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火消しだけじゃない!「消防士」の仕事内容や向いている人物像

マチを守る地方公務員「消防士」、幼児や児童の「将来の夢」としても挙げられる、子供たちのヒーロー!消防士と言えば、火災を消すイメージが強い職業ですが、実際の仕事はそれだけではありません。消防士の仕事内容について解説します。

2017年09月08日更新

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目次
実は階級制、消防士の正式名称は「消防吏員」
消防士の一日 ※24時間勤務の交代制です
消防士の所属する隊と、仕事内容を見てみよう
出場がない時は?消防士のお仕事
消防士になるには?
まとめ ー どんな人が向いている?消防士に求められる事とは?
火消しだけじゃない!「「消防士」の仕事内容や向いている人物像

実は階級制、消防士の正式名称は「消防吏員」

消防士は、地方自治体に所属する地方公務員です。

そもそも、消防士の正式名称は、「消防吏員」(しょうぼうりいん)といい、この消防吏員は、地方自治体で行っている地方公務員試験に合格後に配属先が決まり、自治体内の各消防署で勤務を行います。そして、消防吏員は階級制となっていて、一番下の階級を「消防士」と呼んでいます。つまり、消防士は職業名ではなく階級の名前です。階級は全部で10あり、最高級が東京消防庁の消防長である「消防総監」、次が東京消防庁の次官や政令指定都市の消防長である「消防司監」以下「消防正監」「消防監」…と続きます。

なお、正式名称は「消防吏員」ですが、この記事内では利便上「消防士」と表記します。また、消防士が現場に駆け付ける事を「出場」と呼び、記事内でも「出場」と表記しています。

消防士の一日 ※24時間勤務の交代制です

8:30 署員が交代する為に朝礼を行う
9:00 装備の点検や車両の清掃
10:00 署内で勉強や訓練、ミーティング、イベントがあれば署外へ行く事もある、昼食準備を行う署員もいる
11:00 昼食 昼食時間は消防署によって異なるが、火災の起きやすい12時は避ける所が多い
13:00 各部隊に分かれて訓練や、装備の点検、所轄内の防火水槽の点検などを行う
16:30 夕食
18:00 入浴やトレーニングを行う
21:00 交代で就寝
勿論、勤務中は都度、出場要請に応じる

消防士の所属する隊と、仕事内容を見てみよう

消防士は「消火隊」「救急隊」「救助隊」がある

消防士の全体的な任務は、「火災の鎮火」と「人命救助」です。そして、「消火隊」「救急隊」「救助隊」の3部隊に分かれていて、各部隊は専門の任務を請け負うプロフェッショナルで構成されています。

消火隊とは

消防士の中で、主に火災現場における消火活動や人命救助を行う隊員を消火隊と言います。

一般的な消防士のイメージは、この消火隊を指す事が多いです。ポンプ隊とも呼ばれます。

火災現場における活動の他にも、今は救助現場に帯同する事も多くなっています。救助隊員のサポートや、事故現場でエンジンオイルなどが漏れてしまっていて、火災の危険性がある時にはその危険排除を行うなどします。また、病人やけが人の多い現場で人手が足りない時には、救急車の運転や、消防車に乗って救急車と一緒に出場もします。(PA連携と呼ばれています)その際には、消防士の中でも救急隊や救急救命士の資格を持つものが先に消防車で現場に駆け付け、現場の状況整理や先の処置などを行う事もあります。

制服は自治体によって異なりますが、紺色や青色の作業服に、自治体名の入っている物が多いです。肩にオレンジのラインが入っている場合もあります。火災現場では防火服を着用します。

救急隊とは

消防士の中でも、救急課程研修を終了し、救急隊員の資格を持つもので構成されているのが救急隊です。救急車の出場要請があれば、救急車に乗って現場へ駆けつけ、患者への処置や医療機関への搬送を行います。

また、救急隊員の中でも国家資格である救急救命士の資格を持つものも多く、救命救急士資格を持つ隊員には、医師の指導の下の気道確保などの特定の医療行為や投薬治療が認められています。日本の各消防署では、救急車一台につき一人救急救命士資格を持つ救急隊員を同乗させる事を目標としています。

制服は、グレーで統一されている全国共通デザインで、襟が取り外し可能となっています。

救助隊とは

消防士の中でも、人命救助に特化した任務を行うのが救助隊です。レスキュー隊とも呼ばれ、事故や災害現場に特殊車両に搭乗して駆け付け、救助活動を行います。

火災や労働災害、事故など人為的な事故現場から、地震や洪水、台風などの自然災害の現場まで救助活動に向かいます。また、大規模な自然災害には、災害現場内の自治体だけでなく、規模に応じて近隣・全国から災害現場に派遣される事も多いです。近年では東日本大震災や鬼怒川氾濫の時に、全国から多くの救助隊員が派遣され、救助活動を行いました。

制服は、オレンジ色の作業服です。暗所でも活動がしやすいように、目立つ色の制服となっています。また、救助活動に耐えられる様に、色々な部分が補強されています。

救助隊は所属している自治体によって規模や名称が異なる特徴があります。

人口が10万人未満の地域の救助隊は、そのまま「救助隊」と呼び、救助活動に必要最低限の装備、救助工作車又は他の消防車1台を所有しています。

人口が10万人以上の地域の救助隊は「特別救助隊と呼び、救助隊+αの装備と、救助工作車1台、専任の救助隊員5名以上が配属しています。

中核市もしくはそれと同等とされる都市の救助隊は、「高度救助隊」と呼び、高度救助資機材を積んだ救助工作車1台を所有し、更に高度な救助訓練を受けた隊員5名以上が配属しています。

東京都、もしくは政令指定都市の救助隊は「特別高度救助隊」と呼ばれ、高度救助資機材に加えて、更に特殊な救助車両を所有しています。救助工作車1台と特殊災害対応車1台以上を所有しています。

救助隊の中でも憧れの存在、「特別高度救助隊」

東京都や政令指定都市には、通常の高度救助隊の他にも特別高度救助隊を置いている事が分かりました。

特別高度救助隊は、自治体によって通称が付いている事が多いです。東京都の場合は「ハイパーレスキュー」、横浜市の場合には「スーパーレンジャー(SR)」、仙台市の場合には「スーパーレスキュー仙台」などです。

その自治体の中でも高度な救助技術を持つ隊員で編成されているため、救助隊の中でも特別高度救助隊入りを目指す隊員も多く、憧れの存在となっています。また、横浜市のSRは通常は黒色の制服の肩紐と靴紐が白色に、仙台市のスーパーレスキュー仙台は通常白色のヘルメットが紺色に、など自治体内の他の救助隊との差別化を図るために、制服の仕様が異なっている事も多いです。

特別高度救助隊は、特殊車両と呼ばれる救助車両を所有しています。特殊な水と金属を配合した水で金属を切る「ウォーターカッター」を装備した「ウォーターカッター車」や、大きな扇風機を搭載し、大きな風力で火災の煙を吹き飛ばすなどの使い方ができる「大型ブロアー車」などです。

出場がない時は?消防士のお仕事

装備の点検や車両の清掃を行う

消防士が出場のない時には、各車両の清掃や装備の点検を行います。現場に駆け付けた時に、車両や装備に不備があった時や、資機材に不足があった時には活動の妨げとなります。その為、いつでも万全の状態で出場できるように、点検もしっかりと行っておきます。

全員で使用する装備や車両はもちろん、各自の活動服やヘルメット、感染防着などにも不備がないか調べておきます。また、消防士は出場があれば約1分で活動服に着替えて出場しなければいけないので、服や靴を履きやすい所にあらかじめ配置しておく隊員もいます。

また、消防車や救急車はいつでも清潔な状態にしておきます。洗車も消防士自らが行います。活動に使う各車両も、税金で購入した大切な物なので、いつでもきれいに、長く使えるように点検を行っています。

訓練を行う

各部隊に分かれて、訓練を行います。

救急隊員は、救急車の中で人命救助のための処置など、実際に出場した事を想定した上で訓練を行います。

救助隊員は、署内にある訓練施設を使用して、救助訓練を行います。はしご登りやロープ渡り、4人一組で行う障害突破などの各種訓練を行います。署内に訓練施設がない消防署に配属している場合には、訓練施設のある自治体内の消防署まで出向き、訓練を行います。

また、救助隊員は毎年一度、全国で救助技術を競う「全国消防救助技術大会」の開催が近くなると、普段の訓練に加えて大会に向けての訓練も加わります。

消火隊は、救急隊員や救助隊員の訓練のサポートを行う事も多くなっています。

応急処置や救命救急講習を行う

各消防署では、その自治体に住んでいる人で希望する人を対象に、応急処置や救命救急の講習を行っています。その講習で指導を行うのも消防士です。心肺蘇生法やAEDの使い方、包帯の巻き方など色々な指導を行っています。

防火設備の点検

自治体内には、防火水槽やスプリンクラー、消火栓など防火や鎮火の為の設備が各所にあります。それらがいつでも適切に使用できるように、自治体の各地を回って点検を行います。

防火・防災のための各種イベントの開催や参加

消防署には、社会科見学に訪れる小学生もいます。また、各消防署が主催して行う親子体験教室などのイベントもあります。

イベントでは、消化器を使った消火体験や、実際の火災現場を想定した環境を体験できる施設、車両の展示や搭乗、消防署の設備見学などができます。

社会科見学や、気軽に参加できるイベントを通じて、火災を防止する活動を行うのも消防士の仕事です。また、幼稚園や保育園の防災訓練への参加や、幼年消防団の結成など、地域住民との交流も大切にしています。

他にも、自治体での防災フェアや車両展示会への参加や企画、毎年新年に行われる出初式の参加も行っています。

消防士になるには?

採用試験を受験し、合格する

消防士になるには、地方自治体で行っている消防士採用試験に合格する必要があります。試験内容・区分や初任給や福利厚生などは地方自治体ごとに異なりますが、主だった基本的な考え方で解説します。

まず試験区分は、高校卒業程度の初級・I型、短大卒業程度の中級・Ⅱ型、大学卒業程度の上級・Ⅲ型、各部門の専門的な知識が試される専門の4タイプの採用試験があります。

受験する区分に応じて昇給のスピードや年収に差がでます。また、初級・Ⅰ型は6倍、中級・Ⅱ型は10倍、上級・Ⅲ型は11倍から16倍と、いずれも高い倍率を誇る人気の職業となっています。

採用試験は、第一次試験(筆記試験)、第二次試験(体力測定や適性検査)に分かれています。

採用試験の受験資格について

受験資格は、上級・初級と試験区分によってかわりますが、初級区分においては、高校卒業もしくは同程度の学力を有している事が認定されている事です。これに加えて、年齢や身長制限などの条件が、自治体によって異なりますので、自分が受験したい自治体の試験要項を確認しておきましょう。

学歴は、高卒以上で受験が可能ですが、例えば救急隊に配属希望の場合には救命救急士の資格を取得しておくと有利になります。その為、医療系の専門学校を卒業後に消防士を目指す人も多くなっています。

合格後に消防学校へ入学、その後配属先が決まる

採用試験に合格すると、その自治体の消防学校に入学し、消防士として必要な知識や技術の勉強を行います。

消防学校は全寮制で、また学校という名称ですが、給与も支払われます。学校生活はおよそ半年で、卒業後に配属先が決まります。

まとめ ー どんな人が向いている?消防士に求められる事とは?

体も心も強い人

消防士の仕事は、とにかくハードです。事故や災害現場では重たい装備をつけたまま救助活動を行う事もあります。そして、勤務体制は24時間勤務の交代制の為、精神的な負担も大きくなっています。

現場で最適な訓練を行う為には、厳しい訓練にも耐えなければいけないので、体力がなければこなせない仕事です。また、風邪などをひいている時には救急車への搭乗ができなくなりますので、病気に強い体つくりや、自己管理も必要となります。

また、事故や災害現場では人が負傷している姿など、ショッキングな物も目にします。それでも、任務を遂行できる強い精神力も必要になります。

冷静な判断力

事故や災害現場で、多数の要救助者がいる場合など、どの救助や活動を再優先に行うのかを冷静に判断する必要があります。

また、人を助ける事に重きを置き過ぎて、仲間や自分の命を粗末にするような事があってはいけません。事故や災害現場で優先するのは「自分が生きて帰る事」です。いつでも、冷静な判断ができる事が求められています。

いつでも心に正義を持つ

任務を遂行する為には、強い正義感を持たなければいけません。

また、消防士は公務員として、市民のお手本でもいなければいけない存在です。地域の子供たちと触れ合う機会もたくさんあります。子供にとってのヒーローであるために、常に品行方正な行動ができる人が望まれます。

(文:千谷 麻理子)

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