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いまさら聞けない!アメリカ大統領選の党大会とは?

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はじめに - 大統領選のたびに開催される「党大会」

2020年11月3日に投票を控えているアメリカの大統領選ですが、新型コロナウイルスの影響を受けて、多くの州が郵便投票を採用するなど、従来の選挙とは異なる様式になっています。

新型コロナウイルスの影響を受けたのは投票方法だけでなく、多くの国民が注目する「党大会」も同様です。大統領選が開催されるたびに共和党、民主党共に開催している党大会とはいったい何なのでしょうか。

今回は大統領選の行方を左右するほど重要とされている党大会について詳しく解説します。

なお、2020年民主党党大会については、以下の記事もご参考ください。

》アメリカ大統領選・2020年民主党大会まとめ

アメリカでは4年に1度、アメリカ合衆国の民主党が、正副大統領の指名候補を選出する時に開く大会があります。これを「民主党大会」といいます。今回は、アメリカの「アメリカ大統領選・2020年民主党大会」について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

アメリカの党大会の概要

はじめに党大会の仕組みや内容について見てみましょう。

アメリカの党大会とは

党大会とは、共和党と民主党それぞれの政党における最高決定機関であり、各政党の代議員や政党支持者が集まる全国集会のことです。

英語で党大会は「Convention」で、共和党大会は「Republican National Convention」略してRNDと表記されることもあります。民主党大会は「Democratic National Convention」でDNCと省略されます。

党大会は大統領選が開催される年の夏(7月から8月)に、政党ごとに4日間の日程で実施されます。党大会では、各政党の大統領候補者が正式に任命されたり、政策綱領(マニュフェスト)が決定されますが、大統領選本番に向けて政党が団結するための役割もあります。

近年の党大会は、出来るだけ注目を集めるために著名なアーティストを招いたり、芸能人による応援演説をするなどしてエンターテインメント化されています。


メディアの報道では、派手なパーティーさながらの様子が映される傾向がありますが、正式には各政党が大統領選に向けて、候補者や政策綱領を決定するための重要な会議という位置づけです。

アメリカの党大会の場所

党大会は毎回開催される場所が異なります。

とくに開催場所については、各政党が重視する州や都市、(候補者の)縁の地などが選ばれます。各政党が党大会を実施する都市によっても、政党ごとの狙いが分かるとされるほどです。

例えば、2020年の民主党大会はウィスコンシン州ミルウォーキーが選ばれました。(新型コロナウイルスの影響でオンライン開催に変更)この他に最終候補都市として、テキサス州ヒューストン、フロリダ州マイアミも残っていました。

ウィスコンシン州ミルウォーキーが選ばれた理由は「手堅い票の獲得」とされています。ライバルの共和党と接戦になる可能性が高いヒューストンやマイアミよりも、ウィスコンシン州での勝利を着実にしたい思惑があると見られます。

一方で、共和党はもともと優勢とされているフロリダ州ジャクソンビルを選んでおり、こちらも「手堅い勝利」を優先したと見られています。(新型コロナウイルス感染防止措置として急遽ノースカロライナ州シャーロットに変更)

アメリカの党大会の日程

党大会の日程も重要な意味があります。

共和党、民主党いずれの党大会も注目を集めますが、先に実施した方がより注目されやすいと言われています。そのため、与党あるいは劣勢の政党から先に開催する傾向があります。

一方で、後から開催する政党は、ライバル政党の政策綱領や発言、世論の反応などに配慮した対策が可能になることから、後攻こそが有利とする声もあります。

ちなみに、2020年は民主党大会が8月17日から、共和党大会は8月24日からとなっています。例年では7月下旬頃から8月中旬にかけて開催されますが、2020年は新型コロナウイルスの影響でずれ込む結果になりました。

アメリカの党大会の内容

共和党、民主党いずれの党大会もほとんど同じ内容で構成されています。

4日間かけて開催される党大会では、主に「大統領候補の指名」「副大統領候補の指名」「政策綱領の採択および発表」「大統領候補および副大統領候補による指名受諾演説」などの内容が盛り込まれています。

なかでも注目を浴びるのが「政策綱領」と「指名受諾演説」のふたつです。

政策綱領は、それぞれの政党が次の4年間でどのようなことに取り組むかを発表します。

例えば、2016年の共和党大会では、イスラム過激派や非合法移民の排除、不利益な貿易見直し、アメリカの安全保障問題、グローバル化よりもアメリカ第一主義などに触れており、トランプ政権ではこれらに基づいた政策が実行されてきました。


指名受諾演説は、各政党の代議員によって正式に指名された大統領候補と副大統領候補がそれぞれ演説を行います。(2016年の共和党大会では、トランプ氏が過去最長となる75分の演説をした)

副大統領候補は大統領候補の政策支援を約束し、控えめな演説であることが通例です。一方で、大統領候補は正式な指名を受けてから初めての演説となり、大勢の政党関係者の前で決意表明をするため、非常に重要な演説になります。

ちなみに、各党の候補者は党大会に先だって実施される予備選挙の時点で選出こそされていますが、あくまでも「選出」であって「指名」ではありません。党大会で指名されて初めて正式な候補者になれるのです。

これまでの党大会

これまでの党大会では数々の出来事がありました。ここでは党大会で起きたいくつかの出来事をご紹介します。

2004年民主党大会

2004年の民主党大会ではアメリカ史に残る基調演説がありました。演説者を務めたのが、当時イリノイ州の上院議員だったバラク・オバマです。

党大会における基調演説は大会初日に行われ「雰囲気作り」や「一体感」を生むための重要な演説とされています。各政党の有望株や大統領候補と同じ思想を持った人が務めることが通例です。

これまでに演説者としてバラク・オバマの他にビル・クリントンなど、後々の大統領経験者も務めており「将来の大統領候補」が語る場として注目されるポイントになっています。

オバマ氏は基調演説で「リベラルなアメリカも保守的なアメリカもありません。あるのはアメリカ合衆国だけです。黒人のアメリカも白人のアメリカもラテン系のアメリカもアジア系のアメリカもありません。あるのはアメリカ合衆国だけです」と述べ、全国に名を広めました。

この年の大統領選では民主党は敗れてしまいますが「民主党にオバマあり」という痛烈な印象を残しました。また、誰よりも大統領らしかったとされ、ジョン・ケリー大統領候補が霞むほどだったと言われています。

2016年共和党大会

2016年の共和党大会では、政治経験がない実業家のドナルド・トランプ氏が大統領候補に指名される見込みが強まったことから、大きな波乱を呼びました。

本来であれば、共和党出身の歴代大統領らも参加するのが通例ですが、ブッシュ元大統領親子、ジョン・マケイン上院議員、ミット・ロムニー上院議員など、共和党の重鎮らがこぞって欠席しました。(ブッシュ親子は民主党のヒラリー氏に投票することを公言していた)

また、共和党大会のスポンサーとして長年協賛してきたアップル、フォード、JPモルガン・チェイス銀行など、アメリカを代表する大企業がイメージの低下を恐れて協賛を取りやめています。

2016年の共和党大会では、共和党の大統領候補者が共和党員から支持されない事態で、極めて異常な雰囲気に包まれていたと言えます。

2020年両党大会の見通し

2020年の党大会ではどのようなことがポイントになるのでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で従来のようにたくさんの人が集まれないことや、テレビ中継されないことなど、様々な影響が見込まれています。

共和党大会

共和党大会では、現職のトランプ大統領が2期目でどのような政策を展開するつもりなのかが注目されます。

なかでも、悪化する一方の「対中問題」や「経済回復」は1期目から注力してきている分野なのでポイントになるでしょう。また、民主党が攻撃対象にしている人種差別問題や国際協調への取り組みも気になります。

共和党は現職の大統領と副大統領が続投することがほぼ確実であることから、大々的なアピールはせず、支持者に結束を呼びかける程度でサプライズはないと見られます。

民主党大会

政権奪回を狙う民主党は、党大会で「多様性を強調」することが最大の目的になるでしょう。党大会に先立って選出された黒人女性副大統領候補のカマラ・ハリスは象徴的な存在です。


また、政策綱領では国際協調路線への復帰、富裕層への増税、格差是正がポイントになります。失言が多いバイデン大統領候補が、指名受託演説でどこまで支持者にうまく訴えられるかも注目したいところです。皮肉にもアメリカではバイデン氏よりもハリス氏の演説に注目が集まっています。

まとめ

以上、「いまさら聞けない!アメリカ大統領選の党大会とは?」でした。

アメリカの大統領選は予備選挙、党大会、テレビ討論会、そして投票日という大きな流れがありますが、党大会は大統領選における一騎打ちの始まりを意味するポイントです。

両党大会の基調演説、政策綱領、指名受託演説の3つは、大統領選の行方を知るうえで重要な鍵になりますので、ぜひ注目して下さい。

本記事は、2020年9月2日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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