教員免許の更新制が廃止へ 教員の「人手不足」は解消される?(2021年8月)

2009年度の制度開始以来不評と言われ続けていた「教員免許更新制」がついに廃止されることが決まりました。学校現場や、教員免許を管理する地方自治体から問題が指摘され、ついに国が動きました。

教員免許更新制の内容や、廃止の経緯についてご紹介します。


「教員免許更新制」が早ければ2023年に廃止されます

「教員免許更新制」が廃止されることが決定しました。

現在認められている「教員免許」には10年の期限があり、更新前に講習を受けないと失効する仕組みになっています。この制度が「教員免許更新制」です。

2021年8月23日の文部科学省の会見で、萩生田光一文部科学相が、早ければ2023年度から、「教員免許更新制」を廃止する方針を表明しました。

もともと、「教員免許更新制」は、教員の資質確保を目的として、2009年の第1次安倍政権時代に始まりました。

しかし、実際には多忙な教員が講習を受けることが難しかったり、教員免許を持っているけれど別の職業につく人の教員への転職や復帰を妨げるなど、教員不足や教員の負担増の一因と指摘されていました。

そのような不評を受けて、文科省は来年の通常国会で「教員免許更新制」の廃止に必要な法改正をし、2023年度にも新たな研修制度を始める方針です。

ただし、2023年度の制度廃止までに10年の期限を迎える免許は更新の必要があり、これまで通り30時間以上の講習を受けなければなりませんのでご注意ください。

そもそも「教員免許」とはどんな免許?10年ごとに更新が必要

「学校教員の免許」は、教職課程のある大学で指定された科目の単位を取得することで申請することができ、都道府県が授与するものです。
教員免許には、1種(大卒)、2種(短大卒)、専修(大学院卒)の3種類の免許があります。

この免許の更新について、現在では10年ごとの更新が必要であり、更新のためには30時間以上の講習を受けなければならないと決まっています。

全国には2019年度の時点で約109万人の幼少中高、特別支援学校の教員免許を持つ方がいるようです。

》学校の先生になりたい方が押さえておくべき「教員免許」の基礎知識まとめ


学校の先生になるための「教員免許」には「普通免許状」「特別免許状」「臨時免許状」の3種類あり、その「普通免許状」には「専修免許状」「一種免許状」「二種免許状」の3種類があります。本ページでは、それぞれの免許はどのようにして取得でき、どのように勤務することができるのかをまとめます。

教員免許更新制の問題点とは?

萩生田文科相は、教員免許更新制について「一定の成果はあったが、多忙を極める先生にとって、講習の中身が十分伴っていなかったことが問題だった」と話しています。

そこで、文科省は更新制の代わりに、都道府県教育委員会が行う「教員研修」や「オンライン研修」を充実させることや、「研修履歴の記録管理の義務化」などを、新たな制度の導入を検討しているようです。

現在の「教員免許更新制」は、2009年より前には無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の有効期限を設定し、期限が切れる前の2年間で最新の知識や技能などを学ぶ講習を30時間以上受け、修了認定されなければ失効する仕組みでした。

しかし、制度導入前から、教員の身分が10年しか保証されず不安定になることや、講習に時間を割かれるために、ますます学校現場の人材不足や多忙化を招くと懸念されていました。

例えば、学校側が育休や産休をとる教員の代わりを探しても、免許が未更新のため、すぐに任用できないなど、臨時教員のなり手不足の一因となってしまっています。

また、現職の教員が更新を忘れる「うっかり失効」という事例も相次いだようです。

このような困った事態を改良すべく、教員免許を管理する都道府県の教育委員会や学校長などからも更新制度廃止を求める声が高ま理、今回の廃止決定に繋がりました。

千葉県知事もTwitterで反応

今回の教員免許更新制廃止について、地方自治体からも早速反響が上がっています。

千葉県の熊谷知事はTwitterで下記のように反応し、制度廃止を歓迎しました。

まとめ

このページでは、2009年の制度開始以来、不評だった「教員免許更新制度」について、ついに文科省が廃止を発表したことをご紹介しました。

制度廃止は早ければ2023年度の予定です。

教員免許更新制度は、教員の質を上げる目的で始まったものの、実際には教員の人手不足、現場の負担増、臨時教員のなり手不足などを引き起こす一因となっていました。

実際に教員免許を管理する都道府県などから更新制廃止の声が高まり、今回ついに国が見直し、廃止に踏み切ったという流れです。


教員の質向上についても、目指して欲しいところではありますので、免許更新制度に代わる新たな制度の構築が期待されます。

本記事は、2021年9月17日時点調査または公開された情報です。
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