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【特別支援学級に在籍するこども】主に知的、情緒に関して ~体験談~

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特別支援学級に在籍する子供は、その子の発達状況や苦手得意に応じて、通常の学級で学習する時間を設けられています。

私も数年間、小学校教諭の通常学級の担任をした中で、特別支援学級に在籍する子供達と毎年出会いました。

今回は、そんな子供達との関わりや体験談をご紹介したいと思います。

目次

知的障害特別支援学級

知的障害特別支援学級は、日常生活において使用される言葉を活用しての会話や身近な日常生活動作にはほとんど支障がない子供が対象となりますが、学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく、実際の生活の場面の中で生かすことが難しいという特性があります。

そのため、特別支援学校(知的障害)と同様に、実際の生活場面に即しながら、繰り返して学習することにより、必要な知識や技能等を身に付けられるようにする継続的、段階的な指導を行っています。

実際に、私が知的障害特別支援学級に在籍する児童との関わりについてを、2つご紹介したいと思います。

体験談1:特別支援学級の担任と、密に連携を取る

低学年で出会ったある男の子のお話です。

その子供は、計算が苦手なため算数は特別支援学級で学習して、その他の教科は通常学級で学習するという形をとっていました。

特に、漢字においては毎回小テストで100点を取るほど、漢字学習が大好きな子供でした。

どの教科においても、あらかじめ特別支援学級の担任と次回の授業内容について相談をしていました。

これは、支援学級の担任が、どのような場面で(例えば「次の授業で、定規を使うのに支援が入りそうだから、授業見にいくね!」など、その子の学習をスムーズに進められるように支援するため)支援が必要になるかを把握するための大事な時間です。


例えば国語では、新しい単元に入る前に、家庭や支援学級で教科書にふりがなをつけて、みんなで音読できるように工夫されていたり、算数の時間では、新しい単元の第1時だけは通常学級で学習するため(これは、その子供なりのこだわりでした)、より詳しく担任と授業内容を打ち合わせしていました。

また、授業の途中でも、子供本人が「ここまでできたけど、ここから難しそうだから、支援学級で勉強してきます!」など、最初から最後まで通常学級で勉強するのではなく、必要に応じて学級を行き来していました。

このように、通常学級と特別支援学級との風通しを良くしておくことで、子供が安心して学習に取り組める環境づくりをしていました。

体験談2:支援が必要な子に分かりやすいことは、クラス全体が分かりやすいことになる

クラス全員を見つつ、加えて支援が必要な子に特別な手立てをするのは大変だと思うかもしれません。

私はある先生に、「支援を要する子に分かりやすい手立てを準備しなきゃって考えるから、やることが増えて大変なんだよ。支援学級への子供の配慮は、クラス全員への分かりやすい配慮になっているんだよ」と教えていただきました。

例えば、学習プリントにおいて、支援学級の子供用にだけ準備するのではなく、難易度を3種類に分けたものを用意することで、他の子も、自分のレベルに合わせたプリントを選ぶことができます。

これは、「ちょっと難しい問題は自信がないな、基礎からやりたいな」という子供も、

「基礎はバッチリだから、難しい問題もどんどんチャレンジしたい!」という子供にも、どの方面にも配慮がなされることになります。

さらに、支援級の子の中には、「自分だけ特別扱いされて目立つのは嫌だな。みんなと同じプリントがしたいのにな」と思っている子もいるかもしれません。そんな子に対しても、このような手立ては有効です。

また、視覚的支援は、どのような子に対しても有効なので、算数の問題などをよく、何枚かのイラストにして子供達に見せていました。

クラスの子供たちの分と、支援学級の子供の分を準備するのではなく、初めから、「全員」に理解してもらえる手立てを考えることが大切だと学びました。

》参考:文部科学省「知的障害」

自閉症・情緒障害障害特別支援学級

自閉症やそれに類するものや心理的な要因による選択性かん黙等がある児童生徒を対象としています。

特別支援学級では、一斉指示を理解することに困難があったり、周囲の環境に対してストレスを感じてしまったりすることから、情緒的に不安定になってしまった際に、具体的な方法を通して落ち着きを取り戻すことができるよう、子供一人一人の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を検討し、適切な指導を行っています。

実際に、私が自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する児童との関わりについてを、ご紹介したいと思います。


体験談1:本人のクールダウンする時間を信じて見守る

高学年で出会ったある女の子のお話です。

その子は、周りが何とも思わないような言動に、興奮してしまい、自分でも抑えられなくなって教室をよく飛び出してしまう子でした。

まだ、その子との信頼関係が築けていない1学期間は、教室から飛び出すたびに、学校中を探し回りました。(その間、自分のクラスには変わりの先生に入ってもらっていました。)

しかし、彼女は自分を探されることをとても嫌がり、見つけるたびに逃げられてとても苦労した記憶があります。

少しずつ、彼女が何処へ隠れるか分かるようになって、逃げられずに話ができるようになった頃、私はあるお願いを持ちかけました。

「すぐに教室に戻っておいでとは言わないよ。ただこうやって探しにくるのは、行方がわからなくて安否が確認できないあなたが心配だから。探して欲しくないなら、〇〇へ行く。と一言先生に伝えて。先生もそれで安心するから。時間は決めなくていいから、気持ちが落ち着いたと思ったら、帰っておいで。待ってるよ。」

最初の頃は、行方を伝える間も無く飛び出して行きましたが、ある日、

「運動場の登り棒に行ってくる」とだけ言い、教室を出て行きました。

約束通り、その子の言葉を信じて探しには行かず、授業をしながら窓越しに運動場の様子を見ると、確かに登り棒のところでウロウロとしている彼女の姿がありました。

授業終了10分前、何も言わずにスッと教室に入り、席に着いた彼女の表情は穏やかなものでした。

授業が終わり、彼女にだけ聞こえるようにそっと「おかえり。約束守ってくれてありがとう」と伝えると、ニコッとしてくれました。

それを機に、教室から出ていくときは行き先をほぼ伝えてくれるようになり、余裕があるときは、「友達の言葉思い出してムカムカするから、〇〇で休んでくる」と理由まで言ってくれるようになりました。

このように「教室から飛び出す」という点だけ見ると、問題行動に思えますが、前後の背景をよく観察してみると、本人なりにコントロールできない気持ちを何とかクールダウンしようと試みているのです。

何より、ストレスにさらされて、気持ちをコントロールできずに苦しんでいるのは、本人だと気づきました。

その状況に寄り添い、信じて見守り続け、いつでも教室に帰って来られる環境づくりをすることが大切だと学びました。

》参考:文部科学省「知的障害」

まとめ

今回は、特別支援学級に在籍する主に知的、情緒の子供に関しての体験談をご紹介しました。

ここでご紹介した例はほんの一例で、同じ特別支援学級に在籍する子供の数だけ、支援の方法がありました。

本やネットで知識を学ぶことももちろん大事だと思いますが、何よりもまず、目の前の子供がどこで支援を要しているのか、それに対して自分ができることは何なのかを常に問い続けることが大事だと思います。


本記事は、2024年3月26日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研チーム Maruです。主に公務員や行政関係のニュース記事をお届けします。

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