保健室の先生(養護教諭)からみた「女子高あるある」

本記事では、私立高校で5年、一律の小学校で10年、保健室の先生(養護教諭)として働いた経験を持つUさんに「養護教諭からみた女子高あるある」について取材し、まとめました。

保健室の先生(養護教諭)を目指す人、また、女子高で働きたいと考えている保健室の先生必見の内容です。


はじめに – 女子高の特徴

私学の女子高には、経済的に裕福な生徒が集まる学校や、公立高校に合格できない学力が低い生徒が集まる学校など、様々な高校があります。

高校には女生徒しかいないので、保健室に寄せられる悩み相談の内容も、男女共学の高校とは異なるものが多いです。

今回は、保健室の先生(養護教諭)の目から見た「女子高あるある」について、説明します。

女子高あるあるその1:LGBTの生徒が多い

女子高の保健室あるある、1つめは、LGBTの生徒が多いという点です。

女子高なので、生物学的な性別では女子しかいませんが、自らの姓別に違和感を持つ生徒も多くいます。

彼女らは、中学校までの間に自分の性に違和感を持ち、男子という性別からの視線や嫌がらせやからかいを受けた経験から、「女子という性別の逃げ道」として女子高を選ぶことがあります。

保健室には多くの性の悩みを持って訪れる生徒がいます。LGBTの悩みについても、最近でてきたものではなく、私が勤務していた15年以上前にも、一定数いました。

女子高あるあるその2:同性の恋愛が多い

女子高の保健室あるある、2つめは、同性の恋愛に関するものです。

同性に恋愛感情を持つのは、LGBTの生徒だけではありません。「期間限定」で同性に恋をする生徒も多く存在します。

私立の女子高の学力レベルは様々ですが、それぞれの高校には、「強み」や「売り」があります。例えば、高校在学中に資格が取得できたり、部活動が全国レベルであることも少なくありません。

それらを求めて県外からも多く生徒が来るため、寮がある場合もあります。


すると、生徒たちは1日中時間を共にし、苦楽を共にします。その中で、友情が愛情に変わることがあるのです。

そうして、もともとLGBTでなかった生徒が、同性に恋愛感情を抱いて交際することもあります。しかし、多くの「期間限定」のカップルは、高校卒業後に新しい世界へ旅立つと、関係が破綻することがほとんどです。

そこで傷つくのが、LGBTの生徒です。頭ではわかっていても、裏切られた気持ちがおさえられず、保健室やってきます。

女子高あるあるその3:すさまじい女子のけんか

女子高の保健室あるある、3つめは、すさまじい女子のけんかです。

このけんかが、なんともおそろしいのです。

男女共学では陰湿な嫌がらせはあっても、女子同士が髪の毛を引っ張り合い、顔をひっかき、奇声を上げながらけんかをする姿はあまり見かけませんが、女子高ではこういったけんかがたまに起きます。

このような状態のけんかの原因は、ほとんどが男関係です。

女子高生は男子校の生徒や大学生と、いわゆる「コンパ」をおこない、出会いを求めます。そこで、もめるのです。狙っていた男を取った、取らないなど、内容はわかりやすいものです。

このけんかのあと保健室を訪れる生徒の顔は般若のようです。

女子高あるあるその4:妊娠・中絶・出産・薬物・売春

女子高の保健室あるある、4つ目は、妊娠・中絶・出産・薬物・売春に関するものです。

高校生ともなると行動範囲も広く、保護者の管理は効きません。保護者は、生徒が抱えているトラブルを、学校からの連絡ではじめて知ることとなります。

私の感覚では、共学の女子生徒よりも女子高の生徒の方が、これらのトラブルを抱える率が高かったです。

もちろん学校側にわかれば、自主退学を促され、学校としては知らなかったことにします。

これらのトラブルは、「非日常」の中で起きます。先ほども書いたように、女子高生が男性と出会う場の多くは、男子高校生や大学生とのコンパです。これはつまり、「素性がわからない人と出会う」ということです。

その「素性が分からない人」がどんな人なのか、その人とどのような関係を築くか、生徒たちは自分で判断しなければなりません。高校生と言えども、彼女たちはまだまだ未熟で、いつも正しい判断ができるわけではありません。


薬物についても、遠い存在に思われがちですが、一人の生徒が素性のわからない出会いからはじまり、わからないものをわからないまま使ってしまうことで、それが他の方に連鎖してしまうリスクがあります。

「その場に流されて…」「まさかこんなことになるなんて…」

これらのトラブルを抱えた生徒が、ほぼ100%言うセリフです。もちろん保健室の先生として、トラブルを未然に防ぐべく保健指導などで話をしますが、その場になると、判断できずに流されてしまうことも多いようです。

もちろん、共学の高校でも同じようなことは起きます。しかし、共学の場合は同じ学校内で交際する生徒が多いので、男子生徒にもくぎを刺すことができます。

その点が、女子高と大きく違います。

女子高あるあるその5:負の連鎖が起きやすい

女子高の保健室あるある、5つめは、「負の連鎖が起きやすい」ということです。

この「負の連鎖」とは、例えば「友人がリストカットしたら、自分もしてしまう」というようなものです。

クラスに自傷行為や過呼吸を起こした生徒がいると、その生徒を心配していた別の生徒が、その後、同じように自傷行為をしたり、過呼吸を起こしてしまうことあるのです。

友人を心配しているときは、「なんでそんなことをしているのだろう?」「過呼吸でつらそうだ」と、ただただ心配し親身になってあげる生徒ほど、次に自分にショックなことが起きたときに、回避行為として自傷を行ってみたり、過呼吸を起こしたりします。

保健室の先生(養護教諭)から見た「女子高のいいところ」

女子高の保健室あるあるをみて、「女子高ってえらいとこやな!」と思われるかもしれません。

しかし女子高にもいい点はたくさんあります。

女子高のいい点その1:LGBTに理解がある

女子高の方が、LGBTの生徒に対して、理解があるように思います。性自認がはっきりしておらず、LGBTとまでは言えないけれど、男らしく頼りになるタイプの生徒もたくさんいます。

LGBTだから・女子だから・男性か女性かはっきりさせる、などという性別への垣根が低いです。

女子高のいい点その2:保健室がいつもにぎやか

女子高の保健室は、毎休み時間、大にぎわいです。

ケガで訪れるような生徒は少なく、「コンタクトの液貸して~」昨日寝てないから1時間休ませて~」「まつエク取れた~」など、自分の要求を訴えるために訪れたり、「きいて~」と、たわいもない話をしに来たりします。

女生徒は保健室の先生に対して、「他人以上、でも友達未満」の距離をとりつつやってくるので、話しやすいというのもあるようです。

女子高あるかもしれないエピソード:男性教諭が女生徒と結婚することがある

最後におまけのエピソードですが、なんだかんだと、女生徒が男性教諭と恋に落ちて結婚するということもありました。

「え?!」と思うかもしれませんが、あくまでも卒業後です。

この場合、私立学校であれば、教員は転勤がほとんどありませんので、かつての女生徒が、奥様となり、その奥様から「女子高の性」「女子高にいる生徒の気持ち」を聞いたりして、教員業のよき相談相手になってくれるそうです。


ちなみに、女子校という狭い空間では、男性教諭は5倍増しで素敵にみえるようです。これも女子校あるあるですね。

まとめ – 編集部より

いかがでしたか?

本記事では、女子高で働いた経験を持つ保健室の先生(養護教諭)に、女子高ならではのエピソードをたくさん聞くことができました。

今後、女子高で働こうと考えている保健室の先生(養護教諭)は、ぜひこの記事をご参考ください。

本記事は、2020年5月28日時点調査または公開された情報です。
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