小学校で必ず学ぶことになる「プログラミング教育」とは?

最近、「小学校でプログラミング教育が必修化」というニュースを聞いたことがある人もいるかもしれません。実は、2020年度からの「小学校新学習指導要領」に明文化されました。

今回は、これから小学校の教員になる方々には必読の「プログラミング教育」について詳しく解説していきます。


「プログラミング教育」とは?

読者の皆さんは、「プログラミング教育」を受けてきましたでしょうか。

「プログラミング」とは、簡単に言うと、コンピュータに手順を命令(プログラム)することです。

プログラミングをする仕事である「プログラマー」という言葉は、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
横文字が多く、教員になろうと考えている方・すでに現場で教員をされている方にとっては、なんだかムズカシイ…と思われてしまっていないでしょうか。

こうしたプログラミングを教えること、「プログラミング教育」について、2020年度から施行される小学校の「新学習指導要領」に明文化されました。つまり、今後小学校で「プログラミング」を教えていくことが義務化されていくことになります。

これまで、研究指定校などでは「プログラミング教育」は数多く実践されてきています。実際、筆者の私も1990年代後半、小学生の頃にプログラミング教育を受けた記憶があります。当時は、大きなデスクトップ型のパソコンに登場している「カメ」を動かすプログラムをしていました。

そもそも、なぜ小学生全員が「プログラミング教育」を受けていかなければならないのでしょうか?

また、小学校教師はこれから公立学校等でどのようにプログラミング教育をしていけばよいのでしょうか?

そして、そのプログラミング教育は、どの教科に位置づけて実践することができるのでしょうか?

これらの疑問に答える形で、詳しく解説していきたいと思います。

「プログラミング教育」必修化に至る社会背景

近年の情報技術の進展により、様々な職業に最新技術が取り入れられるようになってきています。

ここでは、農業を例にして考えてみましょう。


2016年8月29日付の「産経WEST」において、農機大手の会社が、農薬を散布する小型無人機「ドローン」の販売を開始するというニュースがリリースされました。

その他にも、「農業IT」と呼ばれるような動きも出ています。例として、農作物の生育状況・水分量・栄養分について、情報収集を行なって可視化をする…などということがあるようです。

このような膨大な情報収集に関することを、近年では「ビッグデータ」と呼ぶこともあります。

以上のように、農業という仕事は、機械とはあまり縁がない「第一次産業」と思われがちですが、最新技術が導入されてきています。

こうした時代になると、かつて存在していた「改札で切符を切る駅員の仕事」が無くなり、「自動改札機」ができたように、「消えて無くなる職業」も多くなっていくはずです。

あるアメリカの学者は、「2011年度に小学校に入学した子どもたちの65%は、大学を卒業する頃には、当時存在しない職業に就くだろう」と予測しており、話題を呼びました。

つまり、どのような職業においても、「プログラミング」という言葉に代表されるように、コンピュータの利用ということを考えていかなければならない時代になってきているというわけです。

小学校「プログラミング教育」必修化をどう考えるか?

2016年、文部科学省において行われてきた「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」において、「プログラミング教育」のあり方について議論されました。

ここで筆者がポイントとして考えているのは、プログラミング教育を通して身につける力は、「時代を超えて普遍的に求められる力」であるということと、「コーディングを覚えることが目的ではない」ということです。

先ほどにも述べたように、近年は「プログラマー」以外の仕事においても、プログラミングに関するような最新技術が取り入れられている時代です。

だからこそ、プログラミングの学習を通して「時代を超えて普遍的に求められる力」が必要とされているのです。

どの教科で「プログラミング教育」をする?

では、具体的に小学校のどの教科で「プログラミング教育」を実践していけばよいのでしょうか。

先ほどに述べた「新学習指導要領」では、具体的に理科・算数・総合的な学習の時間で取り扱うようにと書かれています。

プログラミングに慣れている方であれば、「その内容でできるかも」と察していただけるかと思いますが、そうでない方にはピンとこないかもしれませんね。

例えば、理科であれば、部屋の明るさによって電気の明かりをつけたり消えたりするようなプログラミングを体験できるでしょう。


実際に、そうしたプログラミング学習に向けた教材キットなども流通しています。

すべての公立学校において、そのような教材が普及して実践していくかどうかはわかりませんが、これから教科書に掲載されたり実践事例が報告されたりするはずです。

算数であれば、多角形の作図でプログラミングを体験できるでしょう。「正多角形」の学習において、コンピュータ上で描画のプログラミングをすることは、子どもたちにもできるはずです。

「プログラミング的思考」って何?

先ほどの「プログラミング教育」の定義を述べた際に出て来た「プログラミング的思考」という言葉も、「プログラミング教育」を進めていく上で大切な考えになります。

新学習指導要領の解説には、「プログラミング的思考」に関して、ただプログラミングを体験するだけではなく、論理的に考えていく力を身につけるようにと書かれています。つまり、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと、プログラミング教育では大切な考え方になるのだと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、小学校段階での「プログラミング教育」の目的は、コーディングを覚えることではありません。

例えば、料理をする手順・掃除をする手順…などにも、「プログラミング的思考」で考えれば、論理的に考えることができるでしょう。

その際、プログラミングは次の3要素で構成されていると言われていることを考えるとよいでしょう。

まとめ

小学校における「プログラミング教育」、いかがでしたでしょうか。

本稿を執筆している時点では、必修化が施行されるまであと約2年ということもあり、まだまだ具体的な実践や考え方が浸透されていない段階です。

しかし、好奇心旺盛な小学生の子どもたちはコンピュータを使った授業が楽しいというはずです。

私たち教師が、まずは「プログラミング教育」で使われるような学習教材・アプリについて、苦手意識を持たず、まずは子どもの目線になって楽しんでみることが大切だと思います。

ぜひ、子どもたちの将来のために、楽しい教育実践を進めていきましょう。

本記事は、2018年4月21日時点調査または公開された情報です。
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