ロックダウンで銃の売上増する「アメリカ」で抗議デモ勃発、現地レポート

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、日本同様に、アメリカでも、政府が自粛要請を出しています。アメリカではそうした制限に対して、国民は鬱憤をためているようです。

本記事では、アメリカに住む日本人ライターに、新型コロナウイルスによって起こった抗議デモを、銃社会ならではの危険性と絡めて、レポートしていただきました。

はじめに

2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大によってアメリカ人の4人にひとりが外出自粛や自宅待機などの制限を受けているなか、ついにアメリカ国内でデモ活動が起こりました。

アメリカ中西部にあるミシガン州のデトロイトでは、いつまでも経済活動が再開されず、働けないことに苛立ちを募らせているアメリカ人たちが渋滞を引き起こすなどしてデモを実施しました。いよいよアメリカ国民の鬱憤が爆発し始めたとしてアメリカ国内でも注目を集めています。

実はアメリカでは新型コロナウイルス感染拡大に合わせるようにして銃や銃弾などの売上が急増しています。この背景にはデモや暴動に対する自衛措置があるとされていますが、このままアメリカ国内でデモが頻発すると銃を使った事件が増えると懸念されています。

今回は、新型コロナウイルス騒動に影を潜めるアメリカのデモや暴動などについて、現地の様子や雰囲気などリアルなアメリカの様子をご紹介します。

公務員にかぎらず、知っておきたい内容です。是非ご覧ください。

ミシガン州の抗議デモ

はじめに今回起きたミシガン州の抗議デモがどのようなものだったのかを見てみましょう。

4月15日、ミシガン州の抗議デモの内容

2020年4月15日、ミシガン州最大の都市であるデトロイトで州の外出禁止令に抗議する人たちが集まって抗議デモを実施しました。デモの内容は、車のクラクションを鳴らす、道路を車で占拠する、占拠した道路をプラカードを持って歩くなど比較的「平和的」なデモでした。

ミシガン州の州議事堂に繋がる道や市内の要所を多くの車が占拠し、4月9日に延長された外出禁止令に対して抗議しました。また、経済活動を即時再開するようにも求めており「コロナウイルスよりも経済活動を優先すべき」「ロックダウンを解除せよ」「仕事を返せ」など各所で様々な訴えがあがりました。

抗議デモの最中には、他人との間隔を2m程度保つソーシャル・ディスタンシングを実践しながら抗議活動をする人がいた反面、素手で子供達にお菓子を配る人もいたため、州知事からは「命を危険にさらす行為」と非難されました。

今回の抗議デモに参加した人のなかで外出禁止令を破ったとして拘束または逮捕された人はおらず、州政府をはじめ警察も「黙認」する事態になりました。

どんな人がデモに参加したのか?

デモに参加した人たちの大半は新型コロナウイルス騒動によって職を失った人や、外出禁止令によって新たな職に就けないでいる人たちです。今回のデモの参加者はおおよそ4,000名で、デモを主催した保守系団体のFacebookにはおおよそ3,000の「いいね!」が付き、ミネソタ州でも同様の動きが広まりつつあります。

デモに参加した人のなかには銃を背負っている人や、トランプ大統領を支持する旗を掲げる人、さらには南北戦争時代の南部軍の旗を掲げる人もいました。デモに参加した人がアメリカの自由な精神や、独立心、プライドなどを主張したため、外出禁止令に対する抗議デモと言うよりは、政治に不満を持った人たちによる政治集会のようだったとする人もいます。

なぜデモは、デトロイトでおきたのか?

デモが起きたミシガン州のデトロイトは、もともと自動車産業などの工業が盛んな都市だけに、経済が停止してしまうと多くの州民が影響を受けるという事情があります。また、デトロイトでは30,000件を超える感染者数、2,200名以上の死者が出ていることから、州政府が非常に厳しい制限をかけていることも挙げられます。

デトロイトでは4月30日まで外出禁止で、家族や子どもの送迎以外で他人の家を訪れることさえも禁止しています。このような厳しい制限によって感染リスクが少ない人までも規制されてしまい、経済活動や収入に影響が出ているのです。

加えて、デトロイトの都市部周辺は貧困層が多く暮らしていることから「経済活動に制限がかかる=生活が成り立たない」となってしまう人が他都市よりも多いとされています。デトロイトにはデモが起きても仕方がない深刻な事情がある訳です。

ミシガン州政府の反応

抗議デモを受けてグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer)州知事は、抗議の声や不満、怒りは自身が引き受けるとしつつも、州の方針を変更することはないとしています。あくまでも「公衆衛生と州民の安全を守ること」を優先し、事態が終息するまでは通常の経済活動は再開しない方針です。

ミシガン州は、4月17日時点で全米で4番目に感染者数、死亡者数が多いだけに、規制を緩めることは出来ない状況にあります。また、抗議デモをきっかけにして感染者が増える可能性も指摘されており、言論の自由や抗議の自由を主張する前に、救急隊員など初期対応にあたる人たちを危険にさらすべきではないと、抗議デモを暗に批判しています。

一方で、14日にはミシガン州民の4名が州知事を相手に訴訟を起こしています。訴えの内容は「州政府による外出禁止命令は憲法で認められている人権を侵害するもの」で、州民に対して「過剰でなおかつ理不尽」な命令としています。

州政府としては感染拡大を防ぐことと、経済活動を再開させなければ生活が行き詰まる人が大勢いるという板挟み状態にあるのです。

アメリカ連邦政府の反応

経済活動早期再開に余念がないトランプ大統領はさっそく自身のTwitterで「”LIBERATE MINNESOTA!” “LIBERATE MICHIGAN!” “LIBERATE VIRGINIA”」とツイートし(ミネソタ州、ミシガン州、バージニア州を解放せよ)、経済活動再開を応援するような姿勢を見せました。

また、経済再開を急ぐ連邦政府の姿勢に苦言を呈したニューヨーク州知事のクオモを批判し、経済再開に消極的な同氏を攻撃しました。しかし、クオモ州知事はトランプ大統領に対して「批判する時間よりも、実行する時間を費やすべき」と反論しています。

トランプ大統領としては一刻も早く経済活動を再開したい考えです。その最大の理由には大統領選での再選があります。ミシガン州やバージニア州は大統領選の度に支持政党が入れ替わる「スイングステート」だけに、これらの州で人気を確保しておきたいのが本音でしょう。

州民の安全を優先したい州政府と、経済再開を急ぎたい連邦政府はねじれた状態と言えます。トランプ大統領としては、州政府に批判的な態度をとることで経済再開を望む国民からの支持を得たい考えです。

新型コロナウイルスと銃社会アメリカについて

ここでは新型コロナウイルス問題と銃社会アメリカの関係性をご紹介します。アメリカでは暴力的なデモや暴動がいつ起きてもおかしくないと考えている人が多いようです。

銃器店は必要不可欠

アメリカでは新型コロナウイルスの感染が拡大するに連れて、銃や銃弾の売上が伸びています。多くの州では「必要不可欠なビジネス」以外は閉鎖しなければいけませんが(原則として罰則はない)、アメリカの多くの銃器店は営業しています。つまり、銃器店はアメリカ人にとって必要不可欠なビジネスと認められているという意味です。

カリフォルニア州では、3月4日に州の非常事態宣言が発令され、銃器店を含む多くのビジネスが閉鎖されました。しかし、他州の動向やアメリカ人が銃を必要としている状況を受けて、3月30日から銃器店の営業を正式に認めることに方針転換しました。

また、全米ライフル協会(NRA)や銃器推進派グループが、新型コロナウイルスの影響を受けて銃器店を閉鎖することは「武器の所有を認める憲法に違反する」として州を相手取って訴訟を起こしています。

このようなことから、いかにアメリカ人にとって銃が身近で欠かせない存在であるかがよく分かると思います。アメリカの銃社会は、新型コロナウイルスによって改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。

連邦政府も銃器店を支持

カリフォルニア州に限らず、銃器店の営業を容認する背景には連邦政府の認定があります。3月13日に国家非常事態宣言を発令した連邦政府は、3月28日に軍需品製造業者や販売業者を「必要不可欠で重要なインフラ事業者」と認定しました。

つまり、銃器店は国のお墨付きをもらった上で営業出来ることになったのです。そして、多くのアメリカ国民の間で、これを機会に「銃を所有した方が良いのではないか?」という心理が動きました。

この結果、アメリカ中の銃器店で行列ができ、電話対応が追いつかないほどに忙しくなったお店もあります。銃の売れ行きが増えたことは、当初はスーパーなどから物が消えたことによる「パニック買い」に関係していると思われていましたが、感染拡大が止まらない今では政府の閉鎖や社会崩壊、治安悪化などの可能性が出てきたため、自衛目的で購入する人の割合が増えているとされています。

カリフォルニア州の銃撃事件

ミシガン州で抗議デモが起こった数日前に、新型コロナウイルスによる外出規制に関連した銃を使った事件が起きています。

4月11日、自宅待機命令が出されているカリフォルニア州のベーカーズフィールドでパーティーを開催していた若者たち6名が銃撃される事件が起こりました。被害に遭った若者はいずれも命に別状はありませんでしたが、犯人は逃走し、若者たちは外出禁止令を破ってパーティーをしていたことが明るみに出ました。

犯人は自宅待機命令の最中にパーティーをして騒いでいた若者たちを狙ったと考えられており、新型コロナウイルスに関連した銃撃事件としてアメリカ国内で注目されました。このような事件が起こることは、非常事態下にあるアメリカ国民の理性が少しずつ限界に近づいているのかもしれないとされています。

まとめ

いかがでしたか?

ミシガン州のデモに象徴されるように、アメリカ国民の不満は少しずつ爆発し始めています。また、銃社会であるが故に、国民が暴走した時には恐ろしい事態を招く可能性があります。

新型コロナウイルスの感染が収まらない限りは、精神的にも経済的にも負担が増えるので、国民の暴走が起きてしまう前に終息することが期待されます。

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本記事は、2020年4月22日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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