教員採用試験に合格すると、年度の初めからいきなり「教師」として教壇に立ちます。
ほとんどの場合は、学級担任としてクラスを受け持ち、(稀に、副担任などもあります)それこそベテランで何年も教師をされていらっしゃる方と同じ仕事内容をこなさなければいけない1年が始まります。
「そんなのいきなり無理…」と思われる方も多いと思います。私もそうでした。
正直に申しますと、初任者1年目は、体を壊さずに学校へ行けたら100点、いえ、体を壊してもしっかり休んでまた学校に行ければ100点です。
そして何より、授業で失敗しても、子供達をたくさん叱ったとしても、毎日の最後で子供達と笑顔で「さようなら!」と言い合えれば200点満点です。
要するに、他の先生方と同じように仕事をするなんて不可能に近いですし、周りの先生方もそのことをわかってたくさんフォローしてくださいます。日々の生活は、それぐらい肩の力を抜いてもいいと思います。
日々の生活はそれぐらいの意気込みで、初任者には日々の生活に加えて、「初任者研修」が設けられています。
今回は、どのような研修が行われているのかを大きく分けて2つ、私の経験と合わせてご紹介していきたいと思います。
初任者研修とは?
どこの自治体にも、採用されてから1年間は「初任者研修」というものがあります。
大きく分けて学校内で行われる「校内研修」、教育センターや外部で行われる「校外研修」があります。一つずつ詳しく見ていきます。
初任者研修その1:校内研修
週10時間以上、年間300時間以上設けられています。1日でいうと2時間ほどになります。
内容としては、担当の先生が学校に配属され、その方から授業の助言をいただいたり、相談役としてサポートしていただけます。
教師は初日からクラスに入って授業をしなければいけないので、企業みたいに一定期間のまとまった研修を受けてから、いざ実地へ!ということは出来ません。
代わりと言っては何ですが、担当の先生がつきっきりでサポートしてくださるので、分からないことや困ったことがあれば、都度相談ができる体制になっています。
まさに、「習うより慣れろ」です。
上記の時間は、担当に授業参観をしていただき、放課後に反省会を行ったり、一緒に授業を考えたりすることもできます。
子供のことについて悩んだり、授業の仕方がわからない、そもそも何をすればいいのかわからないなど、どんなに小さなことでもどんどん相談することをおすすめします。
特に私は、放課後には自分のクラスの子供達のことを話していました。自分のクラスの子供達は本当に可愛くて仕方がなく、子供の成長する姿を共有できることが私の楽しみでもありました。
少し話は外れてしまいますが、放課後の職員室の話題は、子供達の話題が多いです。
疲れて職員室に帰ってきた中、学年の先生同士で「今日、〇〇くんが初めて授業中に手を挙げられたんですよ!」など、子供達の成長を共有できる時間がとても大好きでした。
また、学年の先生方だけではなく、「〇〇くん、去年は恥ずかしがり屋で一回も手をあげられなかったのに、頑張ったね!」と、過去に担任されていらっしゃった先生との会話も生まれます。
さらに、「〇〇くんのお姉ちゃんは、すごいリーダータイプだよ!兄弟で全然違うね!」など、兄弟間で繋がっている先生とも話すことができやすいです。
放課後は、丸つけや掲示物の作成、授業準備などやることがてんこ盛りでつい、教室にこもって作業をしてしまいがちです。
ですが、放課後は職員室に戻って、担当の先生に相談したり、学年の先生などたくさん話すことによって、子供達への理解に繋がり、時には授業作りのヒントを下さったり、メリットがたくさん生まれます。
初任者の間は、ぜひ研修時間に限らず、担当の先生や他の先生方とたくさんお話しされることをおすすめしたいです。
また、校内研修には、ベテランの先生による授業を参観する時間も設けられています。
ベテランの先生の、言葉の使い方、間の取り方、子供達をクスッとさせる一言、板書、時間配分、子供達への声かけの仕方など、本だけでは学べない授業のイロハを学ぶことができます。
私が実際に学んで真似たことの一つとして、音楽の授業で椅子や机をどかして、子供達で円形になり歌唱するというものがありました。
歌に合わせて自由に体を揺らし、時には目が合った子供達同士で笑い合い、声を重ねて力一杯歌う純粋な子供達の姿は、とても輝いていて見ていて幸せな気持ちでいっぱいになりました。
子供が椅子に座って、背筋をピンと伸ばして、教科書をしっかり持って…という固定観念が一気に崩れました。
盗めるものはどんどん盗んで、自分のクラスでもすぐに使ってみてください。
そうすることで、「自分のクラスの子供たちには、こうした方が反応がいいかも?」と自分なりに工夫することができ、自分の武器が増えていきます。
初任者研修その2:校外研修
年間25日設けられているので、月に2回ほど、外部へ研修する時間があります。
もちろん土日祝日は休みなので、平日に行くことになりますが「研修に行っている間、自分のクラスの子供たちはどうなるの?」と思うかもしれません。
その間は、先ほどから書いている担当の先生が初任者の代わりに、1日クラスに入って授業をしてくださるケースがほとんどなので、心配いりません。(場合によっては、校長先生や、教頭先生、臨時の先生が入られる場合もありますが、子供達だけで1日過ごすことになるということはないのでご安心を)
私がいた自治体では、教育委員会の方(実際に教育現場で活躍してこられた方が多いです)が講義をしてくださり、グループワークで課題に取り組むこともありました。
朝から夕方まで1日がかりの研修が多いのでくたびれますが、現場を経験されてこられた方のお話は、「まさに今そのことで悩んでいた!」ということに寄り添ったものばかりなので、とても勉強になります。
例えば、4月だったら初めての学習参観の注意点、9月だったら、夏休み明けにクラス運営で力を入れるべきポイント、運動会や遠足など、大きなイベントでの注意点など、時期にあった講義をしてくださいます。
また、校外研修では、自治体の初任者が一堂に集まるので、もしかしたら教員採用世間時代に切磋琢磨した仲間達と会える時間になるかもしれません。
ここだけの話、毎日がむしゃらに頑張っている中で、研修といえど外に出て、同じく初任者として頑張っている者同士と相談したり励まし合ったりできる時間は、貴重な気分転換の時間になりました。
そして、研修翌日に学校へ行き子供達に久々に会えた時の可愛さは、1日会えなかった分、とびきり可愛く感じられると思います。
ベテランの方から貴重な講義を受けられるだけではなく、以上のようなメリットもあるので、初任1年目の生活の中で、上手く活用してほしいと思います。
》参考URL:文部科学省「初任者研修とは?」
まとめ
今回は、初任者1年目ではどのような研修が行われているのかを大きく分けて2つ、私の経験と合わせてご紹介しました。
日々の授業をこなすだけで精一杯なのに、研修もこんなにたくさんあるなんて…と不安にならないで下さい。
もちろんやることがたくさんあって大変ですが、何か役立つものが一つでも知れたらいいなという風に肩の力を抜いて、研修に望んでもらえたらなと思います。
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