はじめに
従来の面と向かってのいじめなら、学校から家に帰ってしまえば逃れる事ができました。しかしインターネット上で起きるいじめの場合、逃げ道はほとんどなく、最悪の場合には自殺に追い込まれる事もあります。
今回はそう言ったアメリカの学校で起こりやすいネットでのいじめや、ネットいじめにあいやすいタイプの生徒などについてお話ししたいと思います。
ソーシャルネットワーク上でのいじめ
日本では、数あるソーシャルネットワークの中でもLINEの使用頻度がダントツに高いと思いますが、アメリカでLINEを使っている人はほとんどいません。
アメリカで一般的なのはFacebookとTwitterで、一般的な高校生の場合、Facebook内でひとりひとりが、常時100人以上の友達とつながっています。
近頃では、学校側が生徒にFacebookのアカウントを持つように推奨していて、先生も交えたユーザーグループをクラスで作って、宿題やテスト、グループプレゼンテーションの準備などにも使っています。
Facebook上で発生するいじめの加害者は、自分がいじめをしているという自覚は、ほとんどありません。その場の雰囲気でいじめが始まって、知らないうちに自分が加害者の一人である場合がほとんどのようです。
多くの生徒達は、自分の通っている学校内や学区内の生徒達から送られてくる、チェーンメールのようなメッセージに無意識にいいねをしたり、他人を見下すような発言や、プライバシーを犯すような写真をサイトに載せたりする行為が、いじめに相当することを知りません。
しかし中には、ネット上で理不尽な誹謗中傷を含んだ文章を書き込む事が、あたかも自分の権利であるかのように振る舞う生徒もいます。
そう言った行動をとる理由の一つとして考えられるのは、アメリカ合衆国憲法第一条、言論の自由、が挙げられるかと思います。
アメリカでは法律上、全ての人に自分の思想、良心を表明する自由が与えられていて、人前でハキハキと自信を持って、自分の意見を述べる事が望ましいとされています。
そのため小さい時から自分の意見をはっきり言うように育てられていて、他の人と意見が違っているのは当然のことである、と言う考え方もあり、自分の意見であるなら、たとえそれが他の人を見下す差別的な発言であっても、言ってもいいと勘違いしている人がたくさんいるのかもしれません。
いじめの被害にあいやすい生徒
アメリカの学校で虐めにあっているのは、男子生徒より女子生徒の方が多く、いじめられる理由は体型や服装など、外見に関するものがほとんどです。
アメリカの公立学校には制服がありません。そのため生徒は皆、私服で学校に通います。服装や髪型の規制がほとんど無いので、アニメのコスプレのような服装や、露出度の高いセクシーな服装の生徒がクラスにいても、先生は注意しません。
しかし大半の女子高生達は、胸元の少し開いたおへそが見えるくらいの丈のクロップドTシャツに、ピタッとしたミニスカートか、ぴちぴちのレギンスを合わせるのが好きです。
反対に、日本で人気のワイドパンツやふわっとした長めのスカートを、内気でちょっと太めの子が、体型をカバーするよう着ていると、いじめられる確率が上がるようです。
テキサス州の高校に通っていたブランディー・ベラさんは、とても可愛い顔をしているのに、太っていることを理由に複数からの執拗なネットいじめに遭いました。はじめのうち、無視をしてやり過ごそうとしていたのですが、あまりの誹謗中傷に耐えかね、彼女は自殺をしてしまいました。
もし彼女がもう少しだけ自己を主張するタイプだったなら、体型を理由にいじめられることはなかったかもしれません。しかし学校に汚れた服を着てくる生徒達は、体型を理由にいじめられる生徒よりも、より一層高確率でいじめられます。
汚れた服を着てくる生徒たちは(ほとんどの場合)低所得者層出身です。両親共に長時間労働で、家に保護者が不在なうえ、洗濯機や掃除機などの家電がないので、身の回りを清潔に保つ事ができない場合がほとんどです。
学校に行けば、クラスの意地悪な生徒達に、後ろから汚れた襟元の写真などを撮られ、スナップチャットにあげられたりTwitterで拡散されたりします。それが嫌で学校を休みがちになる生徒も多いです。
いくら身の回りを清潔に保っていても、セクシャルマイノリティであることを理由に、大多数のゲイやレズビアンの生徒達は、何らかのいじめに遭遇しています。
2010年にニュージャージー州で起こったタイラー・クレメンティ君の自殺は、アメリカで多くの反響がありました。タイラー君のルームメイトが、彼のボーイフレンドとの性生活をウェブカムで盗撮し、ネットでライブ配信した事が原因でした。
まとめ
世界中で、より陰湿さを増している最近のネットいじめ。悲しいことですが、ここまでインターネットが社会に普及している以上、ネットいじめがなくなることはもう無いと思います。しかしもしかしたら、私達ひとりひとりが人の気持ちを配慮した発言を心がけていく事で、いじめの拡大を防ぎ、最小限に食い止めていけるかも知れません。
コメント