日本とアメリカの学校・教育制度の違い

日本の学校教育制度は、戦後アメリカの制度をもとにして作られたものなので、類似点がたくさんありますが、その一方で大きな違いもたくさんあります。

今回はそんな日本とアメリカの教育制度の違いをご紹介していきたいと思います。


学校制度の違いその1:学年の区切り方

日本の場合、義務教育は全国どこでも小学校6年間と中学校3年間の計9年、そして大部分の生徒は中学卒業後、3年間の高校生活を経て、合計12年間の学校生活を過ごすと思います。

アメリカは日本と違い、義務教育が始まる年齢は5歳から7歳と開きがあり、学年の区切りも日本と同じ6.3.3年制の場合もあれば、6.2.4年制や5.3.4年制、またそれ以外の区切りかたを使う場合もあり、大変複雑です。

そこでアメリカでは、小学校、中学校何年生といった区切り方ではなく、学年のことをグレードと呼び、日本の小学校1年~高校3年にあたるグレード1(小学校1年生)から12(高校3年生)までの12年間と、5歳からの幼稚園(キンダーガートン)期間を“K”と呼び、K12を一般的な義務教育期間としていて、公立学校学費は基本無料です。

例えばアリゾナ州の場合、義務教育期間は6歳から16歳までの10年間ですが、ほとんど100%、5歳児から幼稚園に入園します。そして16歳以降も、グレード12まで無料なので、ほとんどの生徒はそのままグレード12まで進み大体17、18歳で学校を卒業します。

学校制度の違いその2:授業のスタイルの違い

アメリカの高校は大学と同じく単位制で、日本のような何年何組といった自分のクラスはなく、生徒自身が教室を移動し、進級、卒業のために必要なクラスの単位を取得していきます。

生徒は年間に習得しなければならない最低単位数が学校で決められていて、それを満たさなければ進級できません。また上限はあるものの、単位を余計に取ることによって、普通より早く学校を卒業することも可能です。

アメリカでは自分が将来どんな職業に就きたいか子供が小さいうちから自分で考えさせ、その夢が現実になるためのサポートとして、普通科の学校にもたくさんの選択科目が用意されています。

選択できる科目には学校ごとで幅広い特徴があり、コンピュタープログラミングや機械工学系の、高校卒業後すぐに就職に役立つ専門技術的な クラスが多い学校もあれば、デザインやアート、演劇などのクリエイティブなクラスが強い学校などもあります。

学校によっては選択科目の講師を募集する際、応募者が大学で教育課程を専攻しなくても、修士課程を卒業していて、その分野に大変精通していれば、臨時講師として雇う場合もあります。

そしてアメリカのほとんどの企業は、会社の業務に差し支えない限り副業を認めているので、教える側にとっても、会社に席をおきながら高校の専門クラスの講師として働くという、キャリア チャンスがあり、教えられる生徒側からしても、最先端の技術が無料で学べるという、教師側にも生徒側にも両方にメリットがある、なんとも喜ばしい学校システムだと思います。

学校制度の違いその3:進学方法の違い

アメリカで暮らす約85%の家庭の子供は、公立学校に通っています。


その理由は、学費が無料であるという事と、公立学校を進学し続ける限りエスカレーター式に卒業できる事だと思います。

日本では入試に失敗すると、日頃どんなに成績が良くて素行が良い生徒でも、浪人してしまいます。しかし反対に日頃の成績があまり良ない生徒が、一発試験で運良くエリート高校に入学できると言った、ドラマのようなミラクルハプニングが起こることもあります。

アメリカの場合、入試がない代わり、常に成績が良くなければ、望み通りの学校に進むことすらできません。生徒は学校での成績で次の段階の進学先が決められます。例えば、5.3.4年制の学校に通っている場合、小学4年生の時点の成績で、どこの公立中学校に通えるかが決まり、中学2年生の時の成績で、自分の通える高校が決まってしまいます。

そして入学後も学校側が定めた一定の成績を満たせなければ、小学校の低学年でも簡単に留年してしまいます。入学試験以外の方法で常に選抜され続けているアメリカの生徒たちがいる環境は、日本の受験戦争よりも過酷と言えるのではないでしょうか。

まとめ

アメリカは日本よりもずっと学歴社会です。大企業は名門大学の卒業生を採用試験で優遇し、良い大学に通うためには良い高校に通っていなければならず、良い高校に通うためには、小学校や中学校での成績が優秀でなければなりません。

日本のような入学試験による選別こそされませんが、アメリカの公立学校の中にも明確に“ランク”があり、子どもたちは常に選抜されています。常に良い成績を取り、頑張り続けていれば、裕福な家庭出身でなくても望み通りの名門大学に入学できるチャンスも巡ってきますし、思いがけないキャリア チャンスに恵まれ、幼い頃からの夢を叶えることもできます。

たくさんの選択肢を用意しているアメリカの公立学校教育、今日本の多くの学校で是非取り入れていくべきシステムではないでしょうか。

本記事は、2020年4月12日時点調査または公開された情報です。
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