今回は、教員採用試験でとてもよく聞かれる、『教師になりたい理由は?』という問いに関して、私の体験談をお話しします。
「教師になりたい理由」を考えた時の体験談2つについて
教師になるためには、それぞれの自治体が実施している「教員採用試験」に合格する必要があります。
私は、二つの自治体の試験を受けたことがありますが、いずれの面接も「教師になりたいと思った理由を教えてください」という質問がありました。
そこで、今回は、「教師になりたい理由」を考えた時に起こった体験談について、2つお話したいと思います。
体験談その1:周りの意見に影響されすぎて大失敗
私は教育学部に通っていたので、周りの友達はほとんどの人が教師を目指していました。
教員採用試験を目の前に、周りがどんどんと志望理由をまとめている中で、私は一向に考えがまとまっていなかったので、友達に「どんなふうな志望理由にしたの?」と聞いて回りました。
すると、「得意な教科を生かして子供達に楽しさを教えたいから」「得意なスポーツで子供達に運動の楽しさを教えたいから」「学生時代に打ち込んだボランティアやバイトで、教えることの喜びを知ったからなど」といった内容を教えてもらいました。
そこで気がついたのは、皆、「自分の強み」を生かして志望理由を考えているということでした。
早速私も、聞いた内容を参考にし、志望理由を原稿にまとめて模擬面接に挑みました。
すると当日、驚くことに自分の口から一言も言葉が出ずに固まってしまいました。
覚えてきたことをただ言えばいいだけなのにと何回思っても駄目で、ただ体が震えていていたのを覚えています。
面接練習が終わり、心配してくださった担当の先生に準備した原稿を見せるように言われました。すると、担当の先生が私に対して、
「確かに面接では、自分をよく見せるためにアピールする場だよ。でも、自分が本当に思ってない事とか自信がないことは相手の心にも響かないし、自分でも違和感を感じたから言葉が出なかったんじゃ無いかな?」
と指導していただきました。
確かに、私には、自分で胸を張って言えるような強みがなかったからです。
勉強も、これといって得意科目はなく、運動に至っては50m走では学年でビリのタイムを叩き出すほどでした。
バイトはたくさんしたけど、これといって志望動機になりそうなものもなく、学生時代に打ち込んだサークルも、教育とは関係の無いもので当てに出来ず仕舞いでした。
それでも、皆んなが強みを生かしてまとめているから…と焦ってしまい、好きでもない教科や運動のことを盛り込んで聞こえのいい志望理由の原稿を作りました。
でも、結果的には嘘を重ねた原稿となり、あっさりと見透かされてしまうほどの薄い内容のものでした。
試験も目の前に迫っている中、振り出しに戻ってしまった私は、どうしたらいいかわからず、ひどく落ち込んでいました。
体験談その2:弱みも含めてありのままの自分を見せることで自信が持てた
そもそも、私が教師になりたい理由は、自分のことを「駄目な人間」と思ったことが始まりです。
勉強も運動も苦手だけど、それでも自分なりに頑張っていると、周りの人たちは温かく応援してくれて、助けてくれました。そうした優しさや思い出は、私の心の大きな支えになっています。
だからこそ、今まで手を差し伸べてくれた人たちと同じように、私も苦手なことや出来ないことで悩んでいる子供達を支えられるような存在になりたいと思い、教師を目指し始めました。
そのことを模擬面接が大失敗した後日、担当の先生にお話ししてみると、予想外の反応が帰ってきました。
「いいじゃんそれ!すごく伝わってきたよ!あなたが勉強も運動も全然できないのは知っているけれど、その分、人の痛みや苦しみをよく感じることができるのも知っているよ。学校では、むしろそういった悩みを抱える子を支える存在が必要だから、あなたみたいな人が教師になってくれると、私はすごく嬉しいよ」と褒めてくださいました。
自分の苦手な部分を曝け出すことになるし、こんなに何も強みがない人なんて、教師としてダメなんじゃないかと心配でしたが、嘘偽りのない自分の言葉は、その後の模擬面接でも驚くほどハキハキと発表できました。
一応原稿は作ってみたものの、覚えた通りに話すのではなく、自分の言葉で、心を込めて発表することができました。
その発表は辿々しく、決して自分では上手な発表とは思いませんでしたが、どの先生からもたくさん褒められました。
練習を重ねて自信がついた私は、試験本番でも、自分ができないことを正直に言いました。すると、試験官の一人の方から、
「先生は勉強も運動もなんでも出来る、と思われがちだけど、そうやって出来ないことを素直にさらけ出せることは、子供達にとってあなたへの信頼につながると思います。」と仰ってくださいました。
結果、合格して無事に教師になれた私は、子供達の前では取り繕わず、ありのままの姿を見せ続けました。
すると、「先生、逆上がりが苦手なら、僕がみんなにお手本を見せてあげるよ!」とか「私は歴史のことが好きだから、先生が困った時にはいつでも頼ってね!」など、子供達が手を差し伸べてくれるようになりました。
また、その手は私にだけではなく、クラスの子供たち同士でも繋がり合い、困っている子がいると声を掛け合う子供達の姿が見られるようになりました。
試験官の方は、何年も学校の現場で活躍されてきたベテランの方ばかりです。嘘や取り繕った言葉はすぐに見抜かれると思います。
例えなんとか試験に合格したとしても、その先学校で出会う子供達の純粋な目には、通用しないと思います。
勉強や運動が出来ることに越したことはないですが、嘘偽りのない「未来で出会う子供達のために、教師になりたい」という気持ちを伝えることが、まずは一番大切だと実感しました。
まとめ
「教師になりたい理由」を考えた時に起こった体験談について、2つお話しました。
100人教師になりたい人がいれば、100通りの、教師になりたい理由があると思います。
だからこそ、自分の志望理由はこれでいいのかなと不安がらずに、自分で考えたことに自信を持って面接に臨んでほしいと思います。
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