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トランプ大統領2度目の弾劾訴追!今後の展開や注目すべきことは?

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目次

はじめに

2021年1月13日、アメリカ下院議会はトランプ大統領を弾劾訴追することを可決しました。これによりトランプ大統領は任期中に2度も弾劾訴追を受けた史上初の大統領になります。

1月6日に起きた議事堂占拠事件の責任を追及するための弾劾訴追ですが、異例のスピード可決です。1月20日にはバイデン氏の大統領就任式が控えており、このまま円滑に政権移行が進むのかどうか不安の声も上がっています。

今回は、2回目の弾劾訴追について、今後の展開や本当の狙いなどを含めて解説します。

トランプ大統領の弾劾訴追について

はじめに、弾劾訴追とはどのようなことなのか見てみましょう。

「弾劾」とは?

弾劾(だんがい)とは、公職に就いている者が義務違反や非行行為などの理由で処罰されることです。アメリカの場合、議会の訴追によって審議(弾劾裁判)され、上院議会で3分の2以上が賛成することで有罪が確定します。

仮に、弾劾裁判で有罪になった場合、刑事罰を受ける必要はありませんが、その職を罷免されて今後は公職に就けなくなります。弾劾裁判は対象者が離職後でも効力があり、離職後でも有罪か無罪を問うことが可能です。

弾劾をごく簡単に言えば、公職者が非難されるような行為をとった際に議会の多数決によって裁くことと言えます。

アメリカ大統領を巡る弾劾訴追の歴史

これまでアメリカの大統領では、アンドリュー・ジョンソン元大統領(1868年)、ビル・クリントン元大統領(1998年)、そしてトランプ大統領の3名が弾劾訴追を受けています。

いずれも弾劾は不成立に終わっており、弾劾裁判によって大統領職を失った人はいません。(リチャード・ニクソン元大統領は弾劾訴追前に辞任したため対象外)このことから、弾劾の成立はあまり現実的ではないことを知っておくとよいでしょう。

また、弾劾訴追は大統領に対する処罰と思われがちですが、必ずしも大統領にだけ使われることではありません。アメリカでは過去に陸軍長官が弾劾訴追された事例もあり、副大統領、長官、裁判官など幅広い公職が対象です。

トランプ大統領に対する弾劾訴追

トランプ大統領は史上初めてとなる、任期中に2度も弾劾訴追を受けた大統領です。1度目の弾劾訴追は2019年12月の「ウクライナ疑惑(職権濫用や議会妨害)」、そして2度目が今回の「反乱の扇動(重罪および不品行に関与)」です。


ウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追は、上院議会(100議席)において罷免に必要な3分の2(67票)に達せず無罪評決になりました。この時の争点は「職権乱用」と「議会妨害」の2点でしたが、職権乱用では48票、議会妨害では47票の有罪票で終わっています。

この時、下院は民主党、上院は共和党が多数派という構図(ねじれ国会)になっていたことから、下院で有罪票が集まっても上院で有罪票が集まりにくい状態でした。上院で優勢の共和党は、弾劾裁判で無罪票を投じることでトランプ大統領を守った訳です。

このことは、弾劾訴追が起きたとしても議会の勢力図によって結果が左右されるという意味です。逆に、バイデン次期政権のように両院で民主党が多数派を占める場合は、弾劾訴追がすんなり通りやすいことを意味します。ただし、両院で主力政党が同じ場合は弾劾訴追自体が起こりにくいと言えます。

トランプ大統領を巡る弾劾訴追のポイント

トランプ大統領に対する2度目の弾劾訴追のポイントを見てみましょう。

ポイント1:スピード罷免

議事堂占拠事件が起きた1月6日以降、民主党はトランプ大統領の任期(2021年1月20日)までに弾劾訴追によってトランプ大統領を罷免しようと計画していました。

この時、仮に上院議会(とくに共和党議員たち)でもトランプ大統領罷免の動きが強まれば、任期を迎える前に罷免できるため、スピード罷免を急いでたとみられています。

民主党としては、バイデン新政権がスタートする前にトランプ大統領や共和党に大打撃を与え、強い民主党を作り上げたかった狙いがあります。同時に、罷免を実現することで民主党支持者からの支持を強固なものにしたかったことでしょう。

ポイント2:離職後の復帰を阻止

今回の弾劾訴追における民主党の本当の狙いは「トランプ氏が2024年の大統領選に出馬することを阻止する」こととみられています。

アメリカの弾劾裁判は有罪が成立した場合、再び公職に就くことを禁止しています。仮に、トランプ大統領が弾劾裁判で有罪判決を受けた場合、トランプ大統領は政治家として再び活動できないことを意味します。

民主党としては「是が非でもトランプ大統領を弾劾裁判で有罪にする」ことで、2024年以降も民主党優勢の政府を構築したい思惑があるのです。

一方、共和党はトランプ大統領を超えるほどのカリスマ性を持った人材が確保できないジレンマがあります。民主党はこの点を狙い、弾劾によってトランプ大統領の息の根を止めて長期的に政権を握ろうという考えです。

ポイント3:鍵を握るのは共和党議員

トランプ大統領が有罪になるか否かは共和党の上院議員が鍵を握ります。弾劾裁判では上院議会の3分の2以上が有罪票を入れることで有罪が確定します。

そのため、トランプ大統領に有罪判決が下るには、共和党議員の3割を超える17人の票が必要です。言い換えれば、造反議員が17人でるとトランプ大統領は有罪判決を受けることになります。

1月13日、下院議会で実施された弾劾訴追の決議では、10名の造反議員が出たとされているものの、上院議会(共和党50席)で17名以上の造反議員が出るかは不透明です。

共和党トップのマコネル上院議員は、本来であればトランプ大統領を擁護すべき立場ながら「(弾劾裁判で)どう票を入れるか最終決断を出していない」と述べていることから、共和党トップの動きが注目されています。


共和党の上院議員はマコネル氏の動きに追随する公算が大きく、マコネル氏の決断で大勢が決まる可能性もあります。直近では、マコネル氏は不正選挙を訴え続けたトランプ大統領を突き放す言動をとっており、同氏の動きに注目が集まっています。

トランプ大統領の弾劾訴追を巡り、今後の注目すべき動きについて

弾劾訴追を巡る注目すべき今後の動きについてご紹介します。

弾劾裁判の時期はいつか?

最も注目すべきなのは弾劾裁判が実施される時期です。トランプ大統領在任期間中(2021年1月20日まで)の実施は現実的ではないことから、バイデン新政権発足後に実施される公算が大きいとされています。

この場合、トランプ大統領はすでに大統領職を退いていることから、弾劾裁判の目的は「有罪か無罪かを問う」だけです。民主党としては有罪にしてトランプ氏が再び公職に就けないようにすると見られます。

一方で、バイデン氏は新型コロナウイルス対策や経済政策を新政権の最優先課題に挙げていることから、弾劾裁判に時間をかけていられないジレンマを抱えています。日が経つにつれてトランプ大統領を有罪にする機運が下がる可能性があるため、弾劾裁判の時期は非常に重要です。

共和党の動きについて

次に注目すべきなのは共和党の動きです。先述したように、共和党トップのマコネル氏の動向に注目が集まりますが「共和党がトランプ氏を守ろうとするかどうか」が見ものです。

民主党と比較して、一枚岩で結束が強いとされる共和党ですが、トランプ氏を巡って党内分裂が生じており、今回の弾劾裁判によって党内分裂が一層進む懸念があります。

トランプ氏は結果的に大統領選で敗れ、ツイッターなどの情報発信の場を奪われており、急速に求心力が低下しているため、共和党がこれ以上擁護するかは不透明です。

仮に、党内分裂が進んだ場合、2022年の中間選挙そして2024年の大統領選で共和党が不利になる可能性が生じます。

今回の弾劾裁判は2024年の大統領選を見据えており、共和党がトランプ氏を擁護すれば再出馬の道が残り、擁護しなければ共和党とトランプ氏は縁が切れることになります。次の大統領選を見据えた共和党の動きに注目です。

アメリカの国内情勢について

民主党はトランプ大統領を有罪にして政界から追放することを目論んでいますが、熱烈なトランプ支持者を刺激することに違いありません。

これまでトランプ大統領が再三にわたって大統領選で不正があったことを主張したにもかかわらず実態は追及されず、本人による演説を報道しないツイッターやYouTubeなどのアカウントを凍結するなど、支持者からすれば到底許容できない状況が続いています。

民主党主体の「臭いものに蓋をする」対応がより深い分断を生むことが懸念されます。これまで以上にアメリカの国内情勢に注目する必要があるでしょう。

まとめ

以上、「トランプ大統領2度目の弾劾訴追!今後の展開や注目すべきことは?」でした。

トランプ大統領は歴史上初となる、任期中に2度も弾劾訴追を受けた不名誉な称号を手にれる結果になりました。1月20日以降に実施される弾劾裁判の結果によっては、政治家として公の場に出られなくなる可能性があります。

弾劾裁判の日程や、共和党がトランプ大統領を擁護するかどうか、アメリカの国内情勢に注目しましょう。

本記事は、2021年1月16日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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