小柴龍太郎– tag –
刑務官など矯正職員歴37年、現在里山で晴耕雨読を享受している「小柴龍太郎」さんのエッセイ・コラム記事です。
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刑務官のコラム
【犬が受刑者を救う】念願叶った日本初の試み「刑務所で犬を育てる?」
命を「助けられた」犬が受刑者を「助けている」 アメリカの女子刑務所が介助犬を育てていることを知った時、私はすっかり舞い上がってしまいました。その刑務所では、捕まえられて薬殺処分を待っている野良犬をもらってきて、これを介助犬として育てている... -
刑務官のコラム
【死刑か無期懲役か】刑に対する様々な受け止め方について
刑務官の大変さはどちらも変わらない 世間が大騒ぎするような殺人事件が起きるとその裁判にも大きな関心が集まります。そしてある場合には死刑判決が出て、別の事件では無期懲役刑が言い渡されたりします。生と死を分けるこの二つの判決。そこには決定的な... -
刑務官のコラム
【刑務所長が受刑者を弔う】日本の刑務所と受刑者の関係を象徴する光景
意外と多い、刑務所で亡くなる受刑者 刑務所ではよく受刑者が死にます。病気で死んだり、自殺で死んだり、それから塀の中でも高齢化が急速に進んでいますので老衰で死ぬ人も多くなってきました。どういう理由か分かりませんが、死ぬのは夜から未明にかけて... -
刑務官のコラム
【受刑者は刑務官ではなく制服に従っている】刑務官の制服にまつわる話
「受刑者は官服に従っている」 「いいか、勘違いするなよ。受刑者は官服に従ってるんだ。お前じゃない!」 若い頃、先輩刑務官によく言われた言葉です。 総じて受刑者は刑務官に従順です。ベテラン刑務官に対してはもちろんですが、採用間もない刑務官に対... -
刑務官のコラム
【たかが看守のくせに!】受刑者の口撃によって見えてくる刑務官の誇り
刑務官も人の子 刑務官も人の子です。受刑者のひと言で傷つくことだってあります。その中の代表的なものが「たかが看守のくせに!」。これは「牢番野郎!」とともに刑務官が耳にしたくない言葉の双璧ですが、いずれも刑務官を下等公務員としてさげすむ言葉... -
刑務官のコラム
【重犯罪者と看護婦さん】殺人罪で服役中の受刑者までもが従順に
女性職員の多い「医療担当部署」 男の刑務所で働く職員の大半は男性です。当然と言えば当然なのですが例外もあります。医務棟とか病棟と呼ばれる塀の中の医療担当部署です。大きな刑務所になると法律上の病院として指定されるほどの規模になり、そこで一番... -
刑務官のコラム
【塀の中のお医者さん】刑務所勤務医が不足する意外な理由
塀の中で受刑者が病気になったら刑務所のお医者さんだけが頼りです。行きつけの病院に行って診てもらうなどということは受刑者にはできないからです。自由刑(懲役刑や禁錮刑)の厳しさはこのようなところにもあるわけです。 刑務所は医師不足 しかし彼ら... -
刑務官のコラム
【刑務官のヒヨコ】新米の刑務官の素朴な疑問とベテランの回答とは?
新米の“ヒヨコ刑務官”が増えた理由 どのような企業や組織体も職員の育成には力を入れていると思いますが、刑務所も例外ではありません。特に刑務所は、戦後多くの退役軍人を雇用した経緯があるため、それらの人が一斉に退職していく時期は大変でした。軍人... -
刑務官のコラム
【刑務官を襲う受刑者】襲撃を防止するために昔から行われていた検査とは?
刑務官は受刑者が背後に立つのを嫌う 刑務官は、受刑者が背後に近づくことをとても嫌います。そんなことをする受刑者がいると大声で叱られます。刑務所が初めての受刑者はなぜ叱られたのか分からず目を白黒させるのですが、刑務所内では暗黙の了解事項とし... -
刑務官のコラム
【新宿と同じ大きさ】北海道にある広大な刑務所「網走刑務所」の実態とは?
日本で一番広い刑務所は北海道の網走(あばしり)にあります 日本で一番敷地の広い刑務所は北海道の網走刑務所で、その広さは東京の新宿区とほぼ同じだそうです(約1600ヘクタール)。刑務所の建物自体は格別大きいわけではないのですが、刑務所の農場... -
刑務官のコラム
【刑務所はもはや「監獄」ではない】新法律によって変化した刑務所の在り方
刑務所に関する法律が新しくなったのは100年ぶり! 平成18年に刑務所は歴史的な変貌を遂げました。およそ100年ぶりに刑務所に関する基本法が変わったからです。 それまでは「監獄法」というおどろおどろしい名前の法律でしたが、それが廃止されて... -
刑務官のコラム
【話変わるけどサ】ある受刑者と刑務官の交流ストーリー
受刑者「彼」との会話は「話変わるけどサ」から始まる 「センセ、センセ! 話変わるけどサ」 毎回このひと言から話を始める受刑者がいました。まだ何も話していないのにいきなり「話変わるけど」と言われて、最初は(何だコイツ、まだ何も話してないじゃん... -
刑務官のコラム
【アソコの検査!?】なかなか聞けない刑務官の驚きの仕事!
刑務所での刑務官の仕事である「玉入れ検査」とは? 刑務所には「玉入れ検査」というものがあります。 刑務所に入ってきたばかりの男性受刑者のイチモツに玉が入っていないかどうかを検査するのです。 もちろん普通の場合、男性は二つの「タマ」を生まれな... -
刑務官のコラム
【死ぬときゃ一緒だ!】受刑者の心に響いたある刑務官の言葉
信頼性の高いアンケート調査 最近、受刑者に対して行ったアンケート結果が公表されました。刑務所をどれくらい信用しているのかとか、工場担当職員をどれくらい信用しているのか、といった内容です。このような内容のアンケートはかつて行ったことがないと... -
刑務官のコラム
【刑務所は3日でダメになる】刑務官の間で語り継がれる”教訓”とは何か?
教訓「刑務所をダメにするには3日あれば足りる」 「刑務所をダメにするには3日あれば足りる」 これはよく刑務官の先輩たちから聞かされた言葉です。そして私自身刑務官生活を続けるうちに何度も実感してきたことです。それほど刑務所内の規律や秩序を保... -
刑務官のコラム
【刑務所で動物を飼う?】事件の証拠はコウモリだった
動物の世話を焼く受刑者 ある日、受刑者が部屋でコウモリを飼っていたということで、規律違反行為として摘発されたことがありました。部屋の床の板をはがして、床下に集まるコウモリをかわいがっていたというのです。 コウモリを飼うこと自体が規律違反行... -
刑務官のコラム
【日本の高齢化が刑務所にも?】認知症になったら釈放になる?
受刑者たちの高齢化 日本では世界一のスピードで高齢化が進んでいますが、刑務所ではそれが更に速くなっているといわれています。そして、これは刑務所泣かせでもあるのです。 なぜ刑務所が泣くのかといえば、とにかく手間暇がかかるからです。例えば、受... -
刑務官のコラム
刑務官の日常「受刑者の色恋、アンコとカッパ」のお話
受刑者の恋路 刑務所にはアンコとカッパという隠語があります。男性同士の同性愛者のことで、アンコは女役でカッパは男です。刑務所は混浴のように男女が一緒に収容されることはありませんから、性欲の発露として同性愛が多くなりがちな環境ではあります。... -
刑務官のコラム
【日本の刑務官は丸腰で勤務?】刑務官の最大の武器とは何でしょうか
丸腰で勤務する日本の刑務官 日本の刑務官は丸腰で勤務します。アメリカなどでは拳銃を携帯するのが当たり前ですし、見張り所には小銃を持った刑務官が詰めています。日本の刑務所にも拳銃はあるのですが、通常は武器庫にしまっておいて、携行することはあ... -
刑務官のコラム
【22世紀に伝えたい公務員】新聞を腹に巻いて出勤する刑務官のお話
刑務所が荒れていた時代、サラシ代わりに新聞を腹に巻いて出勤していたという刑務官の先輩がいました。奥さんや子供に悟られないように新聞を巻き、五体満足に帰って来られるかどうかと不安を抱きつつ官舎を出たということです。 反抗する受刑者 当時、先... -
コラム:テーマ「公務員」
【公務員に過労死はあるのか?】公務員のサービス残業を考える
過労死に思うこと-公務員のサービス残業 近年、民間企業で働いている人の過労死が問題となることが多くなりました。犠牲となるのはまじめで一生懸命仕事をする人が多いようです。痛ましい限りです。 この過労死。公務員については一見無縁のようです。「... -
コラム:テーマ「公務員」
公務員だって結構クビになる -「懲戒免職」「分限免職」「依願退職」
公務員になってしまえば、解雇はされない?公務員もクビになります! いったん公務員になってしまえば、その強い身分保障制度によって簡単に免職・解雇、いわゆるクビになることはない。 そう思っている人が多いようです。確かに法律で身分保障はされてい... -
コラム:テーマ「公務員」
【国家公務員の勤務評定】気になる「人事評価」の現場
私は国家公務員として定年まで勤務しましたので、その間たくさんの勤務評定を受け、またその何百倍(あるいはもっと)の勤務評定をしました。さらにまた監督官庁でも勤務しましたので、所管庁から送られてくる大量の勤務評定記録書を見る機会もあり、その... -
コラム:テーマ「公務員」
【公務員の給料】あなどるなかれ公務員の「手当」について
これから公務員になろうとする人は、たいてい初任給が幾らかを気にすると思います。当然です。それが月給の基本だと思うからです。 でも実際は必ずしもそうではありません。 公務員にはいろんな手当が出るのです。実際に国家公務員として長く勤務した私は... -
刑務官の給料・年収・働き方
「超過勤務の刑務官」- 幹部より手取りが多い刑務官の裏事情
刑務所で勤務するようになってほどなく、「超過勤務の刑務官」という言葉を耳にしました。 それだけを聞くと「刑務官は超過勤務が多い」とマイナスのニュアンスが感じられますが、実は「刑務官は超過勤務手当が多い」という意味なのです。つまり「刑務官っ... -
コラム:テーマ「公務員」
【公務員の初任給】大手民間企業より、低いけど、これで暮らしていける?
私が国家公務員になるとき、「この初任給で暮らしていけるんだろうか」と不安になったことを覚えています。 大手の民間企業より相当低かったことに加えて、結婚も控えていたので心配になったのです。 しかし、結論を先に言えば全く問題はありませんでした... -
刑務官のコラム
再犯率を減らすのは国だけではできない – 元・国家公務員のコラム08
犯罪対策閣僚会議が再犯率(再入率)を二割以上減らす目標を 7月20日(2012年)、政府の犯罪対策閣僚会議が刑務所や少年院から出た人が再び刑務所等の収容される再犯率(再入率)を二割以上減らす目標を決めた。政府がこの種の数値目標を定めるのは... -
刑務官のコラム
窃盗犯更生プログラムに期待 – 元・国家公務員のコラムシリーズ 07
福島刑務所と更生保護施設が福島大学と連携 河北新報9月16日版(2016年)に載った「窃盗犯更生 再犯防ぐ」という記事を興味深く読みました。福島刑務所と更生保護施設が福島大学と連携し、独自の更生支援プログラムを開発して運用を始めたとのこと... -
刑務官のコラム
刑務官の女子力 – 元・国家公務員のコラムシリーズ 06
女性の社会進出がとかく話題となる昨今ですが、塀の中では昔から女性が活躍していました。 女子刑務所で働く女性の刑務官たちです。なんせ受刑者が女性なので刑務官も女性とならざるを得ません。トイレやお風呂のことなどもあって、男性刑務官だと受刑者が... -
刑務官のコラム
管区機動警備隊について【知られざる塀の中の機動隊】
知ってる?刑務所内でのトラブル・事件に対応する警備隊 刑務所や少年院などの警備上重要な役割を担うのが「管区機動警備隊」です。でも、その存在を知っている人は少ないと思います。矯正職員以外でそれを知っている人がいたら、その方は「お務め」を果た...