はじめに
私立中学校・高校で常勤で働く、キャリア通算10年の「国語の先生」によるキャリアレポートです。
ちなみに、その方は、高等学校1種(国語) と、中学校1種(国語)、 司書教諭の資格免許を持っているそうです。
「私立中学校・高校の国語の先生」を目指した理由
私は、もともと学校図書館に関わる仕事がしたかったのですが、当時専任の司書を置いている学校が少ないことを知り、司書教諭の資格を取ろうと思って教員を目指しました。
「私立中学校・高校の国語の先生」の仕事内容について
大きく分けて3つあります。
まずは、授業です。これは生徒や保護者の信頼度にも繋がる大きな仕事です。これが上手だと生徒は他の面でも自分の話を聞いてくれるようになるし、困った際には相談にも来ますし、外から見てこれが教員の仕事だと思われているので、評価にも直結します。
ただし、教材研究や準備は勤務時間内にはほとんどできないため、持ち帰りが多いので、時間配分と効率化を図らないと大変です。
二つ目は、生徒指導です。これが業務のほとんどを占めています。そして、生徒によりバックボーンや特性が異なるため、同じ対応ではダメです。
そのために、担任を持ったらまずは生徒の写真と名前、特記事項があればそれを覚えます。学習態度や学校生活での様子、健康面やメンタル面でのサポートや指導、場合によっては家庭環境についても把握し、その子にとって必要な対応をしていきます。
三つ目は、校務分掌と呼ばれるもので、学校運営に必要なことをそれぞれ分けて担当します。校長や教頭といった管理職が行う運営、時間割構成や成績管理の教務部、生徒に直接かかわる分野を担当する生徒指導部、進学就職を担当する進路部(予約奨学金等もここが担当します)、入試やオープンキャンパスを担当する入試広報部、行事や予定を調整する総務(企画部とも)があります。
ただし、いずれも自分がメインで担当するというだけで、自分の校務分掌だけを行うのではなく、いずれの分掌の仕事も把握し、臨機応変に手伝うことが求められます。
「私立中学校・高校の国語の先生」の1日の仕事の流れ
1時間目の前に補習がある学校の場合、7時までには出勤します。
7時半 補習開始
8時半 職員会議(補習がない人はこの時間までに出勤)
8時50分 ホームルーム
9時 授業スタート
※毎時間授業を担当するわけではないので、空いている時間に提出物チェックや保護者連絡、校務分掌や授業準備を行います。
13時 昼休み (大体50分)
※ただし、生徒の昼休みなので、教員は校内巡回を行い、生徒の交友関係や特性の情報収集を行います。
15時半 授業終了、ホームルーム
※放課後後 部活動や委員会活動の監督へ、他気になる生徒の個別面談や保護者連絡、会議や個別学習指導もあります。
17時~18時 職員終礼(ここから、用がなければ退勤可能)
20時 最終退勤時刻(ここまでに仕事が終わらなければ持ち帰り)
授業以外の業務状況について
生徒指導に一番時間がかかります。
情報を覚えるのも一つですが、一人一人に関わらないといけないので、一人に割く時間は短くとも、トータルではかなりの時間が必要になります。
部活動は正直、自分の得意分野以外をまかされた時は相当な苦痛でした。場合により土日も削られますし、手当は年に1度、数千円が支給されるのみですので、本当に好きでないとつらいだけの業務でした。
しかし、それを楽しみに来ている生徒もいますし、期待している保護者もいるため、適当なことはできず、うまくマッチングできなかった教員は、辞めていきました。専門家が来てくれるのであれば、導入したほうが良いと思います。
この仕事の給料・残業・有給休暇について
私立中学校・高校では年齢給であることが多く、新卒で入った人より中途の人の方が基本給が高いというのはよくあります。
新卒で大体初任給22万円、それに見込み残業代に近い「教職調整費」というのが月に8000円ほどついていました。そのほかに、全日制は補習を担当すれば、1時間につき2000円ほど時間外手当がつきます。合宿等は別途日当がつきます。ボーナスは全日制で4.2か月分、通信制で2か月分でした。
残業については、通信制は基本的に補習がないため、タイムカードで定時を計り、時間外手当が一般企業のように出ていました。ただし、残業は事前申請制だったため、あまり支給はされませんでした。逆に全日制は、いるのが当たり前という風潮でしたので、何時に来たかではなく、スタンプカードのような出勤簿に、来たらハンコを押すだけという管理でした。
有給休暇は、どの校種でも大体、夏休みや冬休みといった長期休暇で生徒がいない時期に交代で取るのが通常で、全日制は時間割が決まっているため、そう簡単には休めません。ちなみに、私は、全日制で5年間勤め、有給休暇は2日しか取れませんでした。通信制はそこは融通が利くので取りやすく、毎年10日ほどは取れていました。
この仕事で、働いているときに困ったこと
就職したときから、どんなベテランの先生とも同じ「先生」として扱われるので、技術や知識が足りない分、授業準備に時間がかかったり、生徒指導がうまくいかず悩むことがありました。
今思えば、先輩が両隣の席にいたので、もっと自分から相談したり、逆に先輩の方から声掛けをしてもらってサポートしてほしかったと思います。全日制の私立はそこがまた未熟で、毎年多くの教員の入れ替わりがありました。そのような中、やはりサポート体制が不十分のため、潰れていく教員はいました。
通信制は、教員の数が少なく、自分でなんでもしないといけない分、研修が充実しており、先輩からのサポートも手厚かったです。先にこちらに就職していれば、もっと気持ちも楽になったのでは、と思いました。
この仕事や職場でよかったこと
年に一度の入試で、次年度の生徒数が決まるため、学校自体の収入の見通しがつきやすく、各種予算や給料は安定しています。
校内行事の大きなものも、4月の時点でほぼ決まっており、年間行事として発表されるため予定は立てやすいです。
長期休暇中は自分も休めるので、旅行に行く人も多くいました。
常に10代と接する職業なので、トレンドに詳しくなったり、いろんな趣味の話を聞いたり、知的好奇心を満たしていくれる環境は整っていました。そのせいか、実年齢より若く見える、はつらつとした教員も多かったように思います。
「私立中学校・高校の国語の先生」の仕事エピソード
保護者会や行事の時に、生徒自身や保護者から感謝の意を伝えられたり、普段はそんなに感じなかったのに自分を評価してくれていたことを知った時には、大変うれしくなります。
また、毎年卒業式の時には、生徒の成長が顕著に表れるため、それに感動し、その時、この職についてよかったと実感します。
ただ、日々の授業や生徒対応は時間がいくらあっても足りず、もどかしい思いをすることも多いです。
生徒より保護者が、メンタル面等の障害を抱えていることがきちんと把握できておらず、保護者連絡がうまくいかずに、学校への不信感から大きなクレームにつながった時には、収拾に大変な労力を要しました。
学校の先生の職場恋愛について
私立は、ほとんどの男性教員はすぐに結婚します。
同期や新人と付き合って早めに結婚したり、学生時代からのお付き合いのあった方と結婚しているイメージが強いです。
しかし、職場結婚はそう多くはありません。逆に女性は、独身の人が多いイメージです。
教員の職は、意志がはっきりしていて、向上心のある人が多いの、大概一人でなんでもできる人が多いです。
学生時代に付き合っていた人と結婚する人もいれば、学校の共済事業の一環である、他校の先生との婚活パーティを利用する人もいます。
私の周りでは、行きつけの飲み屋での常連同士の結婚が多かったです。
まとめ ー「学校の先生」を目指す方へメッセージ
大変なことも多いですが、人の成長を短期間で間近に見られる職業はそうないと思います。
生徒の成長を発見した時、特に自分の気になっていた部分が成長していると、とてもやりがいを感じますし、うれしいです。
大変な分、感謝されることもあり、自分の成長も感じることができる素敵な職業です。
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