
まとめ ー「学校の先生」を目指す方へメッセージ
基本的に大変な仕事だとは思いますが、生徒と一緒に感動できるのが最大の魅力です。
困難を乗り越えることに喜びを感じられる人はぜひ挑戦してほしいです。
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