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2020年アメリカ大統領選挙 - 今こそ理解したい共和党と民主党の違い

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目次

はじめに - アメリカの政治を知るうえの基本、「共和党」と「民主党」

アメリカでは、2020年は大統領選ということもあり「共和党」と「民主党」の2大政党が取り沙汰されています。

日本でもアメリカの政党のことについて報道はあると思いますが、それぞれの歴史や政治思想などの違いまでを理解している人は少ないかもしれません。

そこで今回はアメリカの2大政党である「共和党」と「民主党」の違いについて解説します。アメリカの政治を知るうえで最も基本となる要素ですので、ぜひ参考にしてください。

アメリカの2つの政党、「共和党」と「民主党」の比較

アメリカの「共和党」と「民主党」比較 イメージ画像

公務員総研編集部作成

アメリカの党「共和党」の特徴

まずは、共和党(Republican Party)の特徴をご紹介します。

アメリカ「共和党」の主な特徴

・イメージカラーは「赤」
・シンボルは「象」
・保守主義
・経済的自由主義
・右派
・別名「Grand Old Party」

アメリカ「共和党」の歴史

共和党の始まりは1854年です。当時、奴隷制度拡大に反対していた人たちによって作られました。共和党出身の初代大統領はエイブラハム・リンカーンで、これまでに19人の大統領を輩出しています。

共和党は「小さな政府」を基本理念としており、政府の介入は最小限に抑えて市場を重視する思想が特徴です。言い換えれば、共和党は資本主義を重視している政党となります。

資本主義や市場を重視する政策に力を入れており、これまでにレーガン大統領時代の「レーガノミクス」やブッシュ大統領時代の「ブッシュ減税」、そしてトランプ大統領による「トランプ減税」などが知られています。

共和党の主な政策や指針としては、減税政策、市場の自由主義、移民制限、軍事力の増強、銃保持の容認、人工妊娠中絶の反対、労働組合の制限などがあります。

20世紀までは「富裕層」が支持する政党として知られていましたが、現代では「労働者階級」が支持する政党として定着しつつあります。


その代表例がインディアナ州やオハイオ州などの「ラストベルト(錆びた工業地帯)」で働く白人労働者たちの多くがトランプ大統領を支持していることです。実際に共和党支持者は「典型的なアメリカ人」と呼ばれる人が多く、ピックアップトラックに乗り、アメリカ国旗を掲げ、銃やライフルを持っているイメージです。

アメリカ「共和党」の支持基盤

共和党を支持しているのは一般的に「保守派」と呼ばれる人たちで、アメリカ西部の農業地帯や南部の州に多い傾向があります。

また、白人や敬虔なキリスト教徒をはじめ、石油産業、自動車産業、軍事産業などの大企業、全米ライフル協会、そしてウォール街の金融業などが共和党を支持しています。これらの支持者や支持団体は「保守的思想」や「市場原理主義」が共通していると言えるでしょう。

アメリカ「共和党」出身の主な歴代大統領

エイブラハム・リンカーン(1861-1865)
セオドア・ルーズベルト(1901-1909)
ドワイト・アイゼンハワー(1953-1961)
リチャード・ニクソン(1969-1974)
ロナルド・レーガン(1981-1989)
ジョージ・H・W・ブッシュ(1989-1993)
ジョージ・W・ブッシュ(2001-2009)
ドナルド・トランプ(2016-)

アメリカの党「民主党」の特徴

次に、民主党(Democratic Party)の特徴を見てみましょう。

アメリカ「民主党」の主な特徴

・イメージカラーは「青」
・シンボルは「ロバ」
・リベラル(自由な)
・社会自由主義
・左派

アメリカ「民主党」の歴史

民主党は、1828年に第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの支持者らによって設立されました。

もともとの起源は、トーマス・ジェファーソンとジェームズ・マディソンによって結成された「民主共和党(Democratic-Republican Party)」とされていることから、1792年には存在していたともされています。(世界最古の政党)

民主党は、社会福祉や生活保護を考えるのは政府の役割という考えを持っていることから「大きな政府」と言われています。社会的平等や自由を重視している政党です。

アメリカには歴史を振り返っても日本の国民健康保険のような制度はありませんが、民主党のオバマ政権時代には国民皆保険制度の一環として「オバマケア
」が導入されました。民主党が政権を握っている時には社会保障に関する政策が多くなる傾向があります。

民主党の主な政策や指針としては、国民皆保険、機会均等、弱者保護、マイノリティ支援、環境保護、社会保障の充実、大学授業料の値下げ、銃規制などがあります。

これまでは社会平等を訴える政党であったことから「労働者階級」を中心にして支持されてきましたが、現代ではIT企業やセレブ、国際的に活躍する著名人などがこぞって民主党支持を表明しており「富裕層に好まれる政党」になりつつあります。

昨今では、世界中でLGBTや移民などの人権および多様性を巡る議論が活発化していることから、これらに寛容な民主党がアメリカ以外でも好まれる傾向があるのも事実です。

アメリカ「民主党」の支持基盤

民主党を支持しているのは一般的に「リベラル派」と呼ばれる人たちで、アメリカ西海岸や東海岸に集中しています。ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなどの国際的な大都市はリベラル派が多い傾向です。

都市部在住者、女性、高学歴、宗教や性的マイノリティをはじめ、IT企業、環境保護団体、労働者階級、公民権運動団体、有色人種などが民主党を支持しています。これらには「リベラルな風潮を好む」ことや「多様性を尊重する」などが共通していると言えます。


アメリカ「民主党」出身の主な歴代大統領

ウッドロウ・ウィルソン(1913-1921)
フランクリン・ルーズベルト(1933-1945)
ジョン・F・ケネディ(1961-1963)
ジミー・カーター(1977-1981)
ビル・クリントン(1993-2001)
バラク・オバマ(2009-2017)

なぜアメリカには、「共和党」と「民主党」の2つしか政党がないのか?

アメリカにはなぜ共和党と民主党しかないのでしょうか?

実は「第三の政党」に該当する政党はあります。「アメリカ緑の党(Green Party of the United States)」や「リバタリアン党(Libertarian Party)」などです。

しかし、これらの「第三の政党」が実権を握ることは実質的に不可能な仕組みになっています。この理由は「比較多数得票方式」と呼ばれる選挙の方式です。

この方式は最も多くの票を得た候補者が当選するもので、各政党の候補者が最も多く票を獲得しなければ議席を得ることは出来ない仕組みになっています。また、大統領選においては各州で異なる参入条件が定められているため、小政党はすべての州で参加することが困難です。

大統領選で勝利するのに不可欠な「270名」の選挙人を全国に擁立できる「第三の政党」はないため、実質的に共和党か民主党のふたつしかないのです。

日本のように、政党の得票数の割合に応じて議席数を割り当てる国では「第三の政党」のような小政党でも活躍できる可能性はありますが、アメリカではそもそも小政党が参入できないような選挙制度なのです。

この結果、選挙に出馬する際の候補者は「共和党か民主党」のいずれかを選ばないと当選できず、有権者も「共和党か民主党」のいずれかしか選択肢がない状態になっています。事実、大統領選では、1852年から共和党もしくは民主党のいずれかからしか大統領は誕生していません。

共和党、民主党いずれでもない人はどうする?

アメリカでは、共和党支持者と民主党支持者のいずれでもない人も大勢いますが、最終的にはいずれかの政党に投票する、もしくは投票しないという選択肢しかありません。

アメリカの場合、選挙に投票するためには「有権者登録」する必要がありますが、その際に「どちらの」政党を支持するかを記入します。

これに関するGallupの調査によると、2020年10月下旬時点で有権者のうち共和党支持者は「31%」、民主党支持者は「31%」、そして特定の支持政党を持たない無所属(Independents)が「36%」とあります。実は、過去のデータを参照して最も多いのが「無所属」と呼ばれる人たちです。

つまり、アメリカ人の多くは共和党、民主党いずれでもないという立場と言えます。このような人たちは「投票日の時点で気に入った政党に投票する」傾向があります。

この結果、特定の支持政党を持たない人たちが、ふたつしかない選択肢において「どちらに傾くか」によって選挙の結果は大きく変わるのです。

事実、2016年の大統領選では民主党が圧倒的に優勢とされてきましたが、結局は共和党のトランプ氏が勝利しました。原因のひとつとして考えられているのが「無所属の人たちの票の流れ」とされています。

アメリカでは無所属の人が最も多く、なおかつ流動的な投票をするため結果が読みづらいと言えます。言い換えれば、アメリカ人の多くは「共和党でも民主党でもないが、選択肢がない」と考えているのです。

ちなみに、1892年には2大政党の政策に不満を持った人たちが「人民党(Populist Party)」を設立しました。人民党から大統領が選ばれることはありませんでしたが、2大政党は自分たち以外に勢力を持つ政党が出現したことで政策の見直しを実施しています。

この動きは2大政党への圧力として機能しましたが、これ以降新たな政党による圧力はほとんど機能しておらず「共和党か民主党のどちらか」しかありません。

まとめ

以上、「2020年アメリカ大統領選挙 - 今こそ理解したい共和党と民主党の違い」でした。

共和党は保守派で資本主義、小さな政府という基本理念を持っています。民主党はリベラルで社会自由主義、大きな政府という基本理念です。いずれの政党も「対照的」な存在で、政策や政治思想も真逆と言えます。


一方で、選挙の際には共和党と民主党のふたつしか選択肢がないということも否めず、実際に特定の支持政党を持たない無所属が最も多いことも事実です。

アメリカで時の政権が共和党か民主党かによって、どのような方向性で政治が動いていくかが分かると思います。そして、日本がアメリカからどのような影響を受けるかも想像できるようになるでしょう。

参考資料サイト

Gallupの調査
https://news.gallup.com/poll/15370/party-affiliation.aspx

本記事は、2020年11月6日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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