小学校の修学旅行など宿泊行事で子どもが体調を崩したら保健室の先生はどうする?実例と対策を紹介

この記事では、小学校の宿泊行事で子どもが体調を崩した際の、保健室の先生の実例や対策について紹介します。

そのため、小学校の保健室の先生に向けた内容が中心ですが、宿泊行事で子どもが体調を崩した際の保健室の先生の対応は、中学校でも大きな違いはないので、中学校の保健室の先生が宿泊行事の引率をする際の参考にもなると思います。


小学校の修学旅行など宿泊行事に保健室の先生は参加する?

小学校では、子どもたちの心身の成長のために修学旅行などの宿泊行事が設定されてます。

その宿泊行事の際に起こったケガや病気に対応するために、保健室の先生が引率するかどうかは地域によって異なります。もし保健室の先生が宿泊行事に参加しない場合は、看護師さんを雇って宿泊行事の引率をしてもらい、子どもたちのケガや病気の対応をしてもらう場合が多いようです。

今回は、小学校の保健室の先生が宿泊行事の引率をする場合の実例と対策を紹介します。

小学校の修学旅行など宿泊行事で子どもが体調を崩したらどうする?

宿泊行事は多くの子どもが楽しみしている一大イベントですが、中には体調が悪いのに無理をして参加してしまう子どももいます。学校から遠く離れた場所で子どもが体調を崩してしまうと、保護者に迎えに来てもらうのも、症状を診てもらえる病院を探すのも困難なので、保健室の先生は非常に苦労するでしょう。

そこで、保健室の先生が小学校で行われる宿泊行事の引率をしているときに子どもが体調を崩した場合、どう対応するか考える際の参考になるよう、実例を2つ記載します。

尚、2つの事例は新型コロナが発生する前のものです。新型コロナ拡大後の現在とは、保健室の先生が宿泊行事で子どもが体調を崩した際に行うべき対応が異なる場合があります。

実例1:2泊3日の自然教室で小学5年生の子どもが発熱

小学校の2泊3日の自然教室で発熱した子どもの経緯と、実際の対応を紹介します。

事前調査

自然教室前に行った保護者説明会や健康調査では、発熱した子どもにはとくに健康上の問題はありませんでした。

発症発覚までの経緯

発熱が発覚したのは、旅行初日のイベントの1つである工場見学を済ませた後、宿泊施設のキャンプ場に到着して子どもたちがそれぞれの部屋で仕度を始めた頃です。本人が「気分が悪い」と訴えたため、保健室の先生が滞在する部屋で熱を測ったところ、38℃あることを確認しました。

子どもへの対応

子どもの発熱が発覚したのは旅行初日の14時くらいで、宿泊施設が山の中のため病院が近くにない状況でした。そのため他の先生たちと対応を相談しつつ、普段の保健室での対応と同様に子どもをベッドに寝かせて経過観察を行いました。

発熱が発覚してから1時間後、熱がさらに上がったため帰宅した方がいいと判断し、校長先生に許可を得てから保護者に迎えの依頼をしました。


保護者への対応

保護者には子どもの発熱が発覚した時点で連絡を取り、「このまま高熱が続くようなら迎えに来て欲しい」と伝えておきました。迎えまでに2、3時間かかる上に山道のため、保護者にも準備と覚悟が必要だからです。

保護者に正式に迎えの依頼をしたのは16時頃で、迎えに来てくれたのは19時頃でした。

実例2:1泊2日の修学旅行で小学6年生の子どもが発熱

小学校の1泊2日の修学旅行で発熱した子どもの経緯と、実際の対応を紹介します。

事前調査

今回発熱した子どもは、修学旅行前に行った健康調査で、緊張すると発熱しやすいと保護者から相談を受けていました。

発症発覚までの経緯

初日の午後、観光中に担任の先生から「子どもが頭が痛いと訴えている」と報告を受けました。その場で熱を測り、37.6℃あることを確認しました。

子どもへの対応

子どもが発熱した場所が観光施設内だったため救護室を利用し、ベッドで子どもに休息をとらせました。その後の日程を終えて宿泊先についた後も、子どもの微熱が続いたため、宿泊先のフロントスタッフに病院の場所を聞き、校長先生と保護者に同意をとってから病院で診察を受けました。

診察結果は発熱以外とくに問題がなかったため、緊張で熱が出やすいという事前情報があったこと、宿泊先まで保護者に迎えに来てもらうには時間が遅いことをを考慮して、教員の部屋で1日休ませ、次の日の症状で帰宅するかどうか判断することを校長先生が決定しました。

翌朝子どもの熱が下がっており、保護者と子どもが旅行を続けたいという意思を示したので、最後まで旅行を続行しました。
旅行中は、できるかぎり保健室の先生が発熱していた子どもの傍につき、定期的に熱を測ったり健康観察を行ったりしました。

保護者への対応

発熱した子どもの保護者には発熱直後に連絡を取り、出発前の子どもの様子を聞いたり今後の対応を相談したりしました。
病院に行く際にも許可をとり、次の日も発熱が続くようなら宿泊先まで迎えに来てもらう可能性があると伝え、自宅で待機してもらっています。

翌朝子どもの熱が下がっていたため、保護者に連絡をしてこのまま旅行を続ける許可を得ました。

小学校の宿泊行事前に保健室の先生が準備しておくこと

2つの事例のように、宿泊行事の際に子どもが体調を崩すことは少なくありません。そのため、宿泊行事中に子どもが体調を崩さないための防止策と、万が一子どもたちが体調を崩してしまった場合に備える対策として5つの事前準備が求められます。

宿泊行事前に健康調査を行い、個別の対応が必要な子どもを確認する

宿泊行事前には、必ず子どもたちの持病を調べる健康調査を行います。夜間に喘息がでやすかったり、朝夕だけ薬を服用していたりするなど、普段の学校生活では問題なくても宿泊をする場合は配慮が必要な子どもがいるためです。

健康調査で個別の対応が必要だと判断した子どもは、宿泊行事前までに保護者・子ども・保健室の先生・担任の先生で面談を行い、旅行中の対応を話し合います。とくに食物アレルギーがある子どもは、宿泊行事中の食事メニューを全て取り寄せて保護者とチェックする必要があるため大変です。

また、宿泊行事の一週間前から健康観察カードを配布し、子どもの健康状態を保護者に毎日確認してもらいます。保護者に子どもの健康状態をチェックしてもらうことで、体調が悪いのに子どもが旅行に参加してしまう事態を防ぎます。

宿泊行事前の保護者説明会で当日までの体調管理と万が一の場合の対応を説明する

宿泊行事前には、必ず旅行についての保護者説明会があり、保健管理の部分は保健室の先生が説明します。その際保健室の先生は、宿泊行事で保健室の先生が行う保健管理の話だけでなく、宿泊行事当日まで保護者に気を付けて欲しい子どもの健康管理についても説明します。


宿泊行事は子どもたちにとって一大イベントなので、少し子どもの体調が優れないくらいなら参加させてあげたいと思ってしまう保護者は少なくありません。そのため保健室の先生は、体が辛ければ子どもは楽しめないこと、そして旅行が継続できないほど体調が悪いと判断した場合、旅行先まで迎えに来てもらうことを保護者にしっかり伝えるのが大切です。

保護者説明会で、旅行中に子どもが体調を崩した際は現地まで迎えに来てもらうと説明しておくことで、子どもに無理をさせない家庭が増えます。また、万が一子どもが宿泊行事中に体調不良を起こして保護者に迎えを依頼することになったときにも、保護者の理解が得られているのでやり取りがスムーズになるでしょう。

引率の先生方に救急バッグを準備する

宿泊行事中、保健室の先生が救急バッグを持っているのは当然ですが、他の引率の先生方にも救急バッグを所持してもらうと、保健室の先生が近くにいないときに対応してもらえるので安心です。

ただし、他にも荷物を持っている先生方の負担にならないよう、絆創膏・体温計・瞬間冷却剤など必要最低限のものを詰めた小さいバッグにしましょう。

宿泊先の病院をチェックする

万が一子どもが体調を崩した時を想定して、宿泊施設の付近にある病院をチェックした地図を用意すると、緊急時に役立ちます。
病院をチェックする際には住所だけでなく、必ず診療日や電話番号もメモしておきましょう。

宿泊先で保健室代わりになる部屋を余分に確保する

宿泊先の対応や予算にもよりますが、宿泊先では保健室代わりになる部屋を余分に確保できるのが理想です。

宿泊中、先生方は相部屋の場合が多いですが、事例1の自然教室では保健室の先生だけ単独の部屋を借りることができていたため、保健室の先生の部屋で発熱した子どもやケガや体調不良を訴えた子どもたちをゆっくり休ませられました。

ただし、宿泊先が込み合っていたりすると最低限の部屋数しか確保できないので、保健室代わりの部屋が欲しいと無理に頼むのは控えましょう。

本記事は、2023年8月21日時点調査または公開された情報です。
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