はじめに - 「地方公務員」になるにはまず、その身分について確認しましょう
「地方公務員」とは、国の機関に勤める国家公務員に対して、都道府県や市区町村などの「地方自治体」に勤務する公務員のことです。
一般的な「地方公務員」になるには?なる方法を解説
「地方公務員」は所属する自治体によって、区分があります。まず、地方公務員は大きく分けると「地方上級」と、地方上級以外に分けられます。
一般的に「地方上級」というと、都道府県や政令指定都市に所属する地方公務員のことを指し、「地上」などと略して呼ばれることもあります。
「地方上級以外」については、特にまとめた呼び方はありませんが、市町村のことを指します。一般的に、地方上級以外の採用試験のことを「市役所試験」などと呼ぶこともあります。
一方で、「地方中級」や「初級」という呼び方もありますが、これは地方公務員を分けるものではなく、受験者の採用枠を、学力ごとに分けるものです。よくある誤解ですが、市町村=初級・中級というわけではありませんので、ご注意ください。
以下では、「地方上級」や、それ以外の地方公務員になる方法を、まとめてご紹介します。
【地方公務員になるには】地方公務員試験の受験資格と試験区分について
地方公務員の募集時の試験区分の名称は、自治体によって異なります。
地方公務員試験は、その難易度で「初級」「中級」「上級」に分けられています。ただし、ここでの「上級」は、先ほどご説明した都道府県と政令指定都市を意味する「地方上級」の区分とは異なります。
【地方公務員になるには】試験区分一覧
地方公務員試験の試験区分の例と、名称をご紹介します。
・初級:高卒程度の学力が必要(自治体によって、「III種」「III類」「初級職」「高卒程度」など、名称が異なる)
・中級:短大卒程度の学力が必要(自治体によって、「II種」「II類」「中級職」「短大卒程度」など、名称が異なる)
・上級:大卒程度の学力が必要(自治体によって、「I類」「I種」「A試験」「大卒程度試験」など、名称が異なる)
このように難易度で分類されていますが、あくまで「その程度の学力」が求められているだけであり、学歴ではありません。(実際の学歴を受験要件に設定している地方自治体もあります)
「初級」という級数を使った名称の場合は、高卒から大卒の順に「初級→中級→上級」と並んでいますが、数字の名称が使われる際には「III種→II種→I種」というように高卒は「III種」に該当しますのでご注意ください。
職種 | 受験資格・必要学歴 |
---|---|
事務系職種(上級) | ・22~35歳前後に設定している自治体が多い(自治体によって異なる) ・大卒程度の学力(必ずしも大卒・大卒見込みでなくてもよい) |
事務系職種(中級) | ・19~25歳前後に設定している自治体が多い(自治体によって異なる) ・短大卒程度の学力(必ずしも短大卒・短大卒見込みでなくてもよい) |
事務系職種(初級) | ・18~21歳に設定してる自治体が多い(自治体によって異なる) ・高卒程度の学力(必ずしも高卒・高卒見込みでなくてもよい) |
技術系職種(上級) | ・22~35歳前後に設定している自治体が多い(自治体によって異なる) ・大卒程度の学力(必ずしも大卒・大卒見込みでなくてもよい) |
技術系職種(中級) | ・19~25歳前後に設定している自治体が多い(自治体によって異なる) ・短大卒程度の学力(必ずしも短大卒・短大卒見込みでなくてもよい) |
技術系職種(初級) | ・18~21歳に設定してる自治体が多い(自治体によって異なる) ・高卒程度の学力(必ずしも高卒・高卒見込みでなくてもよい) |
資格免許系職種 | ・各資格取得もしくは資格取得見込み者 ・22~35歳前後に設定している自治体が多い(自治体によって異なる) |
公安系職種 | ・21歳以上35歳未満で大学卒業あるいは卒業見込み、あるいは大学卒業と同等の学力(自治体によって異なる) ・各地方自治体が提示する身体要件を満たす者 *警察庁に勤務する者は「国家公務員」です |
【地方公務員になるには】学歴は、高卒からでもOK
「地方公務員」になるための採用試験には、高卒から受験できるものもあります。上記のうち、「地方公務員初級」や「警察官」、「消防官」などがその一例です。
いわゆる地方公務員の公務員採用試験には、「短大・専門学校卒業」や、「大卒」でないと受験できないという採用区分もありますが、他にも高卒からなれる地方公務員の職種がありますので、下記のページなどで確認してください。
》高卒で公務員になりたい人向け「国家公務員試験・地方公務員試験」まとめ
【地方公務員になるには】自治体ごとに情報収集が必要
まず、「地方公務員」になるには、それぞれの地方自治体ごとに行われる採用試験に合格し採用される必要があります。(*職種・採用形態にもよります。)
同じ職種の試験であっても地方自治体ごとに「仕事内容」や試験資格など合格・採用の条件も変わるため、原則として各地方自治体のホームページで募集要項を閲覧し、最新情報を確認することが大切です。
【地方公務員になるには】職種は、全ての自治体で共通しています
ただし、どの自治体の地方公務員でも、共通する部分があります。それは、どの地方自治体に所属する「地方公務員」も、大きくは「事務系職種」「技術系職種」「資格免許職種」「公安系職種」の4つの職種にわけることができる点です。
「地方公務員」の4つの職種別に、その職種に「なるには」どうしたら良いのか、採用までの流れや関連ページをご紹介します。
》【地方公務員にはどんな種類があるの?】地方公務員の職種まとめ
【地方公務員になるには】事務系職種・行政一般職などになる方法まとめ
「地方公務員」の「事務系職種」は、「行政事務」や「一般事務」などと呼ばれ、主に県庁や市役所をはじめ、その出先機関に勤務します。
役所内での事務のほか、公立学校に勤務する「学校事務(教育事務)」、警察本部や警察署等に勤務する「警察事務」といった区分を設けている自治体もあります。
「地方公務員」の「事務系職種」になるには、「地方公務員試験」を受験し、合格する必要があります。
【地方公務員になるには】地方初級・地方中級・地方上級の各採用枠について
受験に必要な学力については、「地方公務員試験」の「初級」は高卒程度から受験ができます。高卒で受験を希望される方は、「地方初級」などの枠での募集されている中から、受験先を選びます。
「中級」は短大・専門学校卒業程度で受験可能です。「地方中級」という枠で募集されますが、「地方中級」は設定していないという自治体も多いようです。その婆には、「中級」に相当する学力の場合、「初級」を受験するということとなります。
「上級」は大卒程度から受験可能であり、「地方上級」との言われますが、県庁職員や政令市職員を指して「地方上級」と呼ぶときとは意味が異なるので、採用区分を指すときはあまり「地方上級」という呼び方は使われないように思います。「I種」など、「上級」とは違う名称を採用している自治体も多いので、注意が必要です。
また、「上級」を受験できる方は、「中級」や「初級」を受験することも可能です。
希望した部署に配属される「行政事務」になるには
「事務系職種」のうち、特に「行政事務」についてはあらゆる部署で必要な職種のため、配属先は多岐にわたります。
配属されることになって、こんな部署があったんだ、こんな機関があったんだと知るケースもあるようです。それだけ多くの業務を経験できる職種だとも言えます。
特定の部署の事務職になりたいという場合、所属する自治体の人事の状況にもよるので、確実になる方法をみつけるのは難しいことですが、採用試験の面接や採用後の面談等で、「希望部署への熱意」や「実現したい仕事」などを伝えることで、配属・転属につながるかもしれません。
また、大学時代の専攻が配属に関係することもあるようですが、必ずしも直結するものでは無いということも予め知っておいた方が良いかと思います。
ただし、勉強してきたことと全く関係ない仕事の中に、これまで培ってきた知識が活かされる場合もあるので、柔軟に考えると選択肢が広がると思います。
【地方公務員】技術系職種になるには?なる方法まとめ
「地方公務員」の「技術系職種」には「土木」「建築」「電気」「機械」「化学」「農業・農学」などの区分があり、採用区分に応じて、役所内のそれぞれの専門分野に関係する部署等に配属されます。
「技術系職種」は事務系職種と同様に、「地方公務員試験」の技術系の試験区分を受験することでなることができます。
「技術系職種」も上級・中級・初級と試験区分が分かれており、上級は大卒程度、中級は専門学校卒・短大卒程度、初級は高卒程度から受験できます。
技術系職種の希望する部署に配属されるようになるには
試験区分は選ぶことができますが、その先の配属部署については、配属されるタイミングで希望の部署に欠員が出たり、増員が必要だったりしなければ配属されないため、希望通りにいくことの方が難しいと思っていた方がいいかもしれません。
ただ、技術職は専門的な知識が必要な仕事も多いため、「事務系職種」ほど幅広い職種に配属されにくくはなっているようです。例えば採用区分の「電気」で採用されたら、「農業」などに関わることは少なく、「電気」に関わる仕事に携わることが多い傾向にあります。
ただし、例えば「農業」分野でも、「電気」の技術が必要な場合もありますので、決めつけないことが大切かと思います。
》技術系紹介:【きれいな街をつくります!】地方自治体の公園課のお仕事とは?
【地方公務員】資格免許職種になるには?なる方法まとめ
「地方公務員」の「資格免許職種」は、自治体が資格や免許を発行し、地方自治体の関連施設や公立の病院・学校等で働く職種です。
「地方公務員」の「資格免許職種」には、「保健師」「看護師」「臨床検査技師」「診療放射線技師」「管理栄養士」「栄養士」「幼稚園教諭」「保育士」などの職種があります。
「地方公務員」の「資格免許職種」になるには、まずなりたい職種の養成課程がある学校などに入り、必要な単位を取得し、卒業する必要があります。
例えば「公務員保育士」になりたい場合、まずは短大・専門学校・大学等の、保育士養成課程に入学しましょう。
その上で「地方公務員」のそれぞれの職種の採用試験に合格する必要があります。試験は、例えば都道府県や市町村が、その自治体内で必要な新卒の「保育士」をまとめて採用する場合もありますが、欠員が出た施設ごとに求人を出し、採用試験を行う場合もあります。
資格免許職種にも学力ごとの採用枠がある自治体もあります
保育士や栄養士の資格取得(見込)者の方には、大卒の方と専門学校卒・短大卒等、学歴の異なる方がいるので、「栄養士(中級)、栄養士(上級)」というように、採用枠を分けている場合があります。
また「保育士(中級)」のみを募集している場合もありますが、これは大卒の方が受験できないというわけではなく、短大・専門学校卒以上の学歴の方であれば受験できることを意味しています。
つまり、地方公務員の「保育士(中級)」は、大卒や大学院卒の保育士志望の方も受験可能です。ただし、待遇は行政事務職の中級程度になることが多いため、ほかの上級職に比べると、同じ大卒なのに給与が低い、というケースはあります。
資格免許職種になるには、まず確実に資格を取る体制を整えるところから
公務員試験を受ける前に、あらかじめ資格の勉強を進めておくことは「保育士」に限らず、ほかの「資格免許職種」も同様です。
「地方公務員」の「資格免許職種」の採用試験は、「資格」や「免許」を既に持っているか、「取得見込み」であれば受験できることがほとんどです。
「地方公務員」の「保健師」や「看護師」など専門職になるには、まずは資格や免許を確実に取得して卒業できるよう、学ぶことが大切です。
》「栄養学のプロフェッショナル」の地方公務員「管理栄養士」になるには?
【地方公務員】公安系職種になるには?なる方法まとめ
「地方公務員」の「公安系職種」には「警察官」や「消防官」などの職種があります。
このうち、「警察官」は都道府県職員ですが、「消防官(消防職)」は市町村の職員です。ただし、東京都の場合は例外で、「警察官」は警視庁職員となり、「消防官」は一部の市を除き、東京消防庁の職員として採用されるため、どちらも都の職員という扱いとなります。
また、自治体によりますが「消防職初級」「消防職中級」というように、学力によって採用枠が更に細かく設定されている場合があります。
具体的に「警察官」「消防官」「救命救急士」になるには
「警察官」になるには、都道府県ごとに行われる警察官採用試験に合格し、警察学校での訓練を修了する必要があります。
「消防官」になるには、東京都以外は、市町村か広域消防本部ごとに行われる消防本部の消防官(消防吏員)採用試験に合格し、消防学校での訓練を修了する必要があります。
また、「消防官」の一部である「救命救急士」になるには、専門学校等の専門課程で学び「救命救急士」の国家資格を取得するか、消防官として実務経験を積む中で「救急救命士」としての国家試験の受験資格を得て合格するかといった方法があります。
》道路の平和を守る警察「交通執行部隊」の仕事内容と白バイ隊員になる方法
》【街を守るヒーロー】消防官・レスキューになる方法・向いている人物像まとめ
まとめ - 地方公務員になるには、各職種ごとにご紹介しました
このページでは、「地方公務員」になるにはどのような条件が必要なのか、「地方公務員」をおおまかに「事務系職種」「技術系職種」「資格免許職種」「公安系職種」という4つ職種に分け、ご紹介しました。
また、事務系職種を中心とした学力ごとの採用枠である「上級・中級・初級」の内容や該当者についても解説しました。
「地方公務員」を採用する試験は、基本的に地方自治体ごとに行われていますので、最新の試験情報は自治体ごとのホームページで確認するか、問い合わせるのが確実です。
「地方公務員」の採用試験の受験資格は、職種によって異なりますが、高卒から受験できる試験もありますので、全体としては、幅広い学歴や経験を持つ方が受験することが可能です。
「地方公務員」について、やってみたい職種が見つかった方は、それぞれの職種のページでより詳しい仕事内容などについても紹介していますので、ご覧ください。
》【地方公務員にはどんな種類があるの?】地方公務員の職種まとめ
また、「地方公務員」だけでなく「国家公務員」について知りたい方は下記のページもご覧ください。
コメント
コメント一覧 (1件)
先行き不透明なご時世を考慮してか、我が子を地方公務員に!というご家庭がまわりに増えており、個人的に知識ゼロなので、勉強になりました。