質問「貧富の差は学力に関係するのでしょうか?」
日本における教育格差は、経済的な背景<貧富の差>に大きく依存していると考えられています。
経済的に恵まれない家庭の子どもたちは、教育機会において限られた選択肢を持つことが多く、これが学業成績や進学率、さらには就職率に影響を及ぼす傾向にあるといった内容が話題にあがっています。
日本では、教育が個人の能力と努力によって成果が得られるという考えが一般的ですが、経済格差はこの理想とは異なる現実を示しています。
最終学歴が就職や収入に影響を与えることは、教育格差が経済的な格差へと繋がる一因であり、内閣府の調査により、子どもの貧困が教育格差を生む実態が明らかになっています。教育格差の解消には、経済的な背景に依存しない教育機会の提供が重要として国でも動き出しています。
回答「悲しいけれど、80%くらいは関係すると思います。けれど100%ではない。」
私の考えですが、貧富の差は学力に80%くらい影響すると思います。
昔は「頑張れば報われた」と思っていました。
昭和の時代は、必死に勉強に励めば偏差値の高い大学に合格して、給料の高い職業に就いて裕福な生活を送れる、出世できる、人生逆転できる、ということが多々あったと思われます。貧富の差と学力は関係ない、私もそう思って教職に就きました。
けれど、学校に勤めるようになってすぐに、貧富の差は学力の差につながる、と気付くことになります。
この世に生まれたときは平等
生まれてすぐにいきなり学力の差がついていることはありません。
けれど、赤ちゃんのころに言葉を身に着けるまでにどれだけ声をかけてあげるか、どんな言葉かけをしてあげるか、ある程度大きくなってきたら、どこに連れて行ってあげるのか、なにを見せてあげるのか、何を体験させてあげるのか、ということが家庭によって大きく違います。
それらが子どもたちの感性を育みます。育てられたように子どもは成長します。
家庭の経済的な問題と習い事
お金持ちの子は、毎日のように忙しく習い事に通っています。けれど、習い事に全く行かない子が昔より増えました。経済的にぎりぎりの家庭が増えたからです。習い事に通わせられないけど、経済的に大変な家庭の小学生も、スマホをみんな持っているんです。クラスの9割は持っています。スマホを持っている弊害は、またほかの機会にお話したいと思います。
以前に勤めた小学校が市立の団地にありました。収入制限があり、収入の少ない家庭だけが安く借りることができる市営団地でした。収入が増えたらよそに引っ越していきます。だから、常に経済的にしんどい家庭の子ばかりが通う小学校でした。月給で働いている家庭は少なく、ほとんどが日給で働いていました。
生活保護を受けたり、就学援助費といって給食費や学用品代を援助してもらっていたりする家庭がほとんどでした。子どもたちは人懐っこくてとても可愛かったです。小学校を卒業しても塾に通うお金がないので、「公立高校を受験するために勉強を教えてほしい」と小学校に私を訪ねてきて、週に2回ほど1年間教えたこともありました。もっと上の学校を狙えるのに、家から自転車で通える高校を選んで、無事に合格して報告にきてくれたことを思い出します。
貧しさは親から子へ連鎖する
経済的にしんどい親は、仕事に疲れて子どもはほったらかしになりがちです。生きていくのに一生懸命だから仕方がないのです。宿題なんてなかなか見てあげられません。宿題についてはいろいろな考え方がありますが、私は必要だと思っています。
学校ではやり方を教えます。けれど、練習をしないと身に付きません。その練習をするのが宿題です。宿題をするかしないかで、すでに学力の差は開いていきます。いつまでも親が宿題を見てあげる必要はまったくありませんが、1年生の最初だけ、宿題をする習慣が身につくまで親が一緒に関わってあげないと家で学習しないようになります。
お金があれば塾に行けます。けれど。経済的にしんどい家庭は、学校外で勉強をする機会が宿題しかないのです。
経済的にしんどい家庭の子も、小学校ではとても学習能力の高い子がたくさんいます。このまま成長したら東大や京大なども狙えるくらい頭の切れる子もいます。けれど中学校に進むとどんどん落ちこぼれていく姿に悲しくなりました。塾に行けないから、自力で学習をする力までつけてあげれなかった…、と私の力不足だと思いました。
回答のまとめ
貧富の差は学力の差につながるという考えを述べさせていただきましたが、本当なら家が経済的に苦しくてもどの子にも平等に可能性があると思いたいです。子どもたちは社会の犠牲になっていると感じます。
経済的なことを心配することなく、子どもたちの学力を底上げするための体制、支援策を社会が作らないといけないと思います。
未来の日本を背負っていくのは子どもたちですから、教育にこそ国の予算を使っていただきたいです。
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