【中学の先生の職場】職員室の人間関係と各ポジション(役職)の説明

地方公務員である公立中学校の先生の仕事「職員室の人間関係」について、元先生に解説いただきます。管理職の立場や仕事内容と管理職・同僚との人間関係や問題・課題についてまとめています。人間関係、うまくいってればいいですが、うまくいかないときにどうすれば、当時の経験を交えて、語ってくれました。


どんな職場でも人間関係は大事になりますが、学校は特にチームワークが大切といわれます。生徒も教員のことをよく見ており、教員同士の関係性を的確に見抜いたりします。

できれば円満な関係を築いておきたいですね。

一般的な公立中学校の役職なども合わせてご紹介します。

中学校教員の役職

校長

ご存じのとおり、学校の最高責任者として校長がトップに立っています。私立学校の場合は会長や理事など校長より上の役職もありますが、その学校における実務的な部分の全責任を負うのが校長の役割です。校長の職に就くためには、数年間の実務経験(教員として○年以上、副校長として○年以上といった細かい規定があるようです)と年一回行われる管理職試験に合格する必要があります。そのためおおむね、40代後半~50代の校長が多いです。また近年話題になりましたが、教員免許を持たず民間の企業から校長に抜擢されるといったケースもまれにあります。いわゆる「民間人校長」と呼ばれる、従来とは違う経歴を持つ校長のもとで働く可能性もあるでしょう。

公立学校の場合は校長であっても各自治体の教育委員会に任命されている立場ですので、たとえ校長であってもすべての権限を持っているわけではありません。しかし校内ではピラミッドの頂点に君臨するprincipal(筆頭者)です。学校を代表する者であり、その責任は大きいと言えます。またその立場を(無意識にも、意識的にも)利用して、教員に圧力を加えることもできます。実際校長のパワハラが問題になっている場合もあります。

また校長は毎年、学校経営方針というものを作成し職員全員と共有します。これはもちろん法律や文科省からの指針等をもとに作られるわけですが、この学校にどういう特色を持たせたいか、何に重点を置きたいかなど校長自身のスタンスがあらわれるものでもあります。したがって校長が変わると学校の雰囲気やカラーが変わり、そこで働く者としての心構えが変わったりもします。私が在職していたころは2人の校長にお世話になりましたが、かたや校長室にこもりきりな方、もう一方は部活動や生活指導にも直接かかわるくらいのアクティブな方で、圧倒的に後者の方の時期は仕事がやりやすかったです。相性のいい校長に巡り合えるかどうかというのも、仕事の効率を上げる大きなポイントかもしれません。

副校長(教頭)

名称は学校によってがあると思いますが、いわゆるナンバー2です。校長を補佐し、校務をつかさどる役割があります。厳密にいうと「副校長」と「教頭」は細かな違いがあるようですが、兼任という形でおいている場合もあるのではないでしょうか。校長に昇任するためには、副校長として数年の実務が必要なので、多くの副校長はその後昇任試験を受けて校長になっていきます。

校務についてのさまざまな困りごとをまず相談しに行くのが副校長です。校長と教員の接点というか、調整役でまさに中間管理職だと思います。副校長にもいろいろなタイプがいて、気難しい方もいれば気さくで明るい方もいます。一般の教職員より短いスパンで異動(あるいは昇任)しているので、仮に折り合いがつかなかったとしても数年間のことでしょう。

主幹教諭

2007年より新しく設置された役職が「主幹」という役職です。それまでは主任をしていても一般教員と差がなかったものを、権限や給与の面で格差をつけたもので、中間管理職にあたります。役割としては校長、教頭を補助する一方で、ほかの教員と同じように教科指導にもあたります。主幹になるには管理職と同じように試験を受ける必要がありますが、仕事量の多さや責任の大きさになり手がなかなかいないというのも現実にあるようです。

主幹になると多くの場合は校務分掌の主任を任されます。学校運営で特に重要な教務や生活指導の主任におかれることが多いです。

主任(主幹以外)

主幹教諭は学校に数名程度配置されているだけなので、一般の教員が主任になる場合もあります。各校務分掌の主任、学年主任など、そのグループをまとめる大事な役割で、直接的に生徒ともかかわる立場にあります。


主任は校長から任じられるものであり、だいたい経験のあるベテラン教員がなることが多いです。特に学年主任は生徒、保護者からも一目置かれるような、存在感のある教員であるケースがほとんどでしょう。

職員室の中はドロドロ?職場の人間関係はどうでしょうか。

上司との関係

はじめに言ったとおり、教員の仕事はチームワークなしには成り立ちません。なにか問題が起きた時に学年全体、学校全体で取り組めるということは心強いものです。基本的に管理職は教員の味方をしてくれ、なにかのトラブルがあった時には守ってくれる場合がほとんどです。仮に一般教員と生徒や保護者との関係がこじれてしまっても、最終的には管理職が介入し解決に導くことになります。

ただ管理職の権限をはき違えて、パワハラまがいのことをすることもあるようです。私自身はそういった経験はありませんが、管理職からの理不尽な言葉に傷つき、精神的に参ってしまうといった話はときどき聞きますね。教員になりたいという希望を持つ人は多く、採用試験は相変わらずの狭き門ですが、実は離職率も高いという現実があります。これは生徒や保護者との関係悪化という理由もあるでしょうが、管理職との関係悪化ということもあるでしょう。公私問わず学校という場所は案外狭い世界で、民間の感覚とは大きくずれていることもあります。ハラスメントに対する意識が低い管理職がいたとしてもおかしくありません。

しかし中には人として尊敬できる管理職もいて、そういった方にあたれば教員として、また自分自身の成長につながることでしょう。私も1人尊敬している校長がいましたが、その方が10年以上前に言った一言がいまだに忘れられず、人間関係を作るうえでの基礎になっています。残念ながら自分で管理職を選ぶことはできませんが、運よく相性のいい管理職と出会えたら、多くのことを吸収してもらいたいものです。

同僚との関係

中学校では特に学年内での関係性が大切になります。日々の学校生活を生徒と共にし、トラブルに向かい合い、悩みがあればまず相談するのが同学年の先生でしょう。できればうまく関係性を作りたいですが、教員も人間ですからどうしても苦手なタイプの人がいる場合もあります。意見が合わないこともあるでしょう。

教員はもともと真面目で温和な人がなる職業なので、比較的良好な関係を築きやすいと思います。しかし中には自己主張が激しかったり、仕事をさぼりがちだったり、高圧的な態度をとる人がいるかもしれません。相手の性格や仕事のしかたを治すことは難しいので、自分から距離をおいたり、別の教員に相談したりして対処するのが自分を守る方法でしょう。

私の経験をもとに

私は公立中学校で5年ほど教員として働いていました。在職期間が短いので、出会った管理職、教員の数は少ない方だと思います。幸いなことに人に恵まれ、なんとか仕事をやれたという印象が残っています。

20代前半で教員になりましたので、今振り返ると「教員とはこうあるべき」という概念にとらわれていたと思います。また入職当時は社会人としての自覚も薄く、生意気な新人に映っていたかもしれません。特に初年度は、どのように生徒と関わっていいかわからず一歩を踏み出せなかった私に学年主任が「自分から入っていかないとダメだ」と教えてくれたり、教科指導や研修で悩んだときは指導教諭がアドバイスをくれたり、徐々に仕事に慣れていったように記憶しています。学年の中ではウマの合わない教員同士がいてなんだかんだとやりあっていましたが、特に深刻な事態になることはありませんでした。

次に所属した学年はみな子育て世代で温和な人が多く、仲の良い学年でした。3年生から所属することになりましたので私自身も心配な点が多くありましたが、まわりのアドバイスを受けながら対処することができました。この学年では担任を3年間持たせてもらい、たくさんの経験をしましたが、困ったときにすぐ相談できる状況があったので非常に心強かったです。

管理職は校長、副校長ともに2人ずつ経験しました。校長室や職員室にこもりきりのタイプ、生徒と積極的にかかわるタイプと両極端な人たちでした。特に生徒と関わるタイプの管理職がそろった時があり、その方たちはどの教職員にも、また生徒にも同じように接するのでとてもフレンドリーな雰囲気で、中には仕事の後に管理職と食事に行くといった教員もいるほどでした。ひとりひとりに目をかけてくれ、気を配ってくれていました。

現在もし、職場の人間関係で悩んでいる人がこれを読んでいたら、なんの解決にもアドバイスにもならない文章で申し訳なく思います。どんな場面でも人との関係は難しいものですが、相手を変えようとするとイライラしてストレスになりますから、できるなら適度な距離を保ちながら柔軟な態度で接したいですよね。どうしても我慢できない時や人格を否定されるようなひどいことをされた場合には、臆せず対抗してくださいね。きっとあなたのまわりにも同じように思っている人がいるはずですから、協力して立ち向かえばいいのだと思います。

まとめ

管理職からのハラスメントに悩む人は少なくないようです。

実際それが原因で離職するといった事例を見ると、なんとも悲しい気持ちになります。教員の世界も案外狭く、公立の場合だとその自治体の中でぐるぐると異動しているわけですから、苦手だった人に再び会うことだってあるのです。

なにかトラブルがあったら一人では抱え込まずに、同僚に相談したり、場合によっては外的機関に相談したりという方法をとって、自分を守ってくださいね。またそういったハラスメント管理職というのはごくごく一部で、多くの方が立派な人格者であることを最後に申し添えたいと思います。

本記事は、2017年7月6日時点調査または公開された情報です。
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