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「養護教諭」であって「教諭」ではない保健室の先生とは?

養護教諭を目指す方がまず押さえたい3つのキーワード

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元・養護教諭による、養護教諭を目指す受験生向けの、押さえておきたい3つのキーワードについて解説します。

目次

押さえておきたいポイント1)養護教諭は教諭ではないから授業はできない

「養護教諭」は、教育に従事する「教職員」ですが「養護教諭」であって「教諭」ではありません。

「教諭」ではないので、担任を持ったり、授業をしたりすることはできません。

ただ、一人では授業ができませんが、ゲストティーチャーという形で授業への参加を求められることがあります。特に性教育で専門性を必要とされることが多いのではないでしょうか。

これは、担任の先生や教科の先生と一緒に授業をする「TT」と呼ばれる「チームティーチング」という体制です。

TTでは、養護教諭が準備をし授業の主軸を担っていたとしても、一人で授業はできませんし、成績をつけることもありません。

押さえておきたいポイント2)そもそも保健教育とは何か?

学校で行われる「保健教育」は「保健指導」と「保健学習」に大別されています。

面接や小論文では「保健指導」と「保健学習」の違いを理解した上で回答しているか、見られていますので注意しましょう。

保健教育の中の「保健指導」とは?

「保健指導」は学校の実態などに応じてその都度実施されるもの。個別に指導されるようなものも含めて、学校保健安全法で規定されている「特別活動」に分類される教育活動です。

保健教育の中の「保健学習」とは?

いわゆる「授業」のことです。「教科」の一つに分類されていて学習指導要領のねらいに沿って行うべき保健教育になります。

保健指導はできるけど、教諭じゃないから保健学習はできない

養護教諭は、保健教育の中の「保健指導」はできますが、保健教育の中の「保健学習」は一人ではできません。


試験対策では「保健教育にどのように関わっていきますか?」というような質問の回答を考えておくと安心です。これらの用語を整理した上で準備しておきましょう。
一方で、例外的措置として「兼職発令(けんしょくはつれい)」があります。これは次のポイント③で説明します。

押さえておきたいポイント3)兼職発令(けんしょくはつれい)とは何か?

養護教諭は保健の「授業」を受け持つことはできないのですが、例外的な措置がとられることがあります。それが以下の法律です。

教育職員免許法 附則第14項

養護教諭の免許状を有する者(三年以上養護をつかさどる主幹教諭又は養護教諭として勤務したことがある者に限る。)で養護をつかさどる主幹教諭又は養護教諭として勤務しているものは、当分の間、第三条の規定にかかわらず、その勤務する学校(幼稚園及び幼保連携型認定こども園を除く。)において、保健の教科の領域に係る事項(小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部にあつては、体育の教科の領域の一部に係る事項で文部科学省令で定めるもの)の教授を担任する教諭又は講師となることができる。

出典
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/tb_h30fu_12mhlw_33a.pdf

上記の例外的な措置が「兼職発令」です。簡単に要約すると「3年以上働いている養護教諭は、保健の授業をひとりで受け持つことができる」ということになります。

ただ、「この法律があるから」「養護教諭自身にスキルがあるから」「やる気があるから」といってすぐに実現するのは難しいのが現状ではないかと思います。

次の項では、課題になりそうなことを元養護教諭という立場から簡単に説明します。

保健室の本来の機能が回らなくなる

「養護教諭は常に保健室にいて欲しい」と考える管理職、教職員は多いです。「保健室の本来の機能が疎かになるのでは?」と心配する意見がでるのは自然なことだと思います。

養護教諭が複数配置(養護教諭が常に2人いるということ)されている学校であればハードルは多少低くなりますが、授業をしている間、保健室に養護教諭がいない状況ができてしまうというのは、やはり問題も起きがちです。

怪我や病気などいつ何が起きるかわからないため、校内体制を整えるための組織での対応は必須だと思います。補教を入れてもらうなど、一人で抱え込まないことが大切です。

授業をやって終わりではない

養護教諭が教諭として「保健」という教科を担当して授業を行うわけですから、授業を実施するだけでは終わりません。

勤務校によると思いますが、学習指導要領に沿った指導計画、授業の準備、評価まで、責任を持って行うことが求められます。

多忙な中で2つの立場(養護教諭と教諭)に立つというのは、予想以上に大変なことでしょう。

試験対策では、「兼職発令を受けたいですか?」「どんな課題がありそうですか?」というような質問の回答を考えておくと安心です。

最後に

採用試験では、多角的な視点での回答が求められます。

「養護教諭=保健室内で働く先生」という立場ではなく、学校全体の教育活動に関わっていく仕事だということを意識するといいかもしれません。

その際、キーになるのが「日常の保健指導」と「兼職発令」による保健学習です。


特に「兼職発令」の機会をどのように活かせるかは、校内の環境や養護教諭自身のキャリアによって、差が大きいと思います。

養護教諭は専門的な知識を持っていますし、日々勉強を続けている方も多くいます。

そのようなスキルを教育の場で還元できるような機会が用意されているということは、やはり一つの希望と言えるのではないでしょうか。

教員採用試験の面接や小論文では、このような理想と現実を落とし込んだうえで、自分なりの想いを表現することをおすすめします。

現実的な難しさもありますが「養護教諭の持つ専門的な知識や技能を積極的に使っていきたい!」という前向きな姿勢はきっと評価されるのではないでしょうか。

本記事は、2022年12月28日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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