はじめに – 日頃の予防が大切
毎年11月から3月まで、インフルエンザの流行に伴う学級閉鎖、行事への対応、受験への配慮などで、学校はピリピリします。
そのため、この時期は教室に加湿器を設置したり、手洗いうがいの徹底や、予防接種の有用性を保健指導したり、教室換気を休み時間ごとにするなど、できる予防を行います。
インフルエンザA・B型発生時の対応
通常、頭痛、腹痛、吐き気、倦怠感等の症状に伴い37.5℃までの発熱であれば、まずは保健室で休養して様子を見ます。
熱が37.5℃以上あれば保護者に連絡しお迎えに来てもらう、もしくは高校生であれば早退させます。
しかし児童の場合、37度台の熱が1時間経つと38~39℃台まで一気に上がることはざらにあります。そのため、インフルエンザなどの流行期には早めに保護者へ連絡します。
発熱があった児童、生徒のクラスには、教室の喚起をお願いし、調子が悪い児童生徒には早めに保健室へ来るように伝えます。
インフルエンザか否かは医療機関で検査してもらわないとわかりません。そのため、早退した児童生徒には必ず受診を促します。
インフルエンザの診断が出た場合、「学校等欠席者・感染症情報システム」という全国の感染者を把握するためのサイトに、情報を入力します。このサイトによって学校は、どこの地域のどこの校種で何人感染症が発生しているかを知ることができます。
その他にも、地域の中のインフルエンザ情報について学校医が連絡してくれる場合もあります。
インフルエンザによる学級閉鎖
「学級閉鎖」と一言で言っても、学級閉鎖を行う基準は自治体によって違います。「~~人の感染者が出たら閉鎖」というような法的な基準はなく、多くの学校で校長の判断によって実施されます。
新型インフルエンザが出るまでは、「クラスの3分の2が欠席したら」学級閉鎖になるという自治体が多いものでした。大半の生徒が欠席してしまうと、授業が成り立たないからです。
しかし、新型インフルエンザが出た年から、「授業が成り立たないため」ではなく「感染の拡大を抑えるため」という本来の意味合いが重視され、自治体によって基準は違いますが、「クラスの1割や、5人以上のインフルエンザ罹患者が出たら学級閉鎖」になりました。
学級閉鎖を行うまでの手順
次は、学級閉鎖を行うまでの手順について説明します。
朝の健康観察で児童生徒の欠席状況を確認し、学校で定められた人数の欠席があった場合、もしくは欠席者の人数に加え、登校していても体調不良を訴えている児童生徒が数名いる場合、学級閉鎖を検討します。
保健室の先生(養護教諭)は、欠席人数を把握し、管理職と相談した後は、体調不良の児童生徒への対応に追われます。
行事を控えている場合は、学級閉鎖中の体温などを記入する「健康観察カード」の準備を行い、配布します。
管理職は学校医に欠席者の人数を報告し、学級閉鎖の可否や日数などを相談し、助言をもらいます。
その後、学級閉鎖すると判断した場合教育委員会に報告します。そして、学級閉鎖を行う学年を招集し、登校している児童の下校を給食後に行うことを確認し、保護者への連絡をします。
最近では年度当初に登録したメールアドレスに学校からの連絡を一斉メールで行うことが多く、一斉メールを行い保護者からの連絡に対応します。
給食担当の教諭は、翌日からの給食配膳数の変更の手続きを行わなければなりません。供給をとめられるものは停止し、食品ロスを防止し、学期末に保護者に返金するためです。
また、学童教室の担当者へも連絡を行います。学童教室は、学級閉鎖の児童は受け入れません。
学級閉鎖後の学校の対応
学級閉鎖をする期間は、インフルエンザであれば5日間が標準です。そのため、土日を挟まない火曜日からの学級休業の場合まるまる1週間休むことになります。
学習指導要領に定められた授業日数や学習進度に到達できない場合は、長期休暇中に授業を行うことになります。そのため、学校ではある程度学級休業を予測し、始業前の時間や授業の時間割を操作して、帳尻を合わせられるようにしています。
また、最近では土曜授業や冷暖房設備完備工事がすすみ、長期休暇日数を減らしている自治体も多くなっており、年に2回ほど学級閉鎖が起こらない限り、授業日数が足りないという事態にはなりません。
児童が早退する際の、保護者への対応が困難
児童が早退するとき、保護者への対応がスムーズにいかない場合があります。理由は、共働きのご夫婦やシングルマザーが増えたからです。
最近では専業主婦の家庭が減り、両親ともに働いている家庭が多くなり、シングルマザーの家庭も多くなりました。
年度初めに保護者に書いてもらう緊急連絡先に電話をしてもつながらないことが多く、連絡がついたとしても、5時間待っても迎えに来られないというような場合もあります。そもそも朝から熱があっても、仕事が休めないため登校させる家庭もあります。
こういった場合は、対象児童を保健室で預かることになります。冬はインフルエンザの可能性があるので、他の生徒に移さないように、保健室を入室禁止にしなければなりません。そうすると、軽症な症状の生徒や、ケガをした児童が保健室に来られず、保健室本来の機能が止まってしまいます。
とはいえ、そのような児童は保護者が迎えに来ても家に放置され、保護者は仕事に戻ってしまうことも多く、そちらの方が心配なこともあるので、学校側も困ってしまいます。
まとめ – 編集部より
以上、ベテラン保育士に、学校でインフルエンザが発生した場合や、学級閉鎖などについて聞くことができました。
本記事を通して、子どもたちが安心して学校に通えるよう、そして感染症が広まらないよう、保健室の先生(養護教諭)は日々児童生徒に気を配っていることを、ぜひ知ってください。
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