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【中学校の先生の仕事内容】生徒の一生に関わる進路指導について

「中学校の教員」には、「進路指導」という大事な仕事があります。単なる進学指導というだけでなく、義務教育を終えて自分の将来を考えるきっかけを与えるための作業です。何がしたいのか、どんなものが向いているのかを一緒に考えながら、学年に合わせた方法で進めていきます。

2017年06月10日更新

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目次
1.進路指導とは
2.進路指導をどう進めていくか
3.中3の進路指導は具体的にどんなもの?
4.まとめ
【中学校の先生の仕事内容】中学校の進路指導について

1.進路指導とは

 1.生徒の一生に関わる大事な作業である

中学までは義務教育ですので、生徒たちにとっては進路というものが遠い存在です。3年生になれば受験生で大変といった漠然としたイメージは持っているものの、具体的にどのように進路を決めていくのかまでは知らない場合が多いです。卒業後の進路とひとことで言っても、すぐに就職する場合もわずかながらありますし、進学する場合でもどんな学校に進むのかで、生徒たちの人生が決まるといっても過言ではありません。できるだけ後悔のない選択ができるように手助けをするのが、教員の役割だと思います。

生徒も千差万別。すんなりと進路を決められる人もいれば、親子で希望が食い違う人、家庭の事情や健康上の理由で進学をあきらめている人。不登校ぎみだった生徒にはどういった対応がいちばんいいのでしょうか。教員としてはさまざまなケースに対応していかなければなりません。

どんな結果に終わるとしても、生徒と保護者が納得できるような進路へのすじみちを作る仕事という感じでしょうか。

2.分掌としての進路指導部

校務分掌の中に進路指導部があります。各学年の代表が集まって3年間の進路計画などを相談し、実施します。「3年間」といいましたが、進路指導は受験生になってからではなく、1年生のころからスタートするのですよ。学年ごとに段階を踏んで自分の持っている素質や、向いている職種について調べるといった取り組みがあり、その大きな流れを作るのが進路指導部の役割です。

2.進路指導をどう進めていくか

1.中学1年生

1年生は入学したてで、進路に関する興味や関心は薄いかもしれません。進路関連としてどんな仕事があるのか総合学習の一環として調べ学習をしたり、高校の○○科(普通科はもちろん工業科や農業科など特殊な科も含めて)とはどんなものなのかを知ったりといった簡単なことから始めます。

私が1年生の担任をしていたころは「13歳のハローワーク」がちょうど出たてのころで、各教室に一冊ずつ程度そろえたように記憶しています。それぞれの教室にはちょっとした本を置く場所があり、国語辞典や担任の蔵書などを置いておくと空いた時間に自由に読めるので、ときどき生徒が読んでいるのを目にしたことがありました。1年生は、選択肢を知る準備期間ととらえるといいでしょう。

2.中学2年生

2年生は中間学年、学校にも慣れ、生活がダレがちと言われていますね。精神的には少し成長し、大人に近づくころです。多くの学校ではキャリア教育(進路指導)の一環として「職場体験」を2年生で実施するようです。職場体験とは学校近くの商店、各種学校、役所、介護施設などに数日間中学生を預け、実際に仕事をしてみることで働くことについての意識を高める目的で行われるものです。

私が2年生の担任をしていたころも職場体験がありましたが、実施初年度だったので受け入れてくれる施設を探すところからスタートしました。しかしなかなか受け入れ場所は見つからず、空いた時間を使って訪問したり電話したりと確保が難しかったようです。主に管理職や学年主任が動いてくれました。受け入れ場所の準備が整ったら、生徒たちに希望の場所を選んでもらいます。一定業種への希望のかたよりを防ぎ、かつ生徒の希望を最大限生かせるように、第3~第5希望くらいまで聞いていたように記憶しています。

体験場所が決定したら、具体的な仕事の内容や勤務時間、その仕事にはどうやったら就けるのかといった下調べと事前指導を行います。仕事とはいえ、中学生にできるくらいの簡単な作業を用意してもらうようにお願いしていますが、生徒の意識を高めるために社会のルールやマナーも含めた指導が必要だと思います。

体験期間が始まったら、教員は各場所を見学して回ります。受け入れ場所は多岐にわたっており、見回りの範囲が広くなってしまうことも多いため、学年全体で分担しきちんと指示に従って動けているかをチェックしに行きます。慣れない場所で緊張しながら活動している生徒の姿を見ると、学校での様子とはまた違い、成長を感じることもできました。

数日間の体験期間を終え学校に来るようになったら、事後指導としてレポートのような報告書を作成します。体験期間中、毎日記録をつけている学校もあるはずですので、そういったものをチェックし、何を学んだのかをしっかりと整理させます。

また場合によっては受け入れ先にお礼に伺うこともあるでしょう。中学生を数日間預かる(しかも長時間)というのは、受け入れる側にとっても負担が大きい部分があります。生徒に何をさせればいいのか、どんなふうに接したらいいのかと、悩みながら受け入れてくださったところがほとんどです。今後の協力もお願いするために、最後まできちんとした対処をすることが不可欠です。

3.中学3年生

いよいよ3年生、最高学年です。進路についてのイメージというのは人それぞれで、はっきりと夢を描いている生徒もいれば、スタートが遅くのんびり構えている生徒もいます。生徒たちにとっては人生で初めての試練、選択かもしれません。精神的にも不安定になりがちな時期でもあります。ぜひしっかり寄り添って、大事な時期を乗り切ってほしいものです。具体的な流れについては次の章でご紹介します。

3.中3の進路指導は具体的にどんなもの?

1.進路についての授業

学級活動や、総合学習の一環として進路関係の授業を行い、自分の進路についての意識を高めます。どんな学校があるのか、どういった試験が行われるのかといったことだけでなく、自分はどんな人間になりたいのか、将来の自分を思い描いて自分と向き合う時間を作ります。

自分自身を知るというのはとても大事な作業で、もし保護者と意見が食い違った時にどう決着をつけるかだとか、さまざまな理由で志望校を考え直さなければならない時にどう折り合いをつけるかだとか、一言でいえば「生きる力」を育てるのです。

私自身もずっと後に気づいたことですが、教員という職業は、生徒の成長において貴重な数年間を共に過ごし、かなりの影響を与えることもあるものなのです。なぜそれに気づかされたかというと、私が担任をしていた生徒たちが成人式を迎え、当時の担任団をパーティーに招いてくれたことがあります。中学生のころは目線が下にあった生徒たち(特に男子)が、見上げるくらい大きくなっているのを見て、うれしくなると同時に初めてこの仕事の重要性を思い知りました。生徒と話していると、「先生の○○(授業の内容や口癖、エピソードなど)をとても覚えている」「先生のおかげで英語が好きになり、今でも英語を勉強している」「あの時先生に声をかけてもらえなかったら、学校が嫌いになっていたと思う」などといった声が、次々と聞こえてきます。

私自身が思っていた以上に、生徒たちの人生に少なからず影響を与えていたことに、やっと気づいたのです。教員を辞めて久しく経ちますが、今でも当時を思い出して「あの時はこうすればよかったかな」と、考える時もあります。少し話がそれましたので、元に戻しますね。

2.進路希望調査

3年生になると数回、進路希望調査を提出してもらうことになります。これをもとに面談を行い、具体的な進路を決めていくわけです。初回はだいたい夏休み前くらいでしょうか。このころは生徒も保護者も進路についてイメージが固まらない頃ですし、学力的な面で自分を過信している場合も過小評価している場合もあります。生徒と保護者で意見が合わないこともよくあります。

3.進路面談

進路希望調査をチェックして、面談に臨みます。公立中学校の場合、やはり近隣の公立高校を希望することが多いようです。面談に合わせて、公私問わずいくつかの高校のデータ(内申点など)を資料として準備しておくこともあります。生徒と保護者、教員の三者がほとんどで、進路の希望を具体的に聞いていきます。教員はあくまで補助する立場ですので、仮に学力的に合格が難しいと思っても生徒本人の希望を尊重します。そうしないと失敗したときに後悔し、「(親や教員に)押し付けられた」という感情を生むからです。

進路については生徒、保護者ともに大変デリケートになっていて、ちょっとした声掛けひとつが後々まで響き、最悪の場合は良好な関係が築けなくなってしまいます。言葉選びには普段以上に気を付けなければいけませんね。こうして希望調査と面談を数回繰り返し、最終的にどの学校(公立 or 私立)にどんな方法(推薦 or 一般)で進学するか、ということを決定します。

就職については特に記述しませんが、そもそも就職希望はごくわずかで親類のやっている商売を手伝うとか、対応の仕方はケースバイケースです。ご存じのとおり中卒での就職はかなり厳しい時代ですので、進学を望んでいる家庭の方が圧倒的に多いです。

4.高校への事前相談(一部地域のみ)

面談を経て志望校が決まります。生徒によって受験の方法も変わりますが、推薦入試をひとつのチャンスとしてとらえる家庭がほとんどです。推薦入試にもいろいろ方法があり、

・単願推薦
(合格したらその高校に必ず入学することを前提とし、中学校を通して申し込む。)
・併願推薦
(いわゆるすべり止めといわれる、第二希望の高校。第一希望に合格すれば入学する必要はない。中学校を通す。単願との併用は不可。)
・一般(個人)推薦
(中学校を通さず、個人で申し込みをする推薦方式。高校が設定する基準を満たしていることが条件。ユニークな方法で試験をする学校も。)

というように、どの方法をとるかも重要な選択になってきます。その中で私立の単願推薦は特に大都市圏では学校数が多いので、事前に受験者についての相談を行うことがあります。教員が該当の高校に出向いて、生徒の調査書等を提出するといった事前のやりとりがあるのです。地方都市ではない場合があります。

5.受験、合格発表とその後

1月の推薦入試を皮切りに、続々と進路が決まっていきます。クラス内で進路が決まっている生徒と決まっていない生徒が出てきます。不安定な時期ですので、丁寧な対応をこころがけましょう。公立入試が終わり、1週間ほどで合格発表があります。合格していれば安心ですが、合格していない場合は次の手が必要です。私立の併願があればそこに進学なのでOK。

問題は何もない生徒です。そういった生徒は二次募集や定時制、通信制への進学も考えさせます。不登校の生徒は別対応で、生徒・保護者の意見を事前に聞いておき、できるだけ明確な進路をつくります。

6.卒業後へのイメージづくり

あらかた進路が決まったところで、高校合格が目標になっていた生徒に、改めて進路とはなにかを説明しなければなりません。高校はあくまでも通過点。その後の人生をしっかり設計できるように、具体的なイメージがわくのがベストですよね。

4.まとめ

公立中学校の進路指導は、多くの生徒にとって初めての試練です。最初に言いましたが、とにかく自分で考えさせ、納得させるのが大切です。ぜひ親身になってサポートしてあげてください。

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