書写の授業って何をするの?
小学校の書写の授業って記憶が薄い方もいるかもしれませんので、簡単に紹介します。
書写の授業では「文字を正しく整えて書くこと」を子どもたちに学ばせることが主たる目的となります。授業の中では、鉛筆やペンを使った硬筆や、筆で文字を書く毛筆の学習がよく取り扱われます。
書写の授業は国語科の一部として設置されていますが、「書写」という授業名で行われることが多いことと思います。書写の授業は年間30単位時間程度配当され、3年生からは書道セットを使う毛筆の授業も行われます。
私の感覚だと、大体1クラスにつき週に1時間くらい書写の授業がある感じです。また、私は小学校5年生の書写を受け持っているので、毛筆の授業と硬筆の授業を両方行っています。
非常勤講師のお仕事って?
非常勤講師は正規雇用の教員とは異なり、割り当てられた自分の授業を担当することが業務の中心となります。そのため、担任を担当することはほとんどありませんし、HRや給食の指導にあたることも基本的にはありません。
私の場合は、週に1度程度通勤しているのですが、担当しているクラスの授業を済ませたら業務は終了となります。子どもたちは大体午後3時半くらいまで学校にいますが、非常勤講師の私は業務が終われば午前中に退勤することもあります。
また、正規雇用の教員や常勤講師とは異なり、授業をしているコマ単位での給料となります。時給ではなく、授業をしている間のみ給料が発生します。授業の準備や休憩時間には給料は発生しないので注意してください。塾講師や家庭教師のバイトのような給料体制となっています。
給料は勤務する学校によって異なりますが、色々な求人を見ると、1コマ1500円~3000円程度の給与設定であると思います。そして、非常勤講師は正規雇用の教員や常勤講師とは異なり、「特別職の地方公務員」の扱いですので、他の仕事との掛け持ちが可能です。
私は大学院生なのですが、他のアルバイトと掛け持ちして業務にあたっています。学校を複数校掛け持ちする人もいます。現在教員採用試験の勉強をしている人や教員になりたい人でしたら、無理のない時間拘束で学校現場に携わることができるので良い経験になると思いますよ。
書写の授業で気をつけていること
私が書写の授業をするにあたり、気をつけていることを紹介させていただきます。学校のルールによって状況は異なると思いますが、何かしらの参考になればうれしいです。
汚れ対策の指導をする
毛筆の授業では、気をつけていても服を汚してしまう児童が出てきます。衣類は墨汁で汚れるとなかなか汚れが落ちない場合も多いですし、保護者からのクレームの原因ともなりそうです。最近では、洗濯で汚れが落ちる墨汁もあるようですが、衣類の種類によって相性がありますので絶対に汚れが落ちるわけではありません。
対策として、4月の最初の授業で「汚れてもいい服を着てきてね」と指導するようにしています。書写の授業では汚れてしまうことがあると、きちんと認識させるようにしましょう。
他には、新聞紙や雑巾を持参させる、または教員側で用意しておくことで、児童が床や机に墨を落としてしまった場合にもすぐに対応することができます。
授業の進め方を確認する
前年度の先生と異なる場合、子どもたちが混乱してしまうことが考えられます。それを防ぐために最初の授業で、授業の進め方を説明する時間を作るようにしています。
「先生の指示があるまで墨汁を硯に入れない」「汚れてもいい服装にする」といった授業内のルールや、作品の保存の仕方、筆の洗い方、固形墨を使うのか墨汁を使うのかなどの説明を行いました。
準備や片付けの時間を考える
毛筆の授業をする場合、書道セットの準備や片付けにどうしても時間がかかってしまいます。小学校だと休み時間が5分ほどだったりする場合があるので、それも考慮して授業をするようにしています。
書写の次の授業に影響がないようにするため、片付けが十分にできるように早めに作業の時間を切り上げる必要がある場合もあります。授業を構成する時にも、余裕があるように授業計画を立てるようにしています。
毛筆の授業であると便利なグッズ
書写の授業のうち、特に毛筆ってどのように指導したらいいのか想像しにくい部分もありますよね。ここでは、実際に自分が指導するうえで便利だったグッズを紹介していきます。
水書板(水黒板)
水書版(水黒板)は、習字の練習の際に使う特殊な板です。水に反応するので、墨汁を使わずに水で文字を書くことができます。また、乾かせば何度も使うことができるので経済的でもあります。大きさは、半紙サイズから黒板に掲示して十分に見える大きなものまで様々なサイズがあります。
私は、授業でお手本を書いて示す時と、授業準備の際に家で練習する時に水書板を使っています。子どもたちに文字を書いて見せるとき、墨汁で文字を使ってもいいのですが、準備に手間取ってしまいますよね。水書版を使うと、汚れることなく、すぐに子どもたちに指導ができるので、用意しておいて損はないと思いますよ。
朱墨液
赤色の墨汁です。私は、子ども一人ひとりの作品にチェックをしていく際に赤い墨汁を使っています。文具店や書道用品店で購入できますよ。
赤で大きく花丸をつけると喜んでくれる子どもたちも多いので、モチベーションを高めることができる場面も指導中にありました。
口で指導するよりも実際に赤で示したほうが目で見てわかりやすいので、子どもたちが後から指導されたことを確認できます。
予備の筆
連絡をしていても、書道セットを持ってくることや筆を洗い忘れる子が毎時間何人かは発生してしまうので、予備の筆を3本くらい授業に持ち込んでいます。
また、高学年の指導になると、3年生で毛筆の授業が始まってから同じ筆をずっと使っていて、筆が劣化してしまってうまく書けない子もいるので、貸し出したりしています。
忘れ物に関しては、先生の指導方針が人によって異なると思いますが、古い筆が何本かあると便利な場面もありますよ。
反応がよかった遊び
どうしても書写の授業が嫌いな子や早めに作品を書き上げて飽きてしまっている子も出てきてしまうので、時々、長期休暇明けの授業などでは遊びの要素も入れた指導を行ったことがあります。子どもたちの反応がよく、比較的、意欲的に取り組んでくれたものを紹介させていただきます。
漢字レース
文字を書くときに大事になる要素として、一画一画の良さ以外にも、全体のバランスがあります。それを理解させるために、だいたい5,6人くらいのグループを作り、1画1画交互にリレーのように書いていき、みんなで一つの漢字を完成させるゲームをやってみたことがあります。
書写の授業が得意な子も苦手な子もいっしょに楽しむことができます。また、普段は個人の作品を作ることが多い書写の授業ですが、みんなで取り組むことができて新鮮なようでした。
毛筆の時間だけではなく、硬筆でもできます。また、黒板とチョークを使って行うこともできるので、気軽に取り入れることができるのではないでしょうか。
今年の目標の書初め
普段の書写の時間ですと、決められた文字の練習をすることになります。
教科書の学習とは外れてしまいますが、ある程度毛筆の授業が進んでいる1月の授業で「今年の目標を半紙に書いてみましょう」と、自由に書くことができる課題を行ってみると、楽しんで取り組んでくれるようでした。
半紙を何枚か貼り合わせたり、書初め用紙を用意したりするなどして、大きい紙に書かせても面白いと思います。普段の半紙での取り組みとは違って新鮮に感じられる子もいると思います。また、半紙よりも大きな紙に書く方が得意な子もいるので、評価の幅が広がるのではないでしょうか。
休み明けの授業ですと、子どもたちのやる気がイマイチな時もあります。そこで、普段とは異なる気分で取り組むことができる課題を出して、授業モードに切り替えさせるアプローチも有効なのではないかと感じます。
まとめ
小学校の実技科目は教えるのにコツがいり、大変だと思います。今回は、書写の非常勤講師の経験をもとに紹介させていただきました。
先生によって指導法は異なりますし、これが正解といった指導法がある訳ではありません。
ですが、指導法や教具を変えることで、子どもたちの書写への親しみやすさが増す場合もあるでしょう。
私の場合は、朱墨液での花丸がうれしくて以前より練習の回数を増やすようになった子や、普段の書写の授業はふざけてしまうけど漢字のレースは楽しんで取り組む子を目にすることができました。指導法を変えることで、子どもたちの違った一面を見ることができて、面白いと思いますよ。
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