教員採用試験:面接「模擬授業」について



教員採用試験では、「模擬授業」というものがあります。自治体によって、やり方は変わりますが、私が受けた自治体では、横並びに3名の試験官が子供の役割(ただし、反応や応答はなし)をしてくださり、15分程度行われました。

当日は緊張して、あっという間に終わってしまいますが、短い時間でも、試験官の方々はしっかりと、私たちのことを教員の素質があるかを見極められていらっしゃると思います。

そして、どの先生方もおっしゃられていたのが、「試験官の方は、模擬授業の授業内容よりも、その人が子供たちにどんな態度で教えるかを見ている」ということでした。

そこで今回は、現役教師の方や、教育委員会におられた方、大学教授などから教えていただいたことを元にして、模擬授業対策で大切なことを5つご紹介したいと思います。

模擬授業対策に大切なことその1:大きな声でハキハキとした態度

まず、声の大きさについては、教室の後ろ側にまでしっかりと聞こえる大きさをイメージすると良いと思います。

しかし、初めから終わりまでただひたすら大きい声を出すのではなく、子供達に特に注意して聞いてほしいこと(始まりの挨拶や、教科書の開くページなど)など、メリハリをつけて声の大きさを変えました。

実際に教師になってからも、ハキハキした大きな声は、それだけで子供たちの注意を引き、授業にグッと集中させる大事な要素になっています。

言い間違えたり、噛んだりしてしまうのは大丈夫ですが、最もNGなのは、「おどおどすること」です。

おどおどしてしまうと、それだけで自信がないように映ってしまい、子供達からの信頼も寄せづらくなってしまいます。

「これでいいのかな…」と不安にならずに、根拠がなくても自分の力を信じて、ハキハキとした態度で挑んでみてください。

模擬授業対策に大切なことその2:子供達の目をしっかりと見る

次に、子供達の目を見ることですが、模擬授業の練習をしているとどうしても、用意してきた授業計画書に目を落としてしまったり、試験官から目を逸らしたりしてしまいがちです。


特に試験当日は、真剣な表情で採点してくる試験官の目を見ながら模擬授業するのは、想像以上に緊張して勇気がいることです。

ですが、ここは怖がらず、練習をするときには、できれば友達や知り合いに子供役をやってもらい、目を見ながら授業をする練習を重ねてください。

また、試験官は当日、こちらがどれだけ笑顔で授業をしていてもピクリとも表情を変えず、まるでこちらを睨んでいるかのようにさえ思えてきます。

ただ、一つ覚えていてほしいことは、試験官の表情が伺えないとしても、それはあなたの授業が決してダメなものではないということです。

セリフを間違えたとしても、計画してきた通りに授業が行えなかったとしても、決して狼狽えることなく、試験官の目をしっかり見て最後まで授業をしてください。

試験官は、「この人はこの緊張した雰囲気の中でも、おどおどすることなくやり遂げられるか」ということを試すために、あえて無表情でおられる方もいらっしゃいます。

それは、実際に教師になったときにクラスにどのような子供達がいたとしてもでも、臆することなく授業をやる力を持っているかということを見ていると教わりました。

模擬授業対策に大切なことその3:表情のバリエーションを増やす

最後に、表情を豊かにするということです。

表情の中で一番大事なのは、笑顔です。笑顔があるだけで、子供達は安心して、教師の方を見るようになります。

ただ、ずっとニコニコしていれば良いのではなく、表情を場面に応じて使い分けてください。

具体的には、教科書の文章を読みながら、初めて知ったことには驚いた表情をしたり、国語の物語を読む際に、悲しい場面には、それに合わせて悲しい表情をしたり、自分も一緒に授業を受けている感覚で行くと、分かりやすいと思います。

模擬授業対策に大切なこと4:黒板に書く文字の丁寧さ、板書計画

最近では、電子黒板や、タブレットなどを使うことも多くなりましたが、それでも避けて通れないのが、黒板とチョークを使った授業です。

字の綺麗さは、綺麗に越したことはありませんが、自信がない人は、丁寧に書くことを意識してみてください。それよりも重視されているのが、ひらがなの書き順、そして、学年に応じた漢字を使っているかということです。

まず、ひらがなの書き順が重視されているのは、1年生においてひらがなカタカナを学習するときに、美しい文字を書くためにも書き順をしっかり教えるためです。

大人になってからはなかなか意識しないかもしれませんが、これをきっかけに自分の書き順が間違えていないかどうかチェックしてみてください。


私は「も」(横2本線から書いていた)、「よ」(横線が1画目と知らなかった)を間違えてたので、試験当日はこの2文字の書き順を間違えないように特に意識をしました。

次に学年に応じた漢字を使うことです。

といっても、小学校6年間で学ぶ漢字を、どの学年でどの漢字を学んだかを全て覚え直す必要はありません。

一番良いのは、板書計画をしているときに、「この漢字は何年生で学ぶかな?」ということを調べてみてください。

それも難しいという人は、1年生に向けての授業をしているのに、6年生で習うような漢字を使ったり、逆に、6年生に向けての授業なのに、1年生の授業みたいに全てひらがなでやるといったことにならなければ大丈夫です。

当日、漢字かひらがなのどちらで書けば良いか迷ったときは、ひらがなにするといいと思います。

(ひらがなだと大抵の子供は読むことができますが、習ってない漢字だと、先生!それなんて読むんですか?と困る子供がいると想定するため)

模擬授業対策に大切なこと5:学習指導要領を読んで授業計画を立てる

学習指導要領とは、全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省において、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際に設けられた基準のことです。

小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定められているので、どのような授業をするか、どのような授業のめあてにするか悩んだときには、必ず読む資料です。

全国の書店や、図書館にある場合もあるので(しかもお値段はびっくりするほど安い)、ぜひ一度手にとってみてください。

それぞれの先生の個性を出すことはもちろんいいと思いますが、どんな授業にしてもまず大事なのは、「この授業で子供達にどのような力をつけてほしいのか」ということを明確にすることだと思います。

学校によって言い方は変わりますが、子供達が授業で目指すゴールのことを、「めあて」といったりします。

学習指導要領に則っためあてを設けたら、その後の授業の流れは、自分のやりやすいように組み立てていいと思います。

いきなり授業内容を考えるのは難しいという人は、「指導案」というものを検索してみてください。

指導案とは、授業の目的や流れ、時間配分などが事細かに書かれた授業の計画書です。

先人の方の素晴らしい指導案が、今の時代はインターネットでたくさん拝見することができます。

冒頭にもありますが、模擬授業でいきなり素晴らしい授業内容を披露する必要はないと思います。

教師になってからは、毎日の授業で鍛えられ、素晴らしい先輩方の生の授業を間近で学ぶことができ、授業力をつける機会はたくさんあります。

「じゃあ、授業計画なんてそんなに考えて作らなくても、いいんじゃないの?」「先輩が作った計画書の通り、授業すればいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、授業計画を自分自身で作っておく最大の利点は、「試験当日の安心材料」になると思っています。


試験官の前で模擬授業をするとき、本当に緊張します。私の友達では、頭が真っ白になって手が震えて、チョークを何本も折ってしまったという友達もいました。

私は、いくつも授業計画書を作っていったおかげで「これだけ頑張ってきたんだから、きっと頭が真っ白になっても何とかやり通せるはず!」と心の支えにすることができました。

心の支えだけではなく、自分で考えた流れや言葉は、必ず身についてきます。既存のものを参考にするのは大賛成ですが、そのまま真似して授業をしようとすると、うまくいかない事の方が多い気がします。

手間も時間もかかりますが、費やした分だけ自分だけの自信となります。

自分のできる範囲で十分ですので、ぜひ授業計画書の作成に取り組んでみてほしいと思います。

》参考URL:文部科学省「学習指導要領とは何か?」

まとめ

今回は、模擬授業対策で大切なことを5つご紹介しました。

教員採用試験では、対策することが多くて大変ですが、教師の仕事の大半は「授業」です。試験のためだけではなく、対策したことは教師になってからも役立つこと間違いなしなので、模擬授業対策は特に力を入れて頑張ってほしいです。

本記事は、2024年3月20日時点調査または公開された情報です。
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