はじめに
いじめ問題を早期発見・解決し、最悪の事態を未然に防ぐのは、教育者のみならず、社会全体が果たすべき役割です。しかし、従来の方法では、多様化するいじめのあり方に対応するのは困難になってきています。
そこで、いじめ問題の防止・解決のために今注目されているのが、WEBサービスを使った対応です。
今回は公務員で学校の先生向けに、「いじめ問題の防止・解決」をテーマにしたWEBサービスを紹介します。
1)STOPit – いじめ防止プラットフォーム
「STOPit」は、ストップイットジャパン株式会社が運営する、「いじめ問題の報告・相談・相談内容の管理」ができるWEBサービスです。
このサービスは、『匿名で、いじめ報告・相談する機能』と、『その報告・相談を管理する機能』で構成されています。
「STOPit」の『いじめ報告・相談』機能について
『いじめ報告・相談』機能は、「STOPitアプリ」をスマートフォやパソコン端末にダウンロードすることで使用できます。例えば、学校で起こっているいじめ問題を、当事者・傍観者が、先生や教育委員会などに匿名で報告したい場合、このアプリを使えば、いつでもどこでも、関係者や関係施設に直接出向くことなく、相談・報告が可能です。
また、証拠になる画像や動画のアップロード機能、メッセンジャー機能を用いたチャット会話機能など、いじめを早期発見・解決するためのツールがそろっており、いじめの現状や、いじめ被害者の辛い気持ちを伝えやすい環境になっています。
「STOPit」の『いじめ報告・相談を管理する』機能について
『いじめ報告・相談を管理する』機能は「DOCUMENTit」といい、主に教師や教育委員会など、いじめ解決に取り組む側が使用します。「STOPitアプリ」ユーザーである生徒児童からの報告を効率よく管理することができ、小さな報告も見落とすことがありません。問題が深刻化するのを未然に防ぐためのアラート機能や、ワンクリックで関係各所と情報共有ができる機能なども備わっています。
また、メッセンジャー機能を用いたチャット会話機能で、相談を持ちかけた児童生徒と直接会話することで、最悪な事態を未然に防ぐことも可能です。
「STOPit」の利用方法
STOPitを導入するには、このサービスを購入し、アカウントのセットアップを行います。ユーザーである児童生徒には、STOPitの導入を告知し、「STOPitアプリ」をダウンロードさせます。パソコンにも対応しているアプリなので、スマートフォンやタブレット端末を持たない児童でも家庭のパソコンにダウンロードすることができます。
児童生徒が「いじめ問題の報告・相談」をする先は、教師や教育員会など、複数設定することが可能です。教師や教育委員会は「DOCUMENTit」を通じて、児童生徒による相談・報告内容を把握し、いじめ問題解決への足がかりにします。
「STOPit」の利用料金
「STOPit」の利用にあたっての具体的な料金は、調査中です。
なお、所属する学校や教育機関がこのサービスを契約していれば、児童生徒は無料でアプリをダウンロードし、相談・通報・報告する事ができ、先生も無料で「DOCUMENTit」にアクセスできます。
URL
https://standby-corp.jp/about/forschool/
「STOPit」の利用イメージ
2)ネットパトロール – ネットいじめ・裏サイト対策サービス
「ネットパトロール」は、アディッシュ株式会社が運営する、「SNS・学校裏サイト」を見回り、ネットいじめ問題を見つけ出し、学校の先生をサポートするためのサービスです。
「ネットパトロール」の詳細
「ネットパトロール」は、SNS上での問題のある発言、「学校裏サイト」と呼ばれる、学校側が認知していない非公式のコミュニティサイトへの投稿、個人情報の流出など、いじめ問題の火種となりそうな書き込みを見回り、報告をするサービスです。
こうした見回りの結果検出された、問題のある書き込みを、報告書として学校の先生と共有することで、ネットいじめを早期発見したり、ネット上でのみ行われている見えないいじめを発見することができます。
問題のある書き込みを、先生が直接注意するより、「ネットパトロール」という「第三者機関」からの報告があったとすることで、先生は生徒に指導がしやすくなります。
「ネットパトロール」の利用方法
「ネットパトロール」の利用は、学校や教育機関が、アディッシュ株式会社とサービスの契約をすることで、始められます。
アディッシュ株式会社は専用ツールを使って、学校の情報をネット上から見つけ出します。それを実際の人間が分類し、問題のある発言に関しては報告書にして、先生に提出します。
先生はその報告書をもとに、書き込みを行った生徒児童に適切な指導をするとともに、書き込みされた対象の児童生徒のケアを行います。
また、「ネットパトロール」は、報告書を提出して終わりではなく、専用の窓口で、その後の対応を相談することも可能です。
「ネットパトロール」の利用料金
「ネットパトロール」の利用は有料です。具体的な料金は、調査中です。
URL
https://school-guardian.jp/service/netpatrol/
3)Kids’ Sign – いじめ匿名通報サービス
「Kids’ Sign」は、アディッシュ株式会社が運営する、「いじめ問題」を匿名で通報・報告できるサービスです。
「Kids’ Sign」の詳細
「Kids’ Sign」は、児童生徒自身が、いつでも匿名で、いじめ問題の報告や通報ができるサービスです。学校側からは見えにくい、ネット上で起こっているいじめを、当事者が自身のことを報告するのみならず、発見者である第三者がいじめを通報することもできます。
アディッシュ株式会社の「Kids’ Sign」運営スタッフは、その情報を学校に伝えます。そうすることで、いじめの早期発見に繋がります。
「Kids’ Sign」の利用方法
「Kids’ Sign」の利用は、学校や教育機関が、アディッシュ株式会社とサービスの契約をすることで、始められます。サービスが導入されたら、学校は児童生徒や保護者に導入を告知します。その後、生徒は自らのスマートフォンやタブレットなどに「Kids’ Sign」アプリをダウンロードすることで、利用開始できます。
「Kids’ Sign」の利用料金
「Kids’ Sign」の利用は有料です。具体的な料金は、調査中です。
なお、所属する学校や教育機関がこのサービスを契約していれば、児童生徒は無料でアプリをダウンロードし、相談・通報・報告する事ができます。
URL
https://school-guardian.jp/service/kids-sign/
4)SNS相談・通報サービス – SNS相談体制構築サービス
「SNS相談・通報サービス」は、アディッシュ株式会社が運営する、SNSを用いたいじめの相談・通報体制の構築を支援するサービスです。
「SNS相談・通報サービス」の詳細
「SNS相談・通報サービス」では、LINE株式会社が無料で提供しているコミュニケーションアプリ「LINE」やWEBページで、いじめ問題の相談・報告を受け付ける専用の窓口が欲しい学校や教育機関を、サポートするためのサービスです。
SNS相談・通報受付環境を学校に代わって構築したり、SNSカウンセラーの派遣を行ったりと、様々な面で学校を支援し、パートナーとして共に相談専用窓口を運営していきます。
「SNS相談・通報サービス」の利用方法
「SNS相談・通報サービス」の利用は、学校や教育機関が、アディッシュ株式会社と契約し、連携することで運用を開始できます。システムのみの構築か、カウンセラーなどの人的サービスも含めての支援か、学校側がどのような専用窓口を設置したいかによって柔軟に対応できます。
システムの構築が整ったら、児童生徒にサービス内容を告知します。児童生徒は、各自のスマートフォンに「LINE」をダウンロードし、学校とアディッシュ株式会社が連携して開設したいじめ相談窓口と「友達登録」することで、利用開始できます。
WEBページに関しても、専用窓口のURLアドレスを告知することで、児童生徒は自分のスマートフォン・タブレット・パソコンからそのサイトにアクセスし、利用することができます。
「SNS相談・通報サービス」の利用料金
「SNS相談・通報サービス」の利用は有料です。具体的な料金は、調査中です。
サービス内容によって料金は異なり、公式サイトでは無料の見積もり相談も受け付けています。
なお、所属する学校や教育機関が開設した、相談窓口を利用するためのアプリ「LINE」のダウンロードは、無料で行えます。
URL
https://school-guardian.jp/service/sns-consultation/
5)SNSカウンセリング相談サービス
「SNSカウンセリング相談サービス」は、トランスコスモス株式会社が運営する、いじめ問題の相談を、コミュニケーションアプリ「LINE」を使って行えるWEBサービスです。
「SNSカウンセリング相談サービス」の詳細
「SNSカウンセリング相談サービス」の利用方法
自身のスマートフォンに、LINE株式会社が無料で提供しているコミュニケーションアプリ「LINE」をダウンロードし、学校や各自治体で開設したいじめ相談窓口と「友達登録」することで、利用開始できます。
「SNSカウンセリング相談サービス」の利用料金
「SNSカウンセリング相談サービス」の利用は有料です。具体的な料金は、調査中です。
なお、所属する学校や自治体が開設した相談窓口を利用するためのアプリ「LINE」のダウンロードは無料であり、生徒児童は「LINE」を通して無料で相談・通報・報告を行えます。
URL
https://www.trans-cosmos.co.jp/special/callcenter/sns-counseling.html
6)子どもの人権110番 – 学校の先生も使える相談サービス
「子どもの人権110番」は、法務省が運営する人権相談サービスです。
「子どもの人権110番」の詳細
いじめ問題の相談を、電話の他、インターネット「子どもの人権SOS-eメール」を使って行うことができます。このサービスでは、先生がクラスで起こっているいじめ問題について相談することもでき、最寄りの法務局・地方法務局の職員や、人権擁護委員が相談を受けます。
「みんなの人権110番」の利用方法
「みんなの人権110番」の利用は、電話と、「子どもの人権SOS-eメール」というインターネットを使った方法の、2つがあります。
「子どもの人権SOS-eメール」は、公式サイトからアクセスできます。すぐに返答が欲しい場合は、電話が推奨されています。
「みんなの人権110番」の利用料金
電話相談・インターネット相談・窓口相談、それぞれ無料で行えます。
URL
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html
7)ダイヤルサービス – いじめ相談サービス
「ダイヤルサービス」は、ダイヤル・サービス株式会社が運営する、いじめ・児童福祉相談サービスです。
「ダイヤルサービス」の詳細
「ダイヤルサービス」は、自治体や学校法人等がこのサービスを契約することで、そこの児童生徒がいじめ問題を「ダイヤルサービス」に相談できるようになる、というサービスです。
従来の電話やメールによる相談に加え、WebチャットやSNS(LINE、Facebook)など、スマートフォンからも相談できます。臨床心理士やスクールカウンセラーなど、現場経験豊富な有資格者が相談に乗ってくれます。
「ダイヤルサービス」の利用方法
「ダイヤルサービス」の利用は、学校や教育機関が、ダイヤル・サービス株式会社と契約することで利用開始できます。
学校は、サービス内容や利用方法を児童生徒に告知し、児童生徒は、各自のスマートフォンからコミュニケーションアプリ「LINE」や、Facebook, Inc.が運営するSNS「facebook」を通して、このサービスを使うことができます。
「ダイヤルサービス」の利用料金
「ダイヤルサービス」の利用は有料です。具体的な料金は、調査中です。
なお、所属する学校や教育機関がこのサービスを契約していれば、児童生徒は無料で相談・通報・報告する事ができます。
URL
https://www.dsn.co.jp/services/kids/kidsconsultation.html
まとめ
いかがでしたか?
いじめ問題の防止・解決に向けて、学校や先生が利用できる7つのWEBサービスを紹介しました。
学校や教育機関など、施設単位で契約しなければならないサービスが多い中、法務省が運営する「子どもの人権110番」サービスは、先生個人が無料で利用できるので、比較的簡単に導入できるサービスです。
いじめ問題の解決に向けて、ぜひこの記事をご参考ください。
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