学校専任の警察官!「スクールポリス制度」とは?

ドラマ「青のSP」の放送でも注目されている「スクールポリス制度」とは、どのような制度なのでしょうか?

アメリカでは常識、韓国でも導入されはじめているこの制度、日本ではまだ未導入ですが、2021年はじめドラマ化がされたこの「スクールポリス制度」について解説します。


「スクールポリス制度」とは?問題だらけの学校生活を取り締まる!

「スクールポリス制度」とは、その名の通り学校内に警察を常駐させる制度のことです。学校で起きる様々なトラブルに対応し、トラブルの予防にも気を配ります。

スクールポリスは、いじめや体罰、薬物、SNSトラブル、セクハラやパワハラ、マタハラなど、生徒や教職員、保護者など学校関係者が抱える問題について、法に触れれば警察官として厳しく逮捕などの対処ができる権限を持ちます。

「青のSP」はどんなお話?日本でスクールポリス制度が常識になる日は来るのか?

2021年1月から、フジテレビの火曜ドラマとしてスタートした、「青のSPスクールポリスー学校内警察・嶋田隆平ー」は、主演の藤原竜也(ふじわらたつや)さん演じる嶋田隆平が、学校内警察官(スクールポリス)として、中学校に試験的に配属され、学校で起きる様々な問題に立ち向かっていくストーリーです。

このドラマは佐々木克郭さんの小説「スクールポリス」が原作となっています。

日本ではまだ、導入されていない「スクールポリス制度」を描き、日本にもスクールポリス制度があったらどのような問題解決がなされていくのか、参考になるドラマのひとつです。

▼参考URL:関西テレビ|青のSP
(https://www.ktv.jp/schoolpolice/intro.html)

アメリカでは常識の「スクールポリス」

日本ではまだ馴染みの薄い「スクールポリス制度」ですが、アメリカでは地域によっては必要不可欠なため、公立学校であってもケンカを収めるために警察官が入るのも常識のようです。

▼参考URL:学びの場.com|校内に警察官が駐在「公立高校のセキュリティ対策」アメリカ・ロサンゼルスより
https://www.manabinoba.com/world_edu/6463.html

アメリカでスクールポリスが常識だという背景。犯罪率の高さや、銃社会であることなど。

アメリカで「スクールポリス制度」が常識なのは、それだけ学校ないトラブルが日常茶飯事である、とも言い換えることができます。

人種の違いによる争いや、ギャングと呼ばれる不良集団同士の抗争などケンカが絶えないほか、武器としてナイフはおろか銃を学校に持ち込むケースもあるようです。生徒たちは金属探知機で凶器を所持していないかチェックを受け、万が一銃の所持が発覚したら学校をロックダウン(閉鎖)するなどの措置が取られます。

2013年のデータでは、人口10万人あたりの少年犯罪検挙人数について、日本では約280人のところ、アメリカでは約1450人なので、単純に計算すると約5倍もの子どもたちが法に触れた行動をとってしまっている、という状況にあります。


韓国でも試験導入されている

アメリカのような銃社会ではありませんが、韓国でも2005年から「スクールポリス制度」が試験導入されているようです。

ただし、韓国の制度では、現役の警察官ではなく、元警察官や元教師などが配置されました。実際に逮捕する役割というよりは、問題がないか監視したり、トラブルの相談に乗ったりという活動が中心だと報じられていました。

▼参考URL:中央日報|「スクールポリス」、全国10カ所で試験運営
https://s.japanese.joins.com/JArticle/67615?sectcode=400&servcode=400

▼参考URL:中央日報|「校内暴力を根絶」スクールポリス、活動開始へ
https://s.japanese.joins.com/JArticle/74320?sectcode=400&servcode=400

日本の学校の警備体制は?

日本の学校の警備体制については、2001年の大阪府池田市で発生した「大阪教育大附属池田小」事件をきっかけに、全国的に強化されてきたという自治体が多いようです。

大阪教育大付属池田小事件

2001年6月8日午前10時すぎ、包丁2本を隠し持った宅間守元死刑囚(04年に死刑執行)が校内に侵入。四つの教室や廊下などで児童らを襲い、1年生男児1人と2年生女児7人が死亡、児童13人と教諭2人が重軽傷を負った。

出典
20分の訓練、脚震えた教師 付属池田小事件から19年

この事件をきっかけに、全国の学校には「さすまた」が導入され、実際に使用する訓練も行われるようになりました。

そして、事件以降には、警察へのスムーズな通報システムや防犯カメラも普及し、外部からの侵入に対する防犯の強化・徹底がなされてきました。

▼参考URL:株式会社JMC|公立小学校の93%に通報システム~大阪・池田小事件10年で普及
(https://www.jmc.ne.jp/kks/2011/20110624-4-a11.html)

学校外からの侵入は防ぐ。では学校内で起きた問題についてはどう対処するのか。

過去の悲しい事件を教訓に、外部侵入者から子どもたちを守る設備が整ってきた学校ですが、学校内で起きた問題についてはどう対処するのか、という点については、学校や自治体によって、対応に違いがあるようです。

その中で、学校内に警察官を配置する「スクールポリス」の設置を望む声も出てきています。

通報制度の例「学校・警察連絡制度」千葉県警

千葉県警の例を見ると、通報システムとして「学校・警察連絡制度」が導入されています。

千葉県警によると、この制度のねらいは、「学校と警察が児童生徒に係る問題行動等の情報の共有化を図ることによって、児童生徒の健全育成及び非行防止並びに犯罪被害予防を行うこと」にあるようです。

児童や生徒が犯罪被害に遭わないようにするほか、子どもたち自体の暴力行為についても学校から警察署に連絡できるシステムがあることは、「スクールポリス」の考え方に近いものがあるかもしれません。

▼参考URL:千葉県警
https://www.police.pref.chiba.jp/content/common/000005530.pdf

まとめ - 「スクールポリス」は、いじめ対策になるか。

このページでは、小説「青のSP」のドラマ化などで注目されている「スクールポリス制度」についてご紹介しました。


学校内のトラブルを第三者として解決する「スクールポリス」の設置によって、どうしても閉鎖的になりがちな学校内のトラブルに対処することができるでしょうか。

日本ではフィクションにとどまる「スクールポリス」の考え方ですが、すでに実施している外国もあり、日本への導入も非現実的ではないと捉えることができます。

ただし、「スクールポリス制度」の導入は、問題行動に対して、教育ではなく懲罰で対処する制度であり、慎重に議論すべきで、今後の動向に注目します。

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本記事は、2021年2月13日時点調査または公開された情報です。
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