アメリカの教員免許制度について
世界中どこでも、学校の教員になるには教員免許状を取得する必要があるはずです。しかし教師として採用される際の手続きや条件は、国ごとで大きく違ってくると思います。
例えば日本の場合、教育養成課程終了後に教育委員会に教員免許を申請し、教員採用選考試験に合格すれば、全国どこででも教師として働けるようになります。しかし、アメリカでは、教員免許は免許を取った州でしか使用できません。たとえ教師経験が何十年あろうと、他の州に引っ越してまた学校で働く場合には、教員免許試験を受けなおして、新たにその州の教員免許をとる必要があります。
教員免許は更新制で、更新年数は州によって異なります。アリゾナ州の場合、初めて教師になる人は、まず3年間有効の条件付き教員免許を取ります。条件付き期間中に職務経験や正規免許に切り替えるために必要な単位数を取得することによって、条件付きから6年間有効の正規免許に変更できます。
正規免許を更新するには、講習を受けてテストに合格しなければなりません。もし有効期限から1年以上すぎてしまうと免許が失効してしまうので、また一から取り直さなくてはならなくなります。
日本と違うアメリカの教師の給料事情
日本なら公立校であればどこの学校で働いても基本給は全国一律、年功序列で勤続年数によって昇給していきますが、アメリカの教員の給料は勤続年数ではなく、所有している学位や資格によって大きく変わります。
アメリカの場合、同じ年齢で同じ学校に同時期に採用されても、4年制大学修了と修士課程、博士課程修了の人では給与支給額が大幅に違います。そして学区や地域、学校の規模や知名度によっても給料が大きく変わります。
勤続年数によっても給料は多少増えて行きますが、アメリカの場合、職務経験年数と勤続年数は必ずしもイコールにはなりません。学区が違う学校に転職した時点で、今まで加算されていた勤続手当は$0に戻るので、転職の際には注意が必要です。
アメリカの学校の勤務時間
日本だと学校の始業時間は小学校から高校まで大体同じで、8時40分くらいから始まると思います。しかしアメリカの学校は、始業時間が学校ごとに違います。
小学校は、始業時間が8時45分、終業時間が3時30分と日本と同じくらいです。しかし中学校になると朝7時30分から始まり、2時に下校時間となります。高校になるとさらに早く、朝7時から午後2時30分までの授業となり、もし公立高校の教師になると、毎朝5時には家を出ないと学校に遅刻してしまうかもしれません。
アメリカの教師の副業
前回にも触れましたが、公務員である公立校の教師は自由に副業をする事が認められています。と言うよりも、1年で一番長い夏季休暇の2ヶ月半の間、レストランのウェートレスやスーパーのレジ係などの副業で、収入を補わなければ生活できない教師がたくさんいます。
前回の記事>リンク
アメリカの教員の労働環境の実態-教師の退職理由その2
アメリカの教師の雇用制度
しかし、たとえ長期休暇期間中に給料が出ないとしても、悪いことばかりとも言えません。休みの間学校に縛られることがなく自分の好きなように過ごせるので、家族で旅行をしたり、海外にショートステイを計画する人たちもたくさんいます。
住宅手当や通勤交通費は支給されませんが、日本だと何かと取りにくい有給休暇や病欠休暇などは、個人の正当な権利として学校側がフレキシブルな対応をしてくれます。
アメリカの学校では教師間の連携が薄く、ほかの教師が何をしているのかなど、気にする人はほとんどいません。ほかの教員の目を気にする必要がないので、職場での人間関係によるストレスも少ないかもしれません。
しかし毎学期末ごとに生徒と生徒の保護者から授業内容や生徒への対応を厳しく評価され、もし評価が悪ければ公務員職であるにもかかわらず、簡単に解雇されてしまうアメリカの公立学校の教員は、とても安定した職業とは言い難いです。
アメリカの教師の社会的地位
日本では高学歴な人がつく職業である教職の仕事は、人気があり尊敬もされますが、アメリカで公立学校の教師は、あまり人気の職業ではありません。
アメリカではどんな職種でも、給料が高ければ社会的な地位が上がり、人から尊敬されます。その点教師の仕事は、ほかの民間企業に勤める人たちよりも給料が低いので、社会的地位が低く、あまり人に自慢できる職業ではありません。
その上学校教師は女性の仕事と思われていて、アメリカ人の男性に向かって『あなたには教師の適性がある』と言ったらムッとされる可能性もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
日本でもアメリカでも教師の職場は一長一短、文化や価値観の違いもあり、どちらの国の働き方がいいとは言えませんが、どちらの国の学校の先生も金目当てでなく、子供と国の将来のために働こうという尊敬に値する存在だと思います。
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